十章:余は火炎のように
「フン、蛆のような者共だな」
ルーブルム公が舞う。手に持つアウステラ公国の軍刀で目の前から湧き続ける軍勢を滅多刺しにする。
しかし、多勢に無勢。莫大な量のインヴィディア王国軍の攻撃にアウステラの脳筋共も防戦一方かのように見えた。
戦場の空を一羽の
「大人しくしていればいいものを...その破天荒も父親譲りという訳か。
ーーー余が軍よ!
「その言葉、待ってました!」
「野郎共!魔素最大出力だ!」
すると、それまでインヴィディア優勢であったはずの戦況が、とてつもない量の魔素によって一気に傾いた。
「なんだコイツら!弱ってたんじゃなかったのかよ!」
「うわああぁ!近寄るなあぁぁ!ーーーブッ」
膨大な魔素を発し続ける彼らは、戦場で最も目立つ存在となり、戦場を翔ぶ
「傑出した個に量は無意味。ーー汝もそう思わないか?」
「...チョー分かる〜。ゴリラ共は脳筋すぎて受け付けないけど!」
突然、ルーブルム公の影からペノムがヌッと現れた。
その勢いのまま公に抱きつき、首にナイフを突きつける。
「あは!バレちゃった時はどうしようかと思っちゃったけど、ここまで来ればワタシのもんだよね!」
「なかなかに情熱的であるな。近年の戦法には色仕掛けも用いるのか?」
対して、ルーブルム公は一歩も動かない。それは恐怖か。それとも....
「いや!恐怖だね!さっさと侵されて死んで!」
ペノムが焦りを滲ませ、ナイフを突き刺さそうとする。喉元に届くかと思われたそれは溶けて崩れた
「....え?」
「おや、これだけか?終いにするぞ」
「待って!止めて!」
「ーー『月に叢雲』」
公の軍刀が空を切った。そうして、3秒も経たぬ内にペルムは溶けていった。
ーーー『月に叢雲』は対象の中にある魔素を全て熱へ変化させるという神業である。
燈夜公の卓越した魔素操作と己が魔素とみなす範囲が広いことを以て初めて業は成り立つ。
「我等は今暫く道化となってやろう。早く終わらせて連れ戻らせてくると良いわ」
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