第2話 シカさんのおいしみ
「わぁ、シカさんおいしそう!」
2人の男と1人の少女がシカと戦ってる様子を見ていたあたし。
「ぐっ、やはり勝てないのか」
「俺たちの冒険者ランクよりも2ランク高い敵だ。勝てる気がしない」
「退却するのにもケガした仲間を見捨てなければ逃げられるきがしないわ!」
3人組はシカ相手に苦戦していて、勝てなそうらしい。
でも、このシカはすごくおいしみのような気がする!食べていいかな?
あたしは飛び出した。シカを食べるために!
「可愛らしい少女が飛び出してきた!?」
「助けてくれるのか?いや、返り討ちになるんじゃないかな?」
冒険者さんたちの会話よりもおいしみおいしみ!
シカさんを美味しく食べる事から始めよう!
あたしはシカさんにかじりついた!
シカさんは暴れまわるけど、美味しく食べる。
「シカのおいしみいただきました!おいしいです!でも焼いた方がおいしいはず!」
とりあえず何回かしかさんをもぐもぐ噛り付いてシカさんが動けなくなったら冒険者さんたちに火をつけてもらってシカさんの丸焼きを食べる事に
いや、半分以上は持ち帰りだって。そんな、全部食べる事は出来ないんですか?
こんなに美味しいシカさんですよ!
「ありがとうございます。おかげ様で助かりました?」
「もしよかったら俺たちの拠点に来ませんか?」
「お礼させてください!」
「お礼よりもめしー!おいしみ!おいしみをお願いします!」
こうしてシカさんの丸焼きを少し食べおいしみを感じながら3人組のすみかへと向かっていった。
「おいしみさん、ありがとうございます。とりあえず食事にしましょうか」
「あたし、おいしみじゃなくてあかり。おいしみはおいしみ!」
おいしみはおいしみだよ。おいしみだよ、美味しい食べ物のことだよ!
私の名前はあかりだよ!おいしみって名前じゃないよ!
確かにおいしみおいしみって言ってるけど、おいしみのことが好きだからおいしみと言ってるだけなんだから!
「おいしみさんですよね?」
「ホーンビースト肉のスープと黒パンだ。ホーンビーストの肉が大量に取れて助かった。重症で戦死するかもしれなかったんだ。おいしみさんが助けてくれてよかった!」
「あたしはあかりだってばー!おいしみじゃなくてあかりだってばー!あ、スープとパンいただきます。おいしみありがとう!」
パンは真っ黒でそのままだと硬いけど、スープで浸して柔らかくすればおいしみ。美味しい。
スープはシカのお肉がいくつか入ってる以外は少ない野菜がぽつんと数個浮いてるだけのスープ。味付けはワイルドなお肉の味ぐらいだけど、鹿のお肉がおいしいから十分おいしみ。パンとセットに食べればすごくおいしみ。おいしみは正義。おいしみのためにあたしは生きている!
「おいしかった!おいしみありがとう!」
「おいしみさんが喜んでくれてよかったな」
「そうですね。私たちの救世主のおいしみさんが喜んでくれて・・・」
あたしがおいしみって何故か呼ばれていること以外は順調に事が進み、今日はおやすみをした。
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