第22話 ぴあの、開錠の歌を歌う
頼もしいヴォルナールに心揺れるぴあのだったが、発情を隠さずに向かってくるモンスターたちを退けながら戦っていくと体の底から湧き上がってくる疼きがまた段々増していくようで、紅潮する頬にしっとりと汗を浮かべていた。
(なんだか……ヴォルナールさんの側にいる時だけやたら体が熱くなるような気がする……)
ぴあのを守るために迷路の中では縦一列に並び、戦闘を剣士のアスティオ、二番目がパルマ、次がぴあので、その背後をヴォルナールが守る形で進んでいた。その陣形を基本として、前から来る脅威を捌いているが、横合いから後ろから突然向かってくるモンスターなどもいるのでその都度立ち位置を変えて対応していた。そんな中ヴォルナールと近く接触した時に胸のドキドキが止まらなくなることに気が付いたぴあのは、敵襲が途切れたタイミングで前を歩いているパルマに恥を忍んで声をかける。
「あの……すいません。えっと、私の体の呪い、ヴォルナールさんの近くにいると元気になる感じがするんです……。失礼かとは思うんですけど、ちょっとだけ離れて歩いていいでしょうか……」
「え、ほんとに? ちょっと……集合」
「うう……恥ずかしい」
パルマの声に一行は歩くのをやめ、顔を突き合わせて相談する形になった。
「すみません、すみません、守っていただいてる分際でっ」
「いや、仕方ない。賢い判断だ。よく申し出てくれた……」
「ピアノちゃんが限界になっても休める場所まで行かないと対応できないからね。安全を確保できるまで体の様子見てね」
「安全な場所って近くにあるんでしょうか」
「二番目の鍵を開けたらそう遠くないところにコボルトの集落があったはずだ。二年前に魔王を倒した後、オレらは彼らとは敵対しないって約束してる。泊めてもらえると思う。もともとそこで休憩するつもりでいたんだ」
休憩できるところがあるとアスティオから聞いて、ぴあのは少し落ち着いた。敵襲の真っただ中で発狂したり、男を求めて痴態を晒したりしないで済む。
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