プリクラ

「わぁ、どれも美味しそう! 迷うなぁ」


「本当。全部食べちゃいたいくらい! やっぱり、ここに来たらクレープは外せないよね」


佳奈と桜木は、クレープのサンプルが並べられたショーウィンドーの前で楽しそうに会話をしながら、どのクレープにするかを相談していた。


あれから、他の動物も見て回った俺達四人は現在、原宿のクレープ屋の前でどのクレープにするかを選んでいる最中だった。


「ねぇ、俊樹君はどのクレープにするの?」


それまでショーウィンドーを見ていた佳奈が顔をこちらに向けて、話し掛けてきた。


俺は、どれにしようか、と少し悩むと、ショーウィンドーの左端に展示してあった、苺のクレープを指差した。


「俺はあれにしようかな」


「俊樹は苺が好きなのか。可愛い趣味をしてるな」


「俊樹君は前から苺が好きだもんね」


俺が苺のクレープを指差したのを見て、裕也がからかってくると、それに乗っかった佳奈が声を上げた。


からかわれて恥ずかしくなった俺は焦りながら、「可愛くて、美味しいなんて最高じゃないか」と、自分でも良く分からない事を言うと、先にクレープを購入する為に、俺はレジに向かうのだった。


その後、他の三人もそれぞれクレープを購入した。

クレープを購入した際に、店員さんが隣に座って食べる事が出来るスペースがあると、言っていたのを聞いて、僕達四人は、そこで座って購入したクレープを食べた。


「よし、じゃあ、次は隣に色々なプリクラがあるから、みんなでそこに行って撮ろう!」


「それ、俺も撮るのか?」


桜木の言葉に裕也が自分の事を指差しながら言葉を返すと、桜木がニヤッと笑った。


「大丈夫! 間宮も長谷川も物凄く可愛くしてあげるから!」


「サラッと俺も巻き込まれてるんだけど……」


「どんな風にしようかなぁ」と、楽しそうな様子で先を歩く桜木を見て、どうなってしまうんだ、と少し不安に思いながら、俺は後を追うのだった。


「凄いな、こんなにあるのか」


隣の建物に入ると、すぐにとても沢山のプリクラの機械があり、俺は思わず驚きの声を上げた。


「そうだよ。その中でも私がお勧めなのは、これ」


桜木は驚く事もなく、慣れた様子で機械の間を歩いて奥に進むと、一つのプリクラの機械の前で立ち止まると、声を上げた。


「中は狭いから、佳奈と長谷川は前に行って、私と間宮は後ろに並ぶよ」


桜木はそう言うと、間宮の背中を押して、先に中に入っていた。


「俊樹君、私達も入ろうか」


佳奈の言葉に促されて、俺も中に入った。


中に入ると、桜木の指示の元、俺と佳奈はプリクラの設定をした。


写真を撮る、というアナウンスが流れると、ピースをして、という文章が表示された。


俺は、「これはなんだ」と、呟くと、後ろから、「指示に従って写真を撮るんだよ」と、声が飛んでくると、俺は慌ててピースをした。


その瞬間、シャッターの音が聞こえた。


そんな調子で写真を撮っていくと、次に表示された文章を見て、俺は驚いた。


そこには、手を握って、と表示されて俺は戸惑った。


「ほら、佳奈、長谷川、早く手を握って!」


「桜木と裕也は手を握らないのか?」


「握るわけないでしょ。佳奈と長谷川が握るの」


桜木の言葉に、心の中で、「なんで」と、思っていると、横に居た佳奈に袖を引かれた。


佳奈の方を見ると、佳奈は手を差し出し、「俊樹君、握ろう?」と、顔を赤く染めながら呟いた。


俺は、恥ずかしくなりながらも、そんな佳奈を見て可愛いと思うと、勇気を出して、俺は佳奈の手を握り返すのだった。


写真を撮り終えると、佳奈と桜木が、楽しそうに声を上げながら、落書きをし始めた。


俺と裕也は少し離れた場所で、その様子を見ていると、しばらくして、写真を手にした二人が戻って来た。


「はい、俊樹君」


佳奈が差し出した物を見ると、そこに写っている俺はとても目が大きくなっていた。


「これ、俺か?」


「そうだよ、可愛いよね」


佳奈の言葉を聞いて、もう一度写真を見て、これは可愛いのだろか、と思ったが、嬉しそうに見ている佳奈を見て微笑ましい気持ちになると、まぁ、良いか、と思うのだった。


☆☆☆


いつも読んで下さり、ありがとうございます!

次回以降、更新頻度が隔日になりますので、よろしくお願いします。

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