八章:私の居場所はどこに?

「ねぇ〜。もう諦めな〜い?」

「誰が諦めるものですか...!」

同時刻、研究所のあちらこちらを破壊し尽くし、警報という警報を鳴らしたイニティカは囲まれていた。

「店長が言ってたんです。『押してダメなら押してみろ』と」

「脳筋すぎるし絶対今使う言葉じゃないでしょ」

そう言いつつも女は包囲網を縮める。

「私『ペノム』って言うんだけど、キミを留めておけって言われてるんだよね〜。今カプセルに戻ってくれるなら、イタいことはしないよ」

「絶対イヤです。魔素を吸い上げられる気持ち悪さ分かりません?」

「チョー分かる〜」

包囲網が縮まると見えた矢先、大地が割れた。

「それ以上近づいたら攻撃します。道を開けて下さい」

「おぉ〜怖い怖い。でもそろそろキツいんじゃない?」

「何の話--ッ!?」

足を動かそうとした時、足の感覚は既に消え失せていた。

「なに...これ...!動かない...!」

「私は空気を麻痺毒に『変容』させるのが得意なんだ〜。ほら」

周りを見ると、包囲を作っていた者達も倒れていた。初めから「駒」だったという訳か。

「さあ、元に戻りましょうか〜」

「わたしは...!帰るんだ...!」

ーーーーー「いったいどこに帰るっていうんだい?」

「ーーーぁ」

それは遠い記憶。とうに忘れていたと思っていたのに。

「おばあ様...」

「...誰に向かって言ってるの?」

「還りたくなったときはお唱えなさい。ーーー『大いなる呪、私に力をアルス・マグヌス』」

「......................『大いなる呪、私に力をアルス・マグヌス』。」

瞬間、光がありとあらゆるモノを染め、

「ははッ、ナニコレ」

巨大な龍が大気を震わせる咆哮を放った。

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