第19話

91話 孤児

20年前。花暦1067年

・男A「まちやがれー!!」

・男B「おいっそっち行ったぞー!!」

・男C「へへっ!やっと追い詰めた。」

太陽の帝国"サン・エンパイア" のスラム街で一人の名無しの少年が三人の大人の男に追われていた。

・男A「さぁ、その手に持ってるものを返して貰おうか。」

・名無し「この陽光石は俺が見つけたんだ!!」

・男B「だがそれは俺達の堀場でだろう?っつーことは俺らの物ってことだよなぁあ!!」

・名無し「知るか!!そんなもの!!これは俺が見つけたんだ!!俺のものだ!!」

・男C「ちっ!めんどくせーな。もうこいつ殺してしまおうぜ。」

・男B「そうだな。」

男達はナイフを構えた。

・男達「死ねや!!」

男達なナイフを振りかざしてきた。

名無しの少年は陽光石をギュッと握りしめて目を瞑った。

グサッ!グサッ!グサッ!

・男達「うっ……おっ……」

少年の足元から植物が生えてきておりその植物は男達の体を貫通していた。

名無しの少年はゆっくりと目を開けて目の前の光景に驚いた。

・名無し「!!!」

・名無し「これを俺が?」

名無しの少年の色技が開花する瞬間であった。

名無しの少年は一気に疲労が訪れその場に倒れこんだ。

ガチャッ。ガチャッ。

そこに激情薔薇団オーズ ローズスの兵達が現れた。

・兵「隊長!!こちらへ!!」

そこに現れたのは当時22歳の激情薔薇団オーズローズス初代騎士隊長ウラノス ローズだった。

・ウラノス「これは……この少年がやったのか?」

・兵「そうだと思われます。」

・ウラノス「軽く色素枯渇を起こしているな。治療してやろう。連れて行け。」

・兵「はっ!!」

二時間後。

名無しの少年は病室で目を覚ました。

・名無し「ここは?」

・ウラノス「おっ!起きたか。」

・名無し「お前は?」

・ウラノス「ははっ!いきなりお前か。口の聞き方がなってないな。私はウラノス ローズ!先生と呼びなさい!」

・名無し「先生?」

・ウラノス「私がお前に口の聞き方、つまり教養!色技の使い方、つまり戦い方!を教えてやるってことだ。」

・名無し「先生もお前って…」

・ウラノス「先生はいいんだ!!」

・名無し「……」

・ウラノス「それより坊主、お前の名前は?」

・名無し「名前は……ない。」

・ウラノス「そうか…無色インビジブルだもんな。」

無色インビジブル】この世界、花園ガーデンでは、産まれたばかりの赤子に親の色素を流し込む。その色素の色により色紋の色が決まり、これが家系の目印となる。この行為をしなかった者、つまり捨て子などが無色インビジブルと呼ばれる。

・ウラノス「ならば私が付けてやろう!!」

・ウラノス「お前は今日からネイチャーだ!!」

・名無し「ネイチャー?」

・ウラノス「そうだ!ネイチャー、自然って意味だ。どうだ?気に入ったか?」

・ネイチャー「う、うん。」

ネイチャーは初めての名前に喜んでいた。

・ネイチャー「でもなんで俺なんかを?」

・ウラノス「私はこの国をよくする為に組織を立ち上げた。それが激情薔薇団オーズローズスだ。そしてその組織の初めの取り組みがこの国からスラムを無くすことだ。スラムの大人達には仕事を与え、子供達は孤児院に入ってもらった。そんな時にお前を見つけたってわけだ。」

・ネイチャー「なら俺も孤児院に?」

・ウラノス「いやお前にはとてつもない色技の才能を感じた。だから私が直々に鍛えてやる!!(それにあの色技はかなり危険だ。正しく使うように教えてやらないとな。)」

・ネイチャー「分かった…」

・ウラノス「そこは分かりました。ありがとうございます。だ!」

・ネイチャー「分かりました!!先生!!」

ネイチャーは親ができたみたいで喜んだ。


92話 計画書

花暦1072年。

・ネイチャー「先生!!」

・ウラノス「おう!ネイチャーよ。今回の任務も活躍したそうだなー!!」

・ネイチャー「はい!途中襲ってきた盗賊を俺の色技で薙ぎ払ってやりました!!」

・ウラノス「色技の扱いも長けてきたようだな。」

・ネイチャー「そうなんですよね。初めは色技を使うと疲労や倦怠感に見舞われることが多かったのですが今は息をすることと同じような当たり前の感覚なんです。今なら「あれ」もできそうです。」

・ウラノス「そうか!もしかしたら太陽の加護でもあるのかもな。お前なら次期隊長も任せられるかもな。」

・ネイチャー「精進します!!」

すると突然可愛らしい子供の声が聞こえてきた。

・ライト「パパ〜」

ライト当時4歳。

・ネイチャー「あら?息子さんですか?」

・ウラノス「そうだ。息子のライトだ。」

・ネイチャー「そういえば会うのは初めてですね。なんだか先生より優しい顔つきですね。」

ライトはウラノスの足の後ろに隠れた。

ウラノスはそれをグッと抱き抱えてライトをネイチャーの目の前に突き出した。

・ウラノス「そんなことないだろう!ほら!よく見てみろ!!目元なんて!!」

・ネイチャー「冗談ですよ。とてもそっくりです。きっと先生のような強い子に育つでしょうね。」

・ウラノス「ああ。お前のようにビシバシ鍛えていくつもりだ!!はっはっはっ!!」

ウラノスとネイチャーは笑いあった。

・ウラノス「そうだ。この前娘も産まれたばかりなんだ!!」

・ネイチャー「それはそれはおめでとうございます!!おや?ならば国王の娘さんと同い年ではないですか?」

・ウラノス「そうなんだよ。産まれた時期は二ヶ月しか変わらないんだ。」

・ネイチャー「では娘さん達がのびのび育てるようにこの国をしっかり守っていきます!!」

・ウラノス「おお!頼もしいな!いつかはライトもお前と並んで戦っている姿を見てみたいな!!」

・ネイチャー「それは今から楽しみですね!!」

さらに月日は流れ、花暦1077年

ネイチャーはとある計画書を見つけてしまう。その発案者はウラノスであった。

・ウラノス「探したぞ。ネイチャー。こんな所にいたか。明日はお前の隊長昇格任命式だ。私は誇らしいぞ。これからも……」

・ネイチャー「先生……」

ネイチャーは声が震えていた。

・ウラノス「ネイチャー?」

・ネイチャー「先生!!!!これはいったいどういうことですか!!!!!」

ネイチャーは持っていた計画書をウラノスに見せつけた。

・ウラノス「そっ、それは……」

・ネイチャー「本当なんですね…」

・ウラノス「ああ。」

・ネイチャー「今までの事はなんだったんですか……先生も俺も何のためにこの国を守ってきたんですか!!!!」

・ネイチャー「先生……俺は隊長にはなりません。これからはあなたの敵です。必ずあなたを止めてみせます。」

ネイチャーはそう言い残して走り去って行った。

・ウラノス「ネイチャー!!」

ウラノスの呼び掛けも虚しく消えていった。

この日隊長昇格任命式を前にしたネイチャーは失踪したのだった。


93話 帰還

時は現代に戻る。

辺り一面は焼け野原のようになっていて地面もあちこち隆起していて最初の面影は無くなっていた。

ウラノスは倒れそれをネイチャーが見下ろしていた。

・ウラノス「まさか……色相蕾咲…もう一つ使えるとはな……」

ネイチャーは鶴嘴を持つ反対の手にピッチフォークのような武器を持っていた。

・ネイチャー「……」

・ウラノス「本当にお前は……色技の才に恵まれてい…るな。」

・ネイチャー「あなたが本来の力を鍛え研磨していたらどうなっていたか分からなかったがな。そんな借り物に頼るからこのような結果になる。まあ、それも自然の流れなのかもしれないな。こうなることは決まっていたのであろう。」

・ライト「父上!!」

ライトが二人の元にとんできた。

・ライト「くっ!俺が!!」

・ウラノス「やめよ、ライト……」

・ライト「ですが!!」

・ウラノス「ネイチャーよ。ここは見逃して…くれぬか?」

・ネイチャー「あなたからやってきておいて虫のいい話だな。だが昔のよしみだ。いいだろう。」

・ウラノス「すまぬ…な。」

・ライト「あんたのことは調べた。まさか、俺の先輩だったなんてな。」

・ネイチャー「会ったのはお前が四つの時だったかな、覚えてないのも無理はない。」

・ライト「あんたの事を話したがらない者が多かったよ。だがみんな口を揃えてこう言った英雄だったと。」

・ネイチャー「だった…か。今もそのつもりなのだがな。」

・ライト「父上。行きましょう。」

ライトはウラノスに肩をかして歩いていった。

・ウラノス「ライトよ。……計画はお前が完遂…させよ。この世界の……ためだ。」

メラッ!

ウラノスとライトは姿を消した。

・マリー「ネイチャー!!」

マリーがネイチャーの元にやってきた。

ドサッ。

ネイチャーは尻もちを着いた。

・ネイチャー「危なかった。やはり最強のローズ家と謳われるだけある。見逃されたのはこっちの方だ。」

時は現在に戻る。

ウラノスは国へと戻り城で息を引き取った。

そして少しして世界中が驚くニュースが流れた。

「赤国の国王と青国の第二王子死去」

アーリス達は黄国に戻ってきた。

・薊「皆さん!!」

薊はアーリス達の元に駆け寄った。

・薊「櫻子様!!ご無事で!!」

薊は安堵の表情をして目に涙を浮かべていた。

・桂「ただいま戻りました!!」

・薊「よくやった!!よく帰った桂!!」

・桂「みんなの力がなければ櫻子様を助けることはできませんでした。」

ザッ!

桂と薊は正座して地面に頭をつけながら

・桂、薊「ありがとうございました!!!!!」

深々とお礼言った。

・アーリス「ほら二人とも頭をあげてみんなで掴んだ勝利だよ。桂も薊さんもいたからできたことなんだ!!」

・蜜柑「そうじゃ!そうじゃ!湿っぽい空気は終わりなのじゃ。櫻子とグラスの結婚も決まっておるのだから。」

・薊「結婚?!!」

櫻子は恥ずかしそう顔を赤めながらコクっと頷いた。

・蜜柑「二人ともぼさっとするでない!直ぐに結婚式の準備に取りかかるのじゃ!!」

・薊「了解しました!!」

薊と桂は走っていった。

・トリカ「フフ。なんだか慌ただしいですね。」

・グラジオラス「幸せになろうね。櫻子ちゃん。」

・櫻子「そっ、そう言うことは二人きりの時に言うものだぞ!!」

櫻子は照れていた。

・アルテミシア「みんなの笑顔が戻って良かったなの。」

その場は暖かい笑顔で溢れていた。

・蜜柑「ねぇたま、約束忘れてないでありんすね。」

ボソッ。

蜜柑はアルテミシアだけが聞こえるように耳元で囁いた。

・アルテミシア「!!!」


94話 約束の一日♡

鬼百合の屋敷では慌ただしく結婚式の準備が行われていた。

みんなは戦いの疲れから泥のように眠っていた。

・アルテミシア「ふわぁ。おはようなの。」

アルテミシアは眠い目を擦りながら起きてきた。

・蜜柑「ねぇたま、おはようなのじゃ。」

・アルテミシア「蜜柑は早いなの。」

・蜜柑「当たり前なのじゃ。今日は産まれてから一番楽しみにしておった日じゃ。」

蜜柑はアルテミシアに向かって両手を大きく広げた。

アルテミシアは蜜柑の顔を胸に押し当てるようにを抱きしめた。

・アルテミシア「ぎゅう〜なの。」

アルテミシアは蜜柑の頭を撫でながら

・アルテミシア「蜜柑、よく頑張ったなの。よしよしなの。」

蜜柑は嬉しさのあまり震えていた。

・蜜柑「(嗚呼、ねぇたまねぇたまねぇたまねぇたまねぇたまねぇたま、かわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい)」

口元からはよだれを垂らしていた。

・蜜柑「ジュる!!ねぇたま!!今日はねぇたまはわっちのものでありんす!!」

蜜柑はよだれを拭きながら言った。

・アルテミシア「わっ、分かったなの。覚悟は出来てるなの。」

・蜜柑「それではまずは街でデートなのじゃ。甘味巡りなのじゃ!」

・アルテミシア「スイーツなの〜!!」

アルテミシアは喜んでいた。

二人は街に出た。

・蜜柑「まずは団子じゃ!!ねぇたま、あーん。」

・アルテミシア「あーん。」

・アルテミシア「うーん!!甘くて美味しいなのー!!」

・蜜柑「次はわらび餅なのじゃ!!」

・アルテミシア「レッツゴー!!」

アルテミシアは無類の甘い物好きなためなんだかんだデートを楽しんでるのであった。

・アルテミシア「これも美味しいなの。ほら蜜柑も食べるなの。はい!あーん。」

・蜜柑「あーん!!」

・アルテミシア「美味しいなの?」

・蜜柑「美味しいのじゃ!!(正直味なんてしないのじゃ。ねぇたまが可愛すぎてなんも分からんのじゃ。)」

・アルテミシア「次に行くなのー!!」

ドサッ。

蜜柑は道端に倒れこんだ。

・蜜柑「嗚呼。なんて幸せな日なのじゃ。あんな表情のねぇたまが見れるなんて……いや、いつものつんつんしてるところもかわいいのじゃが……尊死してしまう。命がいくつあっても足りんのじゃ。」

数時間後。夕方。

二人は屋敷に帰ってきた。

・アルテミシア「美味しかったなのー!!それにしても全部奢ってくれて良かったの?なの。」

・蜜柑「金ならいっぱいあるのじゃ!安心するのじゃ!」

・蜜柑「それより外から帰って来たし、お風呂に入るのじゃ。(よし!本番はこっからなのじゃ!!)」

・アルテミシア「やっ、やっぱり一緒に入るなの?」

・蜜柑「当たり前なのじゃ。わっちが背中を流してあげるのじゃ。」

脱衣所。

アルテミシアはコソコソと服を脱ぎ始めた。

・蜜柑「ねぇたま、わっちが脱がしてあげるのじゃ。」

・アルテミシア「それくらい自分でできるなの!!」

・蜜柑「ねぇたま、今日はねぇたまはわっちのものでありんす。」

・アルテミシア「うぅ〜。」

アルテミシアは恥ずかしそうに抵抗するのをやめた。

ハラッ。

アルテミシアの衣服が床に落ちる。

風呂場。

わしゃわしゃ。

蜜柑はアルテミシアの頭を洗ってあげていた。

・蜜柑「痒いところは無いかえ?」

・アルテミシア「大丈夫なの。」

・蜜柑「それでは次は背中をっ」

・アルテミシア「背中はボクがやってあげるなの!!ボクも蜜柑にお礼がしたいなの!!(これ以上体を触られるのは恥ずかしいなの!)」

・蜜柑「……ではお願いするでありんす!!」

ゴシゴシ。

アルテミシアは蜜柑の背中をタオルでゴシゴシと洗った。

・蜜柑「嗚呼。気持ちいのじゃー。」

・アルテミシア「(それにしても蜜柑の、大きいなの……)」

カポーン。

蜜柑とアルテミシアは湯船に使った。

・蜜柑「極楽なのじゃ〜。」

・アルテミシア「なの〜。」

二人は風呂場から出てタオルで頭を拭きながら。

・アルテミシア「気持ち良かったなの。ポカポカするなのー。」

・蜜柑「……」

ガシッ!

蜜柑はアルテミシアの手を掴み引っ張るように寝室まで連れて行った。

・アルテミシア「ちょっ、ちょっとなの。」

寝室には布団が一枚だけ敷いてあった。

・蜜柑「ちょっと早いけどもう寝るのじゃ。」

蜜柑とアルテミシアは向かい合うように布団の上に正座して座った。

・蜜柑「ねぇたま、これは断ってもらっても構わんのじゃ。」

・アルテミシア「……」

・蜜柑「わっ、わっちにちゅうしてくれぬかえ?」

・アルテミシア「……ちゅっ、ちゅう?なの……」

蜜柑はコクっと頷いた。

・アルテミシア「分かったなの。恥ずかしいけど……今日ボクは蜜柑のものなの。」

二人はドキドキしており胸の鼓動が聞こえてきそうだった。

チュッ。

アルテミシアは蜜柑の唇にキスをした。

・蜜柑「!!!!!!!!!!!!!」

・蜜柑「えっ!!わっちはほっぺにちゅうのつもりだったのじゃが!!!!」

・アルテミシア「えっ?!!!それは聞いてないなのー!!!ずるいなのー!!!!!!」

・蜜柑「はぁはぁはぁはぁはぁ」

蜜柑はとても興奮していた。

・蜜柑「もう我慢できんのじゃ!」

ドサッ

蜜柑はアルテミシアを押し倒した。

・アルテミシア「!!!」

蜜柑はアルテミシアの目を見つめた。

・蜜柑「ねぇたま。今日はありがとうでありんす。幸せだったのじゃ。」

・アルテミシア「ボっ、ボクも楽しかったなの。」

・蜜柑「それなら良かったのじゃ!それじゃぁもう寝るのじゃ!」

アルテミシアと蜜柑は布団に入った。

・アルテミシア「(うぅ〜。やっぱり落ち着かないなの。)」

すると蜜柑の手がアルテミシアの体に伸びてきた。

・アルテミシア「!!!!(蜜柑!これ以上はなの!!)」

スゥー。スゥー。

・アルテミシア「??」

蜜柑の寝息が聞こえてきた。

蜜柑はアルテミシアに抱きつきながら寝言を言った。

・蜜柑「むにゃむにゃ…ねぇたま……大好きなのじゃ……」

・アルテミシア「……ボクもなの。」

アルテミシアは寝ている蜜柑の頭をなでた。


95話 結婚式

藤の都 幸せの花畑。

ゴーン。ゴーン。

結婚式場に祝福の鐘が鳴り響く。

・神父「誓の言葉を。」

・グラジオラス「グラジオラス。その名の通り、君を一生守り続ける剣になると誓います。」

・櫻子「あなたに寄り添い、あなたと共に歩み、あなたにこの純潔を捧げます。」

・神父「冠の儀を。」

グラジオラスと櫻子は互いの頭にシロツメクサの花冠をのせた。

二人は幸せに包まれていた。

・櫻子「では、ブーケトスをするぞ。」

そう言って櫻子は花束を後ろ向きに投げた。

ポスッ。

受け取ったのはアルテミシアだった。

・アルテミシア「とっちゃったなの。」

トコトコ。

櫻子がアルテミシアの所まで寄ってきた。

・櫻子「アルテ姉、幸せのおすそ分けだぞ。」

・アルテミシア「あっ、ありがとうなの。」

櫻子はアルテミシアの耳元でボソッと言った。

・櫻子「蜜柑姉をよろしくね!それともアーリスだったりして。でも聞いたぞ、アーリスには赤国の姫様というライバルがいるとか!」

・アルテミシア「どっ!どっちもそんなんじゃないなの!!!」

アルテミシアは恥ずかしがった。

・櫻子「ふふふ。」

櫻子は意地悪そうに笑った。

・櫻子「それからアルテ姉、余の洗脳を解いてくれてありがとう!!」

アルテミシアはコクっと頷いた。

結婚式の終わりを迎えそうなそんな時。

一人の女性が現れた。

式場はどよめいた。

・櫻子「向日葵姫様!!!」

それは片喰 向日葵だった。

・向日葵「櫻子結婚おめでとう。」

・櫻子「ありがとうございます。わざわざ向日葵姫様に来て頂けるなんて。」

向日葵は大きな花束を櫻子とグラジオラスに送った。

結婚式は終わりを迎えた。

向日葵姫はアーリス達に近寄って来た。

・向日葵「貴方がアーリスさんですね。聞いてますよ。私をお探しだったとか。」

・アーリス「そうなんだ。聞きたいことがいっぱいあるんだ!!」

・向日葵「それでは皆さん私の天守閣に御招待いたします。話はそこでお聞きします。皆さんには櫻子を救って貰った恩もあります。」

・アーリス「えっ!いいのー?あの大きなお城だよね!!」

アーリスは喜んだ。

・向日葵「ええ。勿論です。」

・グラジオラス「ありがとうございます。ですが俺達は今回は遠慮しておきます。」

・アーリス「えー!勿体ないよ!!」

・グラジオラス「ずっとバタバタしてたから櫻子ちゃんと二人でゆっくりしたいなって。」

櫻子も恥ずかしそうにコクっと頷いた。

・アーリス「そっかー。」

・グラジオラス「それからみんな、俺はこの国に住むことにした。櫻子と一緒にね。家族には手紙をだすよ。」

・アーリス「グラス!!一緒に旅ができて楽しかったよ!!こう言う時なんて言ったらいいかわかんないや。でもグラスのこと友達って思ってもいいかな?」

・グラジオラス「当たり前だ!!友達であり仲間だ!!ずっとずっとな!!」

みんなはグラジオラスと櫻子に各々別れの言葉を告げた。

・櫻子「蜜柑姉。今までありがとう。余には守ってくれる人ができた。だから蜜柑姉はこれから自由にして。余はもう大丈夫ぞ!!」

蜜柑は櫻子の影武者の任から解かれた。

蜜柑は色んな感情が一気に押し寄せてきて、泣きじゃくりながら櫻子に抱きついた。

・蜜柑「わっちはお主の影武者だったこと一回も嫌だと思った事はないからの!!これからはお互い幸せになるのじゃ!!」

櫻子と蜜柑は笑顔で別れを告げ合った。

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