第18話

86話 一方通行

数分前。

青雨国軍ハイドランジア基地

アリシアは手を合わせてアーリスの無事を祈っていた。

・アリシア「!!!」

アリシアを急に顔を上げて

・アリシア「アーリスが危ない!!」

耳のピアスに手を当てながら狼狽え始めた。

愛のピアスGPS】アリシアがアーリスに渡したピアス。クリスタルの部分にはアリシアの色素が練り込まれており、対象が針を体内に刺すことによりアリシアの色素が対象の体に混ざり込む。傷をおったりなどの身体の変化を、対象の中のアリシアの色素とアリシア自身の色素が呼応してアリシアのみ一方的に感知することができる。

・モンブラン「どうされましたか?アリシア様。」

・アリシア「アーリスが血を流しすぎてるわ。それに呼吸も荒い。」

・モンブラン「アリシア様が何故それを?」

・アリシア「…………」

アリシアは黙り込む。

モンブランはアリシアのピアスを触る仕草を見て察した。

・モンブラン「なるほど、あのピアスは……アリシア様、」

モンブランは諭すように話すがそれをアリシアは遮って、

・アリシア「わかってるわ!わかってるわ!!本当は渡すか迷ってたのだけれど、私、御守りだなんて言って……でも…我慢できなかったのですわ!アーリスがピアスを付けてくれた時、私は私の中にアーリスを感じることが出来たの!!アーリスと私がリンクしてる、その感覚が堪らなくて……」

アリシアは恍惚な表情を浮かべていた。

モンブランはやれやれと呆れた表情をした。

アリシアは我に返り、

・アリシア「はっ!そんなこと言ってる場合じゃないのですわ!!モンブラン!私をアーリスの所まで飛ばして!!アーリスを助けに行きたいの!!私の色素を使えば直接アーリスの元に行けるはず!!」

・モンブラン「ですがアリシア様をそんな危険な所に……」

・アリシア「!!!!!!!」

アリシアは驚いた。それはアーリスがビオラに心臓を貫かれた瞬間であった。

・アリシア「モンブラン!!早く!!お願い!!アーリスが!!アーリスの鼓動がどんどん小さくなっていく!!」

アリシアは緊迫した表情で言った。

・モンブラン「私から離れないでくださいよ。」

そう言うとモンブランはアリシアの手を握った。

・モンブラン「ノアの方舟ノアのはこぶね

現在。

・ビオラ「火ですか。ただでさえブルームは火が苦手なのに私とは相性最悪ですね。」

・モンブラン「アリシア様、私が時間を稼ぎます。その間に対策を。」

・アリシア「ありがとうですわ。もう考えはあるの。」

アリシアはアーリスの治療を続けた。

・モンブラン「それでは私がお相手致します。」

モンブランは万年筆を構えた。

・ビオラ「ほう。表情でわかりますよ。たくさん修羅場をくぐって来てる顔ですね。」

モンブランは飛び出した。

・アーリス「ゴボッ!ゴボッ!」

・アリシア「アーリス!!良かった!何とか間に合いましたわ!」

・アーリス「アリシア?何故君がここに?」

・アリシア「そっ、それは…それは後で説明いたしますわ。今はビオラを倒さないとですわ。」

・アーリス「そうだね。」

アーリスは立ち上がった。

・アーリス「これは君が?」

アーリスは心臓を押さえていった。

アリシアはコクっと頷いた。

・アーリス「ありがとう!アリシア!」

・アリシア「当たり前のことをしただけですわ。」

アリシアは照れた。

・アリシア「それでアーリス。私に作戦があるのですわ。」

・アーリス「作戦?」

・アリシア「そう。アーリス、私を覗いて。」

・アーリス「覗く?」

・アリシア「あっ!違うの!あっ!違わないけどそうじゃないのですわ!!」

アリシアは恥ずかしそうにあたふたした。

・アリシア「アーリスの記憶の色技で私の【火】を覗いて欲しいのですわ。そしてその【火】をアーリス自身に上書きするのですわ。」

・アーリス「アリシアの色技を使うってこと?でもそれは根の代償が大き過ぎて……」

ゴトッゴトッゴトッ。

アリシアは床にたくさんの陽炎石を落とした。

・アリシア「これを使ってですわ。」

・アーリス「なるほど。これなら……」

・アリシア「ですがこれだけあっても色技が使えるリミットは多分もって5分ですわ。」

・アーリス「分かった。嘘吐きの大鎌ライアーズ サイズ

アーリスは大鎌をだした。

・アーリス「怖いかもしれないけど安心して。」

・アリシア「ええ、大丈夫ですわ。アーリスの全てを受け入れる準備はできておりますわ。」

・アーリス「記憶盗視メモリースニーク

スカッ!

アーリスの煙の大鎌がアリシアの頭を通る。

・アーリス「記憶上書オーバーライト

アーリスは自らに鎌を突き刺し、陽炎石に触れた。

パァァァ!

陽炎石は光だした。

・アーリス「できた。」

・アーリス「水仙の篭手ホワイト ガントレット 水仙の脚纏ホワイト レガース

・アーリス「よし!!いくぞ!!」

ゴンッ!!

アーリスは両拳を合わせた。

ボワッ!!!

アーリスの篭手と脚纏は炎で包まれ燃え上がった。


87話 燃え上がる水仙

ビオラとモンブランは激しい攻防を繰り広げていた。

・モンブラン「(なんて手練でしょう。間違いなく私が戦って来た中で一番強いお方です。)」

二人の戦いの真上に影ができる。

・ビオラ、モンブラン「!!」

二人は後ろに飛んで退いた。

ドゴーン!!!

アーリスの攻撃が床を抉る。

・アーリス「モンブランさん!!後はオレに任せて!」

・モンブラン「アーリス殿!その姿は!!」

・アーリス「うん!!アリシアに借りたんだ!!」

・モンブラン「では、私はこれで。(これ以上は戦いの邪魔になりそうですね。)」

・ビオラ「おっと、流石の私もそれは驚きです、ね!!」

ビオラの血氷がアーリスを襲う。

ガンッ!

アーリスは受け止めた。

ボワッ!!

氷は炎で溶けだした。

アリシアはレインの元に向かった。

・アリシア「不死鳥の灯火ふしちょうのともしび

レインの傷は癒えていく。

・レイン「はぁはぁ。すまない。」

レインはアリシアにお礼を言った。

レインはアーリスを見ていた。

・レイン「(それにしてもあの力は何だ?アーリスが他人の色技を使える能力をもっていたとして【火】を扱うことが普通のやつにできるのか?あの力はローズ家だけのものじゃ……)」

・ビオラ「私がおされるなんて、そんなのは美しくないですね。」

・ビオラ「氷血鎧グラセ・サン・アルミュール

ピキピキピキ

ビオラは氷の鎧で包まれた。

ビオラは刺剣を腰に納刀した。

ビオラはグッと拳を握りアーリスに突っ込んでいく。

ズーン!!!

アーリスとビオラの拳が激突する。

続けてビオラのハイキック、アーリスを片腕で防ぐ。

アーリはガードした逆の腕でみぞおちにエルボー。

バキンッ!

・ビオラ「くっ!」

ビオラ後ろに後退。

・アーリス「ギア上げてくよ!!」

アーリスの右拳。

ビオラは何とかガードをする。

だがそこからアーリスの連打。

ビオラはどんどんガードが追いつかなくなる。

ビオラは吹き飛ばされ片膝をつく。

・ビオラ「はぁはぁはぁ。(相性が悪すぎる。いやそれだけではなく、あの力……まるで底が無い…)」

・アーリス「これで終わりだ。」

アーリスは高く上に飛んだ。

・ビオラ「負けられません!!ふふふふ。私がこの世界を支配してさしあげます!!!」

ビオラは持っている陽炎石のクリスタルを全て割った。

ビオラに力が流れ込み色素量が大幅に増える。

・ビオラ「絶対零度アブソリュート・ゼロ

ビキビキビキビキ!!!

ビオラの鎧は強固になってゆく。

・アーリス「水仙の焔しろきほむら

アーリスは思いっきり拳を振り下ろす。

ズゴーーーーン!!!!

ビオラの鎧は剥がれ、アーリスの拳の勢いは止まらず床を破壊して貫通した。

ゴゴゴゴゴゴ!!!

更にその下の階の床も貫通。

・モンブラン「アリシア様!!」

モンブランはアリシアを抱き抱える。

パンビラの古城の3階と2階の床には大きな穴が空き、レイン、アリシア、モンブランは下の階へと落ちてゆく。

ズゴンッ!!!!!

ビオラは1階の床に勢いよく叩きつけられた。

そしてその階はグラジオラス達が戦っていた場所であった。

・グラジオラス、アルテミシア、桂、ダンデ「!!!!!!!!」

・アルテミシア「アーリス!!!!」

・アーリス「よし!!!!」

アーリスは勝利を知らせるように拳を突き上げた。


88話 戦と死

スタッ!スタッ!

アリシアを抱えたモンブランとレインは1階に着地した。

・アルテミシア「アーリス。その炎……」

・アーリス「これはアリシアに借りたんだ!!ありがとね!!アリシア!!」

・桂「何故ここにアリシア様が?」

・アーリス「あれ?なんでだっけ?」

・アーリス「!!」

アーリスは倒れている弁慶と介抱されている櫻子を目にした。

アーリスはグラジオラスの元に駆け寄り拳を突き出した。

グラジオラスはそれに応えるように拳を合わせた。

・アーリス「やったね!!」

・グラジオラス「おう!!」

そこに蜜柑とトリカ、モルトがやってきた。

・アーリス「良かったみんな無事みたいだね!」

蜜柑はアルテミシアの元に駆け寄り思いっきり抱きついた。

・蜜柑「ねぇーたまーー!!!」

・アルテミシア「蜜柑!心配したなの!!もう!無理しないなの!!」

アルテミシアは少しだけ目に涙を浮かべていた。

・蜜柑「へへへ。全然大丈夫でありんす。わっちはねぇたまを残して絶対に死なないのじゃ!!」

アルテミシアは蜜柑を抱きしめた。

・蜜柑「あわわ、、ねぇたまそんなに強く抱きしめっ……嗚呼ねぇたまの匂いぃ!!」

・蜜柑「あっ!いかんのじゃ!ねぇたま!それより櫻子は?!!」

・アルテミシア「安心するなの。治療は終わって、今はまだ寝てるなの。」

アルテミシアは櫻子の洗脳を解くことに成功していた。

・蜜柑「グラス!……グラジオラス。櫻子を助けてくれて本当に感謝するのじゃ。」

蜜柑はグラジオラスに深々とお礼のお辞儀をした。

・グラジオラス「こちらこそありがとう。蜜柑のおかげでここまでたどり着くことができたんだよ。本当は蜜柑がここに一番来たかったはずなのに。」

蜜柑は涙を流しながら寝ている櫻子の頭をさすった。

・蜜柑「櫻子よ、済まなかったのじゃ。怖い思いをさせて、わっちはお主を守ってやることができなかったのじゃ……」

蜜柑は声を震わせていた。

アルテミシアは無言で蜜柑の頭を撫でた。

・レイン「これで戦争は終わりだ。」

レインの言葉でみんな安堵の表情になった。

ガサッ!

その音に全員が視線を向ける。

倒れているビオラの元に一人の人物が立っていた。

それはもう一人のⅢ翼吸血鬼ヴァンパイア サード【スミレ ドラキュラ】の姿だった。

・全員「!!!」

・スミレ「ビオラ様。起きる時間でございます。」

スミレはそう言いながらビオラの胸に手を当てて色素を送り込んだ。

パチッ!!

ビオラは目を見開いた。

そして次の瞬間。

ガブッ!!!!

ビオラはスミレの首筋に噛み付いた。

全員その異様な光景にわけが分からずただただ見ることしか出来ないでいた。

・スミレ「存在献上オファリング

ビオラの身体は枯れるように萎れた。

・ビオラ「ふふふふふふふ!!!ありがとうスミレ。」

ビオラはスミレを乗っ取ったのだった。

それを見てビオラの復活を察したアーリスとグラジオラスはビオラに飛びかかる。

・ビオラ「氷海メール・ド・グラース

氷の波の広範囲攻撃。

櫻子と近くにいたアルテミシア以外の足は凍らされた。

シュッ!

ビオラは櫻子の元に現れた。

・ビオラ「櫻子。もう一度私のものになりなさい。」

ビオラは櫻子の力を再び利用しようと近づいた。

・アルテミシア「させないなの!!!」

アルテミシアは櫻子を庇う。

・ビオラ「なんですか貴方は?ああ、なるほど貴方が洗脳を解いたのですね。ならば貴方には死んで貰いましょう。」

ビオラは刺剣をアルテミシアに振りかざす。

・アーリス「アルテ!!!!!」

バチンッ!!!

グサッ!!!!

・ビオラ「!!!」

・アルテミシア「どっ、どうしてなの……レイン!!」

レインはアルテミシアを庇ったのだった。

ビオラの剣はレインのお腹を突き刺していた。

・レイン「ゴフッ!!」

レインは吐血した。

・ビオラ「また回復されたら厄介ですね。」

・ビオラ「氷散ディスパーション

ズババッ!!

レインの身体は氷で串刺しになった。

・ビオラ「レイン殿。もう貴方はいらないです。死んでください。」

・レイン「はっはっはっ!!いいぜ!!死んでやるぜ!!だがなぁあ!!てめぇも一緒にだぁあ!!!」

レインはがっちりとビオラを掴んだ。

バチバチバチバチ。

・レイン「雷雨鳴あまなり

ドゴーーーン!!!!!

ビオラに大きな雷が降り注いだ。

ドサッ。

ビオラは倒れた。

パリンッ!!

レインの氷と全員を拘束していた氷は割れて無くなった。

レインも倒れる。

・アルテミシア「レイン!!レイン!!どうして、ボクを?……」

・レイン「ちっ。知ら……ねぇよ…」

・アルテミシア「ボクが!今ボクが治してあげるなの!!(どうしよう!!血が止まらない!!)」

アルテミシアは治療しようとしたがレインがそれを止めた。

・レイン「もう……いい。」

・アルテミシア「でもっ!!でもっ!!」

・レイン「アルテ…ミシア、最後に言わせて…くれ。」

・アルテミシア「??」

・レイン「すまなかった。」

・アルテミシア「!!」

・アルテミシア「………………」

・アルテミシア「許すことは!!絶対にできないなの!!だけどっ!!うわーーーん!!!」

アルテミシアは感情がぐちゃぐちゃになり泣き出した。

・レイン「それ…で、いいん…だ。決して許さないで…くれ。」

・レイン「お前は…間違ってない。そして俺も…間違ってない。任務を果たすこと…ができた。後悔は……ない。」

レインは息を引き取った。

いつも怒っていたレインは最後笑って死んでいったのであった。

・アーリス「レイーン!!!」

・モルト「レイン中将!!!」

・ダンデ「レイン中将!!!」

アーリス達はレインの名前を呼び看取った。


89話 別れと繋がり

雪國スノードロップ 白百合の丘 墓地。

・レーゲン「レイン。お前程国を思っていたやつはいなかったな。自らを犠牲にして任務を全うする姿。お前の花言葉【辛抱強さ】がそうさせたのかな。長かった戦争は終わった。おまえのおかげでこの国は今幸せの雨が降っている。」

アーリス達はレインと戦争で亡くなった者達の葬式を行っていた。

ゴーン。ゴーン。

白百合の丘に弔いの鐘が鳴り響く。

ポツポツポツ。

雨が降ってきた。

・レーゲン「いい天気だな。」

青大陸の5年以上に渡る内戦は終結し青族の王テンペスタの統治の元、国の再建が始まる。青国の発展を促進させるため他国との交流も深める。今まで他国に内戦を悟られないようにと作られた冷徹の壁ブルー ウォールの一部撤廃が決定された。

翌日。

櫻子は病室でまだ目を覚まさないでいた。

病室にはアーリス、アルテミシア、トリカ、グラジオラス、蜜柑、桂、アリシア、モンブランがいた。

グラジオラスは寝ている櫻子の手を握っていた。

・アーリス「アリシア…ごめん。この前もらった御守りのピアス、戦いで少し壊れちゃった。」

ピアスのクリスタルの部分にヒビが入っていた。

・アリシア「全然っ、そっ、それくらい!大丈夫ですわ!!」

アーリスはピアスの効果を知らないままである。その効果もクリスタルが破損した事により無くなっていた。

・アーリス「ふぅ。良かった。これはこのまま付けさせて貰うね!!」

・アリシア「(良くない!!良くない!!良くない!!嗚呼私とアーリスとの繋がりがぁ!!!)」

・アリシア「ええ。ありがとうですわ。」

アリシアは精一杯の去勢を張っていた。

そんなたわいもない話をしていると。

・グラジオラス「櫻子ちゃん!!!!」

櫻子が目を覚ましたのだった。

・櫻子「グっ、グラス?」

・グラジオラス「櫻子ちゃーーーーーん!!!」

グラジオラスは櫻子に抱きついた。

・櫻子「ちょっ、ちょっと皆がおる前で、余は恥ずかしいぞ。」

・蜜柑「櫻子……」

蜜柑は目に涙を浮かべていた。

・櫻子「蜜柑……」

蜜柑も櫻子と抱き合った。

・櫻子「皆、余を助けてくれてありがとう。」

・アーリス「そんなこと当たり前だよ!!」

櫻子は嬉しそうな表情を浮かべた。

・グラジオラス「櫻子ちゃん、伝えたい事があるんだ。」

・櫻子「伝えたいこと?」

・グラジオラス「俺は櫻子ちゃんが大好きだ!!それはもう知ってるよね?」

・櫻子「しっ、知ってはおるが、皆の前で……」

櫻子は恥ずかしそうにしている。

・グラジオラス「櫻子ちゃんをもっと近くで守りたい。櫻子ちゃんの隣にいたい。だから俺と結婚しよう!!!」

・櫻子「!!!」

・全員「!!!」

櫻子もその場にいた全員もグラジオラスの突然のプロポーズに驚いていた。

・アルテミシア「グラス、いきなり結婚って!まずはお付き合いからでもなの……」

その場が一瞬沈黙になる。

そして櫻子が口を開く。

・櫻子「余っ、余もグラスと一緒になりたい……」

・全員「うわーー!!!!」

その言葉を聞いて場は盛り上がった。

・櫻子「実は……余が操られている間、身体は言う事をきかなかったのだけれど、グラスの戦う姿、余を守ってくれる姿が薄らと見えておったのだ。余も……グラスに惚れてしまったのだ……」

グラジオラスは嬉しさのあまり固まっていた。

・アーリス「良かったね!!グラス!!」

・蜜柑「よし!!そうと決まれば藤の都で結婚式の準備をするのじゃ!!」

コンコンッ。

盛り上がっている中病室の扉からノックが聞こえた。

・モルト「アリシア様。少しお時間を。」

モルトがアリシアを呼び出した。アリシアは病院の外に出た。

アリシアは直ぐに病室に戻ってきた。

・アーリス「アリシア、どうしたの?」

・アリシア「いえ。何にもありませんわ。ちょっと私用で直ぐに国に戻らなくてはなりませんくて。」

・アーリス「そっか。大丈夫?」

アーリスはいつもと違うアリシアを心配した。

・アリシア「ええ。」

・アリシア「グラス様!櫻子様!ご結婚おめでとうですわ!!申し訳ありません。直ぐに国に帰らなければならなくて、必ず今度またお祝いをさせてください!!」

アリシアは祝福の言葉を二人に送った。

・グラジオラス、櫻子「ありがとうございます。」

二人はお礼を言った。

・アリシア「モンブラン、行きますわ。」

・モンブラン「承知致しました。」

アリシアとモンブランは会釈をしてその場を後にした。

ガチャ。

アリシアとモンブランは病院を出た。

・モンブラン「アリシア様どうなされたのでしょうか?」

・アリシア「お父様が戦死しました。」


90話 乱咲のリーダーと赤国の王

二日前。とある孤島、乱咲のアジト。

・ネイチャー「まさかここが見つかるとはな。裏切り者でもいるのかな。」

・ウラノス「随分と余裕だな。ネイチャーよ。お前の悪事も今日この日をもって終わりだ。」

・ネイチャー「悪事…か。世界には悪も正義もない。ただただ流れる自然の摂理があるだけだ。」

・ライト「父上。ここは俺が。」

・ウラノス「いやお前は手をだすな。」

・ライト「ですが相手は乱咲のリーダー……いや……なんでもありません。」

ライトはウラノスの顔をみて途中で言葉を止めた。

・マリー「まさか、乱咲のアジトに二人だけで乗り込んで来たわけ?」

・ライト「そちらも二人だけだろう?」

・マリー「なによ。気づいてたのね。」

・ネイチャー「仲間にも聞かれたくない事でもあるのだもろう。ですよね。先生。」

・ウラノス「先生か…まだそう呼んでくれるのか?」

・ネイチャー「それもいいだろう。だが時は流れた。もうどちらもそういった立場では居られない。」

・ウラノス「そうだな。……ネイチャーよ、何故悪に手を染めた?」

・ネイチャー「悪に?さっきも言ったが悪いことをしているつもりは無い。ただ一つの目的があるだけだ。そうあなたを止めること。あなたのやろうとしてる事は自然に逆らう行為だ。その目的を果たすために、力をつけた、仲間を募った。そしてこれが最短ルートであっただけだ。」

・ウラノス「止める?やはり勘違いしてるようだな。だがここまで来てしまってはもう遅い。お前の言う自然の摂理というものに任せよう。どちらかの死をもって。」

メラッ。

ウラノスの体に火が灯る。

・ネイチャー「マリー。下がっていろ。」

・ウラノス「ライト。お前もだ。」

ライトとマリーは二人から離れた。

・ウラノス「色相蕾咲」

・ネイチャー「色相蕾咲」

・ライト「いきなりか。出し惜しみ出来ないってわけね。父上の本気を見るのは初めてだな。」

・ウラノス「炯眼の王冠ラー クラウン

・ネイチャー「慧眼の鶴嘴ホルス ピカクス

ウラノスの頭には王冠がネイチャーの手には鶴嘴が現れた。

トンッ。

ネイチャーは鶴嘴で地面を叩いた。

・ネイチャー「自然園芸ガーデニング

ズワズワズワ!!!!

地面からはたくさんの植物が生えてきてウラノスを襲う。

・ウラノス「花火はなび

ウラノスの手のひらから光の玉が浮かび上がりそれは爆発した。

ヒュー。バーーーーン!!!

無数に火の玉が落ちてきて。ネイチャーの植物を燃やした。

・ネイチャー「やはり火の色技、最強と言っても過言じゃないな。だが大自然に比べるとちっぽけなもの。圧倒的、これがなんなのかを教えてやる。」

・ネイチャー「食色植物カラー イーター

ニョキニョキニョキ。

辺り一面に巨大な食虫植物のような生物が数百体以上生えてきた。その植物は自らで動きウラノスを襲った。

ボワァ!!

ウラノスは火で焼き払う。

・ネイチャー「色彩強奪剽窃カラー ドレイン

だがウラノスの火は光へと代わり植物達に吸収されていった。

・ネイチャー「色反射リフレクション

ビューン!!!!

吸収された光は光線となりウラノスへと跳ね返された

色彩強奪剽窃カラー ドレイン】全ての色技は色素から作り出される。この技は相手の色技を色素の状態へと戻し光の姿に変換させる。その光を吸収することにより相手の色素を奪うことができる。根の代償は吸収する媒体がキャパオーバーすると自らにダメージを与えてしまう。ネイチャーはこれを克服するために吸収する媒体を食色植物カラー イーターという生物の形にした。この生物は色素で際限なく成長するためキャパの概念を取り払った。

・ウラノス「強くなったな。ネイチャーよ。」

・ネイチャー「貴方を超えるためだ。」

・ウラノス「ならば私の火とお前の自然どちらが勝るか決めようではないか。」

・ネイチャー「戯れか?まるで昔を思い出すな。」

・ウラノス「懐かしかろう。」

・ネイチャー「そうだな。」

二人はフッと笑った。

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