本音を語り、偽装が剥がれて。

場所を移して、現在ラブホに居ます。

終電を逃している俺と奈々は行先が無く、途方に暮れながら街中を無言で歩いていたんです。

そしたら、奈々に手を握られて、流れで……。


いや、まだ致したわけではないんです。

本当にホテルへ入ったばっかりなんですよ?


なぜか、俺はシャワーを浴びた後だし、奈々がシャワーを浴びている途中だけども。

ま、まぁ据え膳なら食べちゃうけど?


でも、相手は奈々だからな〜。

何言われるかな……。


既に酔いはぶっ飛んでるけど、追い酒をしたい気分。

二次会を抜け出すのに時間が掛かってあんな現場に遭遇した訳だが。


さて、どうしたものか……。


「ふぅ、なんだかスッキリしたわ」


「なぁ……どうして俺らホテルにいるんだ?」


「なんでって、決まってるじゃない。郁弥くんが逃げ出さないようにするためよ」


まだ湿っている黒髪。

ほのかに香るシャンプーの匂い。

極めつけは素肌の見えるバスローブ姿。


エロい。


食べたい……おっと、煩悩が溢れ出てしまった。

いかんな、社会人になってから女性との関わりが無くなってしまったが故の獣になってしまう所だった。


「あの……ね。私、まだ郁弥くんが好きなの」


「俺のことが好き?」


「うん。最初は確かに利害の一致による好き嫌い関係ない付き合いだったわ」


座るところがベッドしかなく、俺の隣に腰を下ろした奈々は俺の肩にもたれかかって来る。

動揺しつつも、奈々を拒むことはせず受け入れる。


「でも、何回も一緒にデート行ったりペアで学校行事をこなしている内に……」


「意識しちゃったのか……?」


「うん……。でも、恥ずかしくて言えなくて……。卒業したら大学の近くに借りる予定だったアパートで同棲しようって誘おうと思ってたんだけど……」


「悪かったな……」


まぁたしかに高校時代は二人で色んなことをやった。

体育祭では二人三脚でお互いの足を引っ張り合って口喧嘩したりした。

先生を困らせて、他の生徒に笑われたり。

文化祭では参加してないはずのカップル限定イベントでベストカップル賞を貰って偽装なのにって陰で苦笑したよな~。


思い出せば思い出すほど、懐かしさが溢れてくる。


「まぁ、別れ話を俺から言い出したのも結構悩んだんだよ……」


「悩んでた割にはズッパリだったわよ?」


「まぁ悩んだ末だからな……」


俺だって別れたくなかった。

でも、奈々が大学に行けば当然モテるだろうし、俺も仕事で会う時間も無くなることくらい予想が付く。

愛想付かれて浮気されるくらいなら、キッパリ別れちゃった方がいいと思ったわけで。


浮気されなかったとしても、俺が会いたくて仕事に手つかずになっちゃ元も子もない。

結局、別れちゃった方が俺の気が済んだ。


「そっか……。じゃあ、郁弥くんはまだ私のこと好きなんだ?」


「す、好きかな?」


「なんで疑問形なの?好きって言っちゃえばいいのに」


いつの間にか俺が膝枕するような恰好になっており、奈々の頭を左手で無意識に撫でていた。

下から見上げてニコって笑う奈々の表情は煽情的に思えた。

視線を奈々の顔から少し逸らすとバスローブの隙間から胸が丸見えになっている。


空いている右手が胸を触る。

だけど、触るだけに留める。


「んっ…。くすぐったい」


「弱いもんな」


「うん……。ねぇ続きしない?」


「いいのか?」


「うん、でも条件があるの」


「条件?」


横向きから上向きに態勢を変える奈々。

俺は上から見下ろす感じになった。


「もう一回私と付き合って。次は偽装じゃない、本物の関係。元カノから今カノにヨリを戻したいの」


「……それって俺からお願いするんじゃないのか?」


「私の方が掛ける負担大きいかもしれないから。束縛しちゃうかもしれないし……」


少し奈々の表情に陰りが現れた。

たしかに少しだけ束縛があった気もするが、考えてみれば当然の範疇だった気もする。

奈々はなにも悪くないのに別れた原因を考えたのだろう。


「高校のときより会える時間が減るぞ?」


「その分、濃密な時間を一緒に過ごせばいいのよ」


「じゃあ誓ってくれ。俺は仕事を、奈々は大学卒業するまでは学業に集中することに」


「うっ……。中々キツイわね、でも、付き合ってくれるなら誓うわ」


「そうか……」


中がキツイ?!

突き合う?!

やばい、奈々の言うことがエロい言葉にしか聞こえない……っ!


冷静になれっ!

付き合うのは全然問題ない。

というか、ヨリを戻したい気持ちは俺も一緒だ。


だけど、高校生だったから我慢できた性欲を抑えきれるか……。


「ねぇ。まだこの話続ける?」


「……なんでだ?」


「私……。我慢できないんだけど……」


「なにをだ?」


「むすっ!もういい!好きって気持ちを全部ぶつけるわ!」


結果的に俺よりも我慢できなかった奈々に食べられましたとさ。








3回戦くらいで疲れてシャワーを浴びて寝た。

朝起きて、一応シャワーを浴びていた際に乱入してきた奈々と一回戦交えてホテルから出ていく。


時刻はお昼前である。

表通りに出ると人がごった返していた。


「久々に昼の街に来たわ……」


「来ないの?」


「家から出ないからな……。あと車移動がメインだから人混み歩かないんだよ……」


「なるほど。とりあえずこれからどうしましょうか?」


はぐれないように昔の名残で手を絡めて繋ぐ。

とりあえず、奈々の誘導で駅へ向かう。

一度家に帰ろうと思う。


「私も郁弥くん家に行っていい?」


「いいけど、帰らなくていいのか?」


「夜帰れば大丈夫。あと、お母さまに挨拶しておきたい」


「なんて言われることやら……」


揶揄われるのは確定だろうな……。

でも、懐かしくて嬉しい気もする。






あっ……、帰って掃除しないとヤバいわ……。





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揉めるCカップと揉めるFカップ、どっちが好きですか?


作者は揉めるCカップが好きです。異論は認めます!

(シンプルにきょにゅーが苦手です)





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