第13話 永沢再び

 緑と落ち合うことができず、永沢と話すワタナベ。内的な語りの多さから実際の発話が増えて、人間関係に体温が感じられるようになってきた。


 さて、ハルキ文体を意識した文章を書き、読書が進めば徐々にかぶれるはずと見込んで始めたこの感想文だったが、お察しの通りそうなっていない。案外自作の方は影響されているかもしれないが、感想文という内容ではどうも具合が悪い。申し訳ないですが、ハルキ味で遊びたい方はぜひモノマネ大会会場へGO。


 話を戻して……永沢の行動規範の話。永沢のポリシーや日常の設定に対しては完全同意。ただ、保護者目線で言えば(なぜか永沢は僕の先生ペルソナを刺激する)、友達がいないことが心配だ。仲間より友達。裏表、損得、上下のない友達。仲間は目的や志を同じくするものだが、ちょっと疲れるかもしれない。


 同じオスのフォロワーがいないのが心配だ(永沢をこの時点で心配する読者は珍しいかもしれない)。そして、うらやましいこととして、まともな恋人がいることに焦点を当てるワタナベはワタナベらしいなと思う。


 一人一人がそれぞれ自分の中の世界の大切なこと、気がかりなことを前提に関わり合おうとする(僕たちの本当の生活もそうだ)。二人がうまくいっているのは、その境界線が適切だからかと思う。直子とは共通の喪失を経験したため、境界線が曖昧になって苦しいのではないか。


 そのような仮説を持って、次ページに進む。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る