六章:危うし君を助けに!

「たのもー!!」

アタシが訪れたのは昔馴染みの工具店だ。ここの店長はアタシ以上の機械通で、よく国軍の武器をメンテナンスしている。

「おや、嬢ちゃん。もう片割れのお嬢は留守番かい?」

「いや、インヴィディア王国で失踪したらしい」

「インヴィディア王国で?...そりゃあ本当かい?」

本当マジだ。それがどうした?」

「最新のインヴィディア王国の研究発表だが....これだ」

店長が見せてくれた学術誌には「『魔化』より発生するエネルギーの運用」という題目で述べられていた。しかし、少しの違和感。

「ちょっと攻撃的すぎやしないか?」

「ああ、述べ方が明らかに兵器のソレだ。ひょっとすると...」

「ありがとうおやっさん!」

アタシは店を飛び出した。


「アヴィス。『魔合モジュール』起動」

「了」

おやっさんの話を信じるなら、イニティカは今にも危機的状況にある。迷ってる暇は、無い。

「F-52、針峰を越えてエル・エギュイユ

マキナの背から翼が開いた。しかしその一本一本は毛ではなく、あえて形容するならば注射針シリンジであろうか。

針先から風力へと変換された魔素が溢れ出る。やがて彼女は空へと舞い、梟のように闇へと溶けていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る