第2話
目を開けるとそこは知らない天井だった。
古民家のような、どこか懐かしい趣きのある感じがあり、煙の匂いがうっすらとする。
(ここはどこだ?)
俺は、自殺したはずだぞ?
それともこんな民家が地獄だとでも言うのか?
ふと、下に目線を向ける。
そこには木で囲われたベットがあり子供のような足が自分から生えていることに気付く。
(俺、転生してね?)
必死に現状把握しようとする頭から出る、楽観的思考
(これは、チャンスだ!もう一度自分に与えられたチャンスなんだ!)
そういった、希望的観測を元に現状把握もよそにさまざまな考えが湧き出てくる。
(まさかこの世界、魔法とか使えるんじゃね?)
初めての遊園地にきた子供のように、気分が昂っているのを感じた。
1度目の生では味わえなかったこと全てをこの世界で果たす。
そう心に誓い、まずは何からすべきかと言うところに思考を巡らせる。
(この体、ぱっと見1歳くらいかな?)
体の年齢を把握し、今いるベットを囲んでいる柵から身を乗り出す。部屋全体を見渡す感じ、何も変わったものはなかった。
ただ、空いている窓から見える外の景色はとても雄大で畑が一面に広がっていた。そこで働く者たちは皆んなせっせと動いている。
しばらくそんな景色を見ていると、部屋に1人の女性が入ってくる。
金髪碧眼の、顔が整っている女性だった。
体は顔からはわからないような、けっこうガッチリとした体系で、日々の農作業の賜物なのかなと、考えていると
「アルス〜ママでちゅよ〜、お腹すいた〜?」
妙に高いあま〜い声で俺に話しかける。
どうやらこの体の名前はアルスで、この女性は俺の母らしい。
「だう!だう」
外の光景が見たくて持ち上げてもらおうと手を伸ばす。
そうすると母は、俺を軽々持ち上げ体全体を包み込むかのように抱き上げる。
ゆさゆさと体全体で上下に揺れながら、俺をあやすかのように抱きながら、部屋をぐるぐると回っている。
「どうしたのかな〜?お腹すいたのかな〜?」
そういうと、胸の辺りの布をめくり授乳しようと俺の顔と乳房を近づけていく。
俺は慌てて顔を背け窓の外に手を伸ばす。
「だ〜う、だ〜う」
「そっか〜、外に出たいんだね〜?」
「だう!」
「よし!お散歩に行くか!」
そう言いながら服を整え、抱き抱えられながら家の外に出る。
この世界は美しい
素直にそう思った。
畑全体に広がる草の葉、周りは山に囲われ、目に見えるところにはっきりとした輪郭の、先端が雪に覆われた山々が立ち並ぶ。
なんて壮大で美しいのだろうと感じた。
そして同時に今が夢であるかのような体験に気が大きくなったのか『手に入れたい』とも感じた。
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