第13話 退廃と崩壊。

沖田華と、剛は子供を産んだ後、そこを離れなかった。

一応離れるつもりだったのだが出産後、産後をゆっくりしてから、駅へ行って実家へ電話したら父が死んだのだ。

畜生の概念を超えてまでしたことが意味がなかった。

しかも、振り込まれた金を持って、母が失踪した。怒りと失望がピークに達したのだろう。二人はそれを知り、山口きょうだいと同じく、集落へ戻った。

そして、半年は避妊具を使って快楽にふけり、その後、明るい家族計画をやめて、稼ぐことを決めた。

もう帰る家もない、今さら何が出来ようか、二人は背徳のまぐわいを楽しんだ。

アナル開通や、48手、全て試そうとして体がつり、慌てて周囲に助けを求めたり、とにかく未来への希望はないのだ。二人と同じ境遇の人もこの集落には多い、山口きょうだいが二人目を出産するころ、華は妊娠6カ月だった。

剛は、農作業を手伝ったり、とにかくこの混迷の時代、三食家付きの生活を楽しんでいた。

智也と、剛は少し太った。

春先、まだ雪が残る中、雪かきを終えて、二人は美味そうにタバコを吸う。

「やっちゃいけないことで稼ぐ、犯罪ではない。いや、生物上の倫理観からいったら犯罪以上なんでしょうがね。」

智也はふと呟く、

剛は、

「まあ、日本書紀、古事記には近親相姦がこの国の始まりだからね。大体、欧米のカトリックの小児性愛に比べたらましなもんさ。

俺はいつまでいるかは決めてないよ。華が出産に疲れたら、貯めた金でどこかに家でも買って農業でもするさ、どこでもいい、この国は平和だ。」

二人は鈍色まじりの空を見ながら何本も煙草を吸う。

智也が、

「そう言えば、三日前に、檜風呂が共同浴場に出来たらしいですよ。今夜入りに行こう、楽しみだ。」

剛は、自分たちは忖度されていると思いつつ、

「まあ何たってねえ、ここでの子供たちがどうなるかなんて考えたら鬱になるし、愛の為の子供でもない、俺たちは地獄行きだね。

まあ、どうせ死ぬんだし、快楽に任せるよ。」

二人は、側の椅子にある、餅を食べながら、雪かきをし続けた。勿論二人以外も参加していたが、別に彼らが絶対にやらねばならないわけではない。組織の人力でもできるが、体を使って疲れさせれば、夜が楽しめるから皆男どもは肉体作業をするのだ。

つまり、肉親との性交を愉しむための使役である。中には夜を想像して勃起したまま作業してるのもいる。男の性欲に年齢は関係ない。80代だって子供は作れる。心筋梗塞でも起きない限り。

智也は、依子の体調を確認してから、滋養になるものを与えてから、檜風呂を楽しんだ。周囲の男どももぶよぶよの人間はいない。

肉体労働で体は締まっている。剛も入りに来た。

智也と剛が共同浴場で顔を合わせるのは初めてではないが、剛は妊娠安定期の華を抱いてから来たのだ。服を脱ぐと、性器から精液が垂れていた。

「おさかんですね、まあ華さん、魅力的だからなあ。」

「華は、君と同い年だよ。まあ、ここでの生活で唯一困るかもしれないと危惧しているのは、元の生活に戻って。普通の女を抱けるかなあということかな。」

そんな話をしていたら、側にいた50代くらいの男性が、

「わしは、もう子供を六人、娘との間に作った。娘は疲れ切ってるから、7人目の金で海外に行くんだ。そろそろ日本人が普通に海外に行ける時代が来るじゃろう。もう、堅気の生活に戻れないなら、価値観の違うところへ行くまでよ。それでいいと思っとる。」

「まあ、今は円安ドル高の固定金利ですからねえ。これが変動相場制になったら考えてもいいことかもしれませんね。」

剛は、そう言って、念入りに股間を洗っている。風呂後にも華を抱くのだ。

その場にいた、五、六人は世界情勢は分からないから、地元のこれを取り寄せてもらおうと色々食事のことで盛り上がった。そして二人ほどのぼせた。

食欲と性欲、睡眠欲、人間の三大欲求が満たされる世界がここにはある。

しかも、金はかからない。これが結果的にどうなるか不安感もあるが全員が過去に傷がありすぎるから、ここでの生活は逃避行でもあり、桃源郷でもある。

今年は大阪万博が始まる年だ。

彼らは決していけないが、地元の新聞にも少しは載るのだ、テレビやラジオは自由だし、書物も自由、金銭は一切かからない。

この生活が永遠に続くとは思ってなかったがこの集落の歴史は約100年、彼らは知らないが彼らの子供たちは地獄を味わっている。

いつの日か、天罰が落ちることを期待しながら今日も肉親を抱くのである。


まさに、鬼畜変態集落、開発の波など来ない、僻地なのである。


大阪万博が始まる直前、華は男の子を出産した。初めが女の子だったが二人とも手足の欠損はなかった。

恐らく、脳に機能障害が出るであろうと二人は思っていた。でも、知ったことではない。

彼らの知らないところで何が起ころうと、知らないものは知らないのである。


本当に、彼らは知るすべがないのであるし、責任感を感じることはない。ここでの出来事が大量殺戮を起こすきっかけになることなど、想像の範囲外だ。


万博が終わり、華と剛は、またも子作りに励んだ。してもしても、したりない。


虚無感と、背徳感、快楽で脳みそがおかしくなってきているのだと実感はしていたがやめることはできない。


山口きょうだいもまた、子作りに励んでいる。


ここには下半身に正直な人間しかいないのだ。倫理観など犬に食わせた。


華は、

「毎日してるせいか、全然太らないのよ。よく食べてるのに、運動としてもいいのね。とことん堕ちてやるわ。どうせあたしたちキチガイだしね。」

剛は、

「確かにキチガイだ。それも最悪の。でもそれでいい。必要とされているんだから。そんなもんさ。」

二人は深夜のラジオ放送を聴きながら、お互いのアナルに指を入れて激しく交わっていた、酒を飲んでいるからお互いなかなかイカない。体位を変える、何度も、イクまで30分かかった、その代わり大量の精液を華の膣に流し込んだ。

二人は性交を終えて、タバコを吸いながら日本酒を飲み続ける。

「今夜はあと二発するぞ。体力持つか?」

「もちろんよ、これしかないもん。」

二人は笑って、ふと、外を見た。満月だ。


その満月は、優しい瞳のようだった。


日は沈み、また上がる。それだけの事。

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