第20話

96話 宝物庫

藤の都 天守閣。

・向日葵の部下「お帰りなさいませ。姫様。」

天守閣内で向日葵のたくさんの部下が出迎えた。

・向日葵「客人を連れてきたわ。もてなしてちょうだい。」

・部下「はい。もう準備は出来ております。」

・アーリス「わー!!広ーい!!」

アーリス、アルテミシア、トリカ、蜜柑は向日葵の城天守閣に来ていた。

・向日葵「アーリスさん、アルテミシアさん、トリカさん、それから蜜柑これはお礼です。櫻子の救出だけでなく結果的にこの国、藤の都を脅威から救ってもらった形になりましたね。本当に感謝いたします。思う存分楽しんでいってください。」

向日葵はたくさんの料理を振る舞いアーリス達をもてなした。

数時間後。

・アーリス「う〜。もう食べられない。」

・アルテミシア「アーリスは欲張りすぎなの!」

・蜜柑「そうじゃぞ。時には自らの欲を抑える事も大切なんじゃ。」

蜜柑はアルテミシアを後ろから抱きしめながら言った。

・トリカ「蜜柑さんも抑えられておりませんよ。」

みんなは笑った。

・向日葵「皆さん。楽しめましたか?それではそろそろ本題に入りましょうか。」

・向日葵「アーリスさんは何を知りたくて。」

・アーリス「実は俺、一部記憶がないんだ。だから記憶を戻す方法を探していて。」

・向日葵「記憶ですか。なるほど……やはりアーリスさんにゆかりのあるものを見たり聞いたりすることが鍵になると思われます。ですがそれが何なのか分かりませんよね。良かったら片喰家の宝物庫をご覧になられますか?そこなら色々な国の物や歴史書なんかもありますから、もしかしたらアーリスさんの故郷のものも見つかるかも知れません。」

アーリス達は宝物庫に向かった。

・アーリス「これが宝物庫……何もかもが大きすぎて、もう驚かなくなってきちゃった。」

・トリカ「ですがこれだけの所から探すとなると大変ですね。」

ガラガラガラ。

向日葵は宝物庫を開けた。

・全員「わ〜!!!!」

そこには金銀財宝だけでなく珍しい物、貴重な物、古い物が数え切れない程あった。

・蜜柑「わっちも入るのは初めてなのじゃ。……!!これは!!めんこい!!とてもめんこいのじゃ!!」

蜜柑はぬいぐるみを見つけて興奮していた。

・向日葵「それは私の幼い頃、好きだったぬいぐるみよ。いくらでも持っていっていいわよ。」

・蜜柑「いいのですかえ?!!!!」

・トリカ「これは……毒キノコの図鑑。それにこっちは麻酔治療の医術書。」

・アルテミシア「…………世界甘いもの巡り1087 まさか、最新のスイーツガイドブックなの!!」

・アーリス「わー!!鎧に甲冑!刀!に剣!!かっこいいー!!!」

皆それぞれ目的を忘れて宝物庫を楽しんでいた。

・アーリス「ん?これは赤国の……」

・向日葵「そう薔薇の城砦フォートローザの写真ですよ。ローズ家のお城ですね。そこら辺は赤国の歴史についてまとめてあります。」

・アーリス「あれ?俺も実際に見たけど、こんな形だったかな?」

・向日葵「確か、何度か改装されているみたいですね。」

・アーリス「でもこっちの方が見覚えがある気が……」

・アーリス「!!!!!!!!」

アーリスはある一枚の額縁に入った写真を見つけた。

その写真には二人の夫婦の姿が写っていた。

・アーリス「これ…は……?」

・向日葵「ああ、その方達はですね……あれ?どなたでしたっけ?おかしいですね。ここにあるものは全部把握しているのですが……」

ドクンッ!!

・アーリス「うっ!」

ドサッ。

・向日葵「アーリスさん!!!」

アーリスは頭を抑え倒れこんだ。

その拍子に額縁が下に落ちた。

アーリスが額縁を拾うと裏面には二人の名前が書いてあった。

・アーリス「ジュシャ クラスタ? ネリネ クラスタ?」

・アーリス「うっ!なんだか頭がクラクラする。」

・アルテミシア「アーリス?!!」

アルテミシア、トリカ、蜜柑は異変に気づいてアーリスの元にやってきた。

・向日葵「この写真を見て急に…」

・アーリス「大丈夫……もう収まってきたから。」

・アーリス「はぁはぁはぁはぁ。」

アーリスは呼吸も乱れていた。

・向日葵「一度宝物庫を出ましょうか。」

アーリスは別の部屋で気を落ち着かせていた。

数分後。

その部屋に向日葵が入ってきた。

・向日葵「あの写真を調べてきましたがやはりあの方たちが誰なのかわかりませんでした。なんだかおかしな気分です。私も記憶からすっぽり抜けてるような忘れているようなそんな感じがします。ただ分かったことは赤族の人物であること。でもローズ家ではないこと、です。」

・アーリス「そっか…ありがとう。」

・向日葵「おそらく、アーリスさんの記憶は戻ります。」

・アーリス「!!!」

・向日葵「先程の感じを見ていてそう思いました。ですがあれはトラウマです。ここからは推測の話になります。アーリスさんにとって嫌な記憶、辛い過去を知ることになるかも知れません。それでも聞きますか?」

・アーリス「うん。聞くよ。そのためにずっと旅をしてきたんだ。」

・向日葵「わかりました……」

・向日葵「あの写真、あの方達はアーリスさんのご両親ではないでしょうか?」

・アーリス「!!!!」

ドクンッ。


97話 第二の故郷

・アーリス「両親…………」

アーリスはいきなりの出来事に戸惑いを隠せないでいた。

・向日葵「少し古い写真になるので分かりませんが、アーリスさんに似ている気もします。」

・アーリス「でも、オレの色紋は……」

アーリスのその発言にその場にいた全員の頭にある考えが宿った。アーリスは捨てられたと。だがそう考えるのは至極当然のことだった。なぜなら無色インビジブルに捨て子が多いのはよく知られていることだったからだ。

・向日葵「そのことなのですが、こんな噂をご存じですか?色紋は変わることがあると。」

・アーリス「色紋が?」

・向日葵「ええ。そもそも色紋とは色素によって変わることはもう既にご存知のはずです。その色素についてはまだ解明されてないことも多く、現時点では身体に張り巡らされた根から作り出されるというものが一般的です。ですが最近では脳とも関係あるのではという意見に注目を集めています。脳、つまり記憶、アーリスさんは記憶を失ったせいで色紋の色も消えてしまったのでは?と仮説を立てることもできます。」

・アーリス「……」

・トリカ「あの、すみません。私からも気になる点が実はありまして。私はずっとローズ家の主治医をやらせてもらっているのですが、ローズ家以外に赤族を見たことも聞いた事もありません。」

・向日葵「そこなんですよね。私の認識もその通りで我々片喰家も昔から、同じ王族として赤族とは親交があるのですが……」

・向日葵「アーリスさん、大丈夫ですか?」

・アーリス「うん!大丈夫!少し戸惑っただけ。全部受け入れるって決めたから!!」

・向日葵「アーリスさん提案なのですが、アーリスさんが目が覚めてから育ったと言う故郷にもう一度帰って見るのはいかがですか?」

・アーリス「故郷に?」

・向日葵「はい。原点回帰で分かることもあるかもです。」

・アーリス「そうだね!今までの目的の向日葵姫にも会うことが出来たし一度帰ることにするよ。」

・アルテミシア「アーリスの故郷って確か……」

・アーリス「うん!白の森ホワイト フォレストだよ!!」

・向日葵「白の森ホワイト フォレストですか。あの妖精族の……また珍しい地域にお住みだったのですね。」

・アーリス「みんなはオレに優しくしてくれたんだ!」

・向日葵「そうでしたか……それならフォリア カンパニュラによろしく伝えてください。」

・アーリス「フォリアを知ってるの!!!!!!」

・向日葵「ええ。白の森ホワイト フォレストは知識を探求するものにとっては知りたくてしょうがない所です。私が小さい頃何度も何度もそこを訪れやっと森に入れて貰えたのは懐かしいことです。フォリアにはたくさん遊んでもらいましたわ。」

・アーリス「向日葵姫のことは必ず伝えるよ!!」

・向日葵「それに白の森ホワイト フォレストの近くには転移してあげることができます。」

・アーリス「本当!!助かるよ!!」

・向日葵「それでは出発は明日にしましょう。」

・アルテミシア「ねぇ。アーリス。ボクもアーリスの故郷ついて行ってもいいかな?なの。」

・アーリス「勿論だよ!!!みんなのこと紹介したいんだ!!トリカも蜜柑も来てくれる?」

・トリカ「最後までお供しますよ。」

・蜜柑「わっちはねぇたまとなら何処へでもいくでありんす。」

・アーリス「決まりだね!!」

その日の夜。

・アーリス「よっ!よっ!よっと!」

アーリスは天守閣の屋根に登った。

・アーリス「(やっとだ。やっとなにかわかる気がする。)」

アーリスは期待と不安を感じながら月にお祈りを捧げた。


98話 お帰り。

アーリス達の出発を見送るためにグラジオラスと櫻子が来ていた。

・グラジオラス「記憶戻るといいな!!」

・アーリス「うん!!なにか掴めそうなんだ!!」

そう言って二人は拳を合わせた。

・グラジオラス「落ち着いて、腰を据える場所でも見つけたら教えてくれよな。手紙書くから。」

・アーリス「楽しみにしてる!!」

・グラジオラス「トリカ、アーリスを頼んだ!」

・トリカ「ええ。なんだかんだもう結構長い付き合いですからね。」

トリカとグラジオラスも拳を合わせた。

・櫻子「蜜柑姉。アルテ姉。余は寂しいぞ……」

櫻子は涙を浮かべた。

・蜜柑「泣くでない、櫻子よ。すぐまた会える。」

・アルテミシア「櫻子のことも妹のように思ってるなの。」

・蜜柑「も、って言ったかえ?今確かにも、って。つまりわっちのことも!!!」

・アルテミシア「もうなの!!蜜柑はだまってるなの!」

櫻子はクスクスっと笑い、三人はハグをした。

・向日葵「それでは転移を開始します。」

・アーリス「向日葵姫!ありがとう!!」

・向日葵「いえ。あまりお役に立てず心苦しいです。」

・アーリス「十分だよ!!じゃあ行ってくるね!!」

・向日葵「行ってらっしゃい。」

アーリス達は光に包まれた。

フワァ。

アーリス達は白の森ホワイト フォレストの近くに転移された。

そこは薄暗く少し怖い雰囲気を放っていた。

・アーリス「こっちだよ。」

みんなはアーリスについて行く。

・トリカ「濃い霧ですね。」

・アルテミシア「迷子になりそうなの。」

・アーリス「結界?みたいなのが張ってあるみたいで、道を知らないとまず辿り着けないみたいなんだ。だからみんなオレから離れないでね。」

数十分後。

・アーリス「ついたよ。」

チュンチュン。サラサラ。

そこに広がっていたのは今まで歩いて来た森とは大違いなほど幻想的な森だった。鳥のさえずりと川のせせらぎが聞こえる。

・トリカ、アルテミシア、蜜柑「わ〜。」

・アルテミシア「綺麗なの。」

・蜜柑「この世界にこんな場所があったとは驚きじゃ。向日葵姫がこだわっていたのも頷けるのじゃ。」

するとどこからともなく声が聞こえてきた。

・???「おかえり。」

皆は声の方を見た。

・アーリス「フォリア!!!!!」

声をかけてきたのはフォリア カンパニュラだった。

妖精族のフォリアには羽が生えており。フォリアはふわりと宙に浮いていた。

・アーリス「久しぶり!!元気だった?!!!」

・フォリア「久しぶりってアーリスが旅に出てまだそんなに経ってないでしょ。」

・アーリス「もーう。妖精族と一緒にしないでよ!!」

・フォリア「そちらは?」

・アーリス「紹介するね!!オレの友達!!アルテミシアとトリカと蜜柑!!」

・フォリア「まあ、アーリスに友達が……なるほど、良い友達を持ったね。」

フォリアがそう言うとアルテミシアとトリカと蜜柑の体に気づかないうちに止まっていた蝶々がヒラヒラと飛んで行った。

・アーリス「自慢の友達なんだ!!!」

アーリスは嬉しそうに話した。

・フォリア「それじゃ、みんな案内するね。うちに着いてきて。」

フォリアの案内で少し歩くと村が見えてきた。

そこには妖精族や動物が仲良く暮らしていた。

・フォリア「お帰り。アーリス。」


99話 知

・アーリス「フォリア!ここまでは向日葵姫に送って貰ったんだ!!」

・フォリア「向日葵姫……ああ、あのちっこいのか。よくうちに着いて回ってたな。」

・アーリス「今は黄国を治めてるんだよ。」

・フォリア「まあ、妥当だな。あやつは賢かったからな。後にも先にもあやつだけだろうな。この森との良好な関係を築けたのは。」

・アーリス「やっぱり凄い人だったんだ。他にもいっぱいフォリアに話したいことがあるんだ!!」

・フォリア「…………」

・アーリス「フォリア?」

・フォリア「アーリスそんな思い出話をするために帰って来たのではないんだろう?何を見た?何を知った?そして何の為に帰って来た?」

・アーリス「…………」

アーリスが口を開く。

・アーリス「フォリア……クラスタって名前に着いて知らない?」

フォリアはそれを聞くなり話を中断した。

・フォリア「アーリス、うちに着いてきな。」

フォリアはアーリス達をある扉の前に連れてきた。

・アーリス「ここは……ずっと入っちゃダメだって。」

・フォリア「そう、ある人物に止められていたからね。そしてその人物がアーリスの口からクラスタと言う言葉が出てきた時に案内するようにも言われていた。」

・アーリス「ある人物?いったい誰なの?」

・フォリア「入ったらわかる。」

・アルテミシア「あの…ボクたちもいいなの?」

・フォリア「そなた達はアーリスの仲間なのであろう?」

アルテミシアはコクっと頷いた。

・フォリア「ならばかまわない。」

・アーリス「開けるね。」

ギィィ。

アーリスは少し古びたその扉をあけた。

アーリスが足を踏み入れるとそこには一枚の絵画があった。絵画には少女の姿が描かれていた。

・アーリス「…アリシア?」

・アーリス「ん?違う?似ている……だけ?」

ドクンッ!!!

その瞬間アーリスは少しずつ記憶が蘇る。

・アーリス「うぁっ、うっ、」

アーリスは頭を抱えて倒れ込む。

あの二人の夫婦。血だらけの少女。断片的な映像が脳に焼き付く。

・アーリス「うぅぁああああああああああ!!!!!」

アーリスは叫び出した。

・アルテミシア「アーリス!!!!!」

・トリカ「アーリスさん!!!!!」

アルテミシアとトリカ、蜜柑はその状況に戸惑いを隠せない様子だった。

アーリスの記憶の中で絵画の少女が自分を呼ぶ声がする。

・???「アマ…ス…様、アマリリス兄様!アマリリス兄様!!」

・アーリス「はぁはぁ、アマ……リリス?はぁ、誰だ?……オレ?はぁはぁ、俺を…呼んでいる?」

・アーリス「うぁっ、くっ、」

アーリスは全てを思い出したようだった。

・アーリス「そうか、……そうだっ…た、」

・アーリス「はぁはぁ、リコリス。リコリス……」

・アーリス「リコリス、リコリス、リコリス!リコリス!!リコリス!!!」

アーリスは地面を叩きながら叫んだ。

・アーリス「はぁはぁはぁはぁ…………」

アーリスは少しずつ落ち着きを取り戻し立ち上がった。

・アルテミシア「アーリ……ス?」

・アーリス「アルテ。すまない。」

・アルテミシア「(口調が変わった?)」

アーリスはそれだけを伝えてその場から出ていってしまった。

みんなは唖然としていた。

・フォリア「知りたいか?」

・アルテミシア「!!!」

・フォリア「そなた達には知る権利がある。アーリス……いや本当の名前はアマリリス クラスタ。こやつについて知る覚悟はあるか?」

フォリアは問う。


100話 過去

5年前 花暦1082年 赤花の城砦フォート リリー

・アマリリス「リコリス?リコリス!!あれ?どこ行ったんだ?」

【アマリリス クラスタ】当時12歳。

・アマリリス「!!あっ!いた。」

【リコリス クラスタ】アマリリスの妹当時10歳。

リコリスの両の手の平に火の光の玉が暖かそうに輝いていた。その光の玉はゆっくりと浮かび上がり弾けて地面に落ちた。すると辺り一面は一気に花畑となった。

・アマリリス「リコリス!」

・リコリス「あっ!アマリリス兄様!見てください。とても綺麗ですわ。」

リコリスは咲かせた花をアマリリスに見せながら喜んでいた。

・アマリリス「うん。とってもきれいだね。でもねリコリスあまりその力は使わないように言われてるでしょ。」

・リコリス「分かってますわ……」

リコリスは少し寂しそうな顔をした。

その時二人のことを呼ぶ優しい声が聞こえてきた。

・ネリネ「アマリリスー!リコリスー!」

【ネリネ クラスタ】アマリリスとリコリスの母親

・ネリネ「クッキーを焼いたからお茶にしましょ。」

・リコリス「やったー!!クッキーですわ!!」

リコリスはお菓子が大好きだった。

リコリスは走って母の元に向かった。

・ジュシャ「おやおや。リコリスは今日も元気だな。」

【ジュシャ クラスタ】太陽の帝国"サン・エンパイア"国王 アマリリスとリコリスの父親。

・リコリス「お父様!これ!お父様にプレゼントですわ。」

リコリスはジュシャに花を渡した。

・ジュシャ「おっ!綺麗な花だな!ありがとう、リコリス。」

ジュシャはリコリスの頭を撫でながら言った。

・アマリリス「父様。その花はリコリスが咲かせたんだ。」

・ジュシャ「そうか、凄いな!リコリス!」

・アマリリス「もう、違うでしょ、お父様。力を使ったんだ。周りに見つかると大変なんでしょ?だったらちゃんと叱ってよ。」

・ジュシャ「うーん。そうだな。その時はアマリリスがリコリスを守ってやるんだぞ。」

・アマリリス「それはそうだけど……父様はリコリスに甘すぎるよ。」

・ジュシャ「はっはっはっ。リコリス、兄さんはリコリスが心配なんだ。あまり兄さんを困らせるんじゃないぞ。」

・リコリス「分かっていますわ。アマリリス兄様、ごめんなさいですわ。」

・アマリリス「まっ、まあ分かってくれたならいいよ……」

その光景を見てネリネは微笑んでいた。

【太陽の火】リコリスには特別な力があった。産まれた時から火を克服しており成長するにつれ火を扱うことができることも分かった。その特別さ故に両親はこの力の存在を隠すことにした。それはリコリスを守るためでもあった。この力が周りに知られると力を狙う者がいてもおかしくないからだ。これを知るのは赤族の一部だけでその一部ではリコリスは太陽神ソレイユの産まれ代わりではないかと噂されていた。

・リコリス「明日は赤祭りですわ!!アマリリス兄様。一緒にお祭り回りましょう!!いいですわよね?お父様?!!」

・ジュシャ「年に1回のお祭りだ。楽しんで来なさい。その変わり絶対に兄さんと離れるんじゃないぞ。父さんと母さんは仕事があるから一緒には回れない。頼んだぞアマリリス!!」

・リコリス「やったー!!!」

・アマリリス「わかったよ、父様。」

翌日。城下町。

【赤祭り】太陽の帝国"サン・エンパイア"では太陽神ソレイユへの信仰を深める為のお祭りが年に一度開かれる。

・リコリス「見てください!アマリリス兄様!わたあめですわ!!こっちにはリンゴ飴も!!」

・アマリリス「リコリス、慌てないで祭りは始まったばかりだから。」

リコリスは目を輝せながら出店を周っていた。

それをアマリリスが追いかける。

ドスッ!

・アマリリス「いてっ、」

アマリリスなにかにぶつかった。

それはマスクをした悪党達だった。

・悪党「おいおい。どこ見て歩いてんだぁあ?!!王子様よぉお!!!」

・アマリリス「なんだ!!お前達は!!」

・悪党「へっへっへっ!!おじさん達はなぁあ!お前を攫いに来た悪者だよぉお!!!!」

悪党は身代金目当てでアマリリスを攫おうとしていたのだった。

・悪党「いつもお前には警備がべったりだからなぁあ!今日を狙ったってわけ!!」

・アマリリス「へっ!だからなんだってんだ!!来いよ!!」

悪党達はアマリリスに飛びかかる。

ドスッ!ドゴッ!バゴッ!

だがアーリスは悪党三人を返り討ちにする。

アーリスは幼少の頃から格闘術の稽古をしておりそこら辺の大人より強かったのである。

ドガッ!!!

だがアマリリスは後ろから鈍器のようなもので殴られた。

・アマリリス「うっ!!」

アマリリスは頭から血を流しながら倒れる。

・リコリス「アマリリス兄様!!!!」

リコリスは心配していた。

・悪党「よし、連れて行け!!くそ!手こずらせやがって!!」

アマリリスは担がれ連れて行かれそうになる。

・リコリス「待ちなさい!!!」

・悪党「ん?なんだ?」

・悪党「まさかお嬢ちゃん。今あんたが言ったのかい?」

・悪党「ボス!こいつこの王子の妹ですぜ!」

・悪党「うーん。別に嬢ちゃんには用はないんだけどな。まぁあついでに攫っとくか。」

・リコリス「アマリリス兄様を返して!!!!」

・リコリス「火花ひばな

リコリスの作り出した火の玉が弾け悪党の服に燃え移る。

・悪党「!!!!!!!!!!」

・悪党「熱っ!!!!あつっ!あつっ!!!」

悪党は燃えながら転がる。

・悪党「おいおいおい!!!あれはなんだ!!!もしかして火?火か!!!!!」

悪党は祭りで使用する櫓にぶつかった。

すると火は櫓に燃え移った。

・悪党「こんなん手に終えるかよ!!逃げるぞ!!」

悪党はアマリリスを置いて逃げて行った。

ブヲォオオオオオオオオオ!!!!

櫓は勢いよく燃え上がる。

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