十二章:フィナーレは盛大に!

ーーーー目が、覚めた。

瞬きすると同時に飛び立つ。もがき苦しむようにイニティカが暴れる。その頭をよく見ると、植え付けられたような、第三の目がアタシを凝視していた。

「宿主ってわけか、クソッタレ。

ーーー泣いて喜べ!魔導書のバーゲンセールだ!」

自然と入る拳への力をどうにか抑え、あくまでアタシは笑う。目下にはインヴィディアの兵共。目前にはイニティカ。四面楚歌じゃねえ。千客万来だ!

「F‐17ー頑固な雨テチュ・プリュイ!」

石粒が。通常より起爆性に特化させたそれは互いに衝突し、さながら閃光弾のように光と炎を降らせた。

「ガァ!グルルゥ...!」

「ハッ!色眼鏡サングラスしてねえそっちが悪い!アタシには相棒アヴィスがいるんでね!」

「マスター。私はいくら褒めても減りませんが。第2波が来ます」

イニティカがこちらに向けて吐息ブレスを構える。避けられそうにもない。ならば、

「「G‐12一凍土の春パゴメト・エアル!」

凍土の春パゴメト・エアルは春の訪れを感じた際に作られた魔導書だという。その性質は受けた熱量の分だけ、内部えだが成長する。

氷解リノッ!!」

永い時を秘めた凍土のような氷塊が、爆炎によって

溶解。その熱量と水を内包した芽が、アタシの手の内で咲く。次の瞬間には龍をも凌ぐ巨大なとなり、あっという間に束縛した。

「グゥゥ!?」

「すみません!ウチの観葉植物、気が荒いもんで!」

そのタイミングでアタシは胸の内より取り出す。切り札となる一冊を。

「アヴィス、『魔素同調』外しな。壊れちまうぜ?」

「御戯れを、マスター。私は壊れるその時までマスターと伴にある運命です」

「ハッ、生意気な野郎だ。ーーー安全確保は頼むぜ」

そう言い切り、アタシはに集中する。

「其は聳え断つ銃身。其は天を切り裂く雷鳴」

このご時世、魔導書を持ちながら、長い文言を詠む酔狂なんて限られる。だ。

「天魔の如く反発し、風穴を蒼空へ通す」

今回は2点とも含むことになる。何故なら、この本の著者はだ。

「弾導よ、螺旋を画け。智の果てを貫き穿て」

長大な鉄の塊が構築された。機関銃ライフルじゃない。魔極砲レールガンだ。そして

「弾アタシだ」

周囲の魔素がアタシと、瞳のギアが輝く。

龍の第三の目が血走り、一息でこの原を変えてしまいそう魔素が満ちてゆく。だが、もう遅い。

「汝、音を超え、破壊を以て終焉を覆せ!

ーーーI‐01!到達点ジャガーノート!」

アタシの加速が最高潮に達し、射出。音速を軽く越えて龍の顔面を殴り込んだ。

「目ェ覚ましやがれ」

極光が世界を照らした。

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