第17話
81話 金
・弁慶「逃がしませんよ!!」
弁慶はダンデに襲いかかる。
ガキンッ!!
・グラジオラス「お前の相手は俺だろ。」
グラジオラスがダンデとの間に入り弁慶の攻撃を止める。
・弁慶「執拗い方ですね。」
・グラジオラス「
グラジオラスは弁慶を自らの影に入れて百千蘇芳の影に送った。
・ダンデ「ありがとうグラス!!後は僕に任せて!!」
そう言いながらダンデは貯金箱の中に入った。
ヌルッ。
ダンデは貯金箱の中を落ちていく。
ガサッ。
ダンデは持っていたライトで周囲を照らした。
・ダンデ「こ、これは、……」
そこには数えきれない程のお札があった。
・ダンデ「すっ、すごい………はっ!驚いてる暇なんてない!!」
ダンデは陽炎爆弾を二つだした。
・ダンデ「たしか、アリシア様がこれにはもうひとつの使い方があると……ここをこうして……」
ダンデは陽炎爆弾の起爆装置を取り除いた。爆弾は陽炎石のみとなった。
・ダンデ「これを!!」
ガツンッ!!
ダンデは陽炎石と陽炎石を思いっきりぶつけた。
すると。
ボワッ!!
陽炎石には火が着いた。
ダンデは火がついた石をお札の上にに投げ捨てた。
ボワッッッ!!!!!
お札は瞬く間に燃え上がり辺りは火の海となった。
・ダンデ「熱っ!!!!早く脱出しないと。」
ダンデは急いで貯金箱からでた。
・ダンデ「グラスーー!!!やったよ!!僕やったよー!!!!」
・弁慶「まさかここまで追い込まれるとは…まさに背水の陣ですな。」
弁慶の
・グラジオラス「ナイスダンデ!!ここからは俺に任せて!!」
キンッ!キンッ!カンッ!!
グラジオラスと弁慶の激しい攻防。
・グラジオラス「(くっ、まだ押される。財源は無くなったはずなのに、どうしてあの武器は消えない?)」
弁慶は損切りをしていた。
・弁慶「本当に腹ただしい。あれを貯めるためにどれだけの時間と労力がかかっているのかも知らずに。」
・グラジオラス「腹が立っているのはこっちの方だ!!お金なんかのためにどれだけの悪事を働いてきたんだ!!」
・弁慶「お金なんか?おやおや、金を馬鹿にしてはいけませんよ。この世の一番の功績は何か分かりますか?……それは価値を数値化したことです。つまり金の存在です。こうすることにより文字通り価値が目に見えるようになりました。即ちこの世の全ては金次第ということになりましょう。」
・グラジオラス「お金なんて要らない!!俺は好きなこが隣で笑ってくれている、ただそれだけあれば満足だ!!」
・弁慶「やはりまだ青い。好きなこ?もしかしてあそこの無機質な娘のことですか?」
・グラジオラス「ピキッ」
・弁慶「そうだ!!あなた方には責任を取って貰わないといけませんのでね。あの娘にも価値を与えてあげましょう。また陽炎石を作って貰います。まぁ小銭稼ぎくらいにはなるでしょう。」
・グラジオラス「取り消せ……」
・弁慶「ん?」
・グラジオラス「今の言葉、取り消せ!!!櫻子ちゃんを悪く言うな!!!!」
・グラジオラス「来い。
グラジオラスの横に大きな黒い鯉が現れた。
82話 恋
グラジオラスの色素は急激に濃くなった。その理由は櫻子を侮辱されたことによる怒り。ではなかった。それは単なるトリガーにすぎず、その要因は今までの櫻子に対しての恋心によるものだった。長年恋焦がれていたこと。直接相対したこと。そして今この危機的状況。それら全ての櫻子を想う気持ちがそうさせたのであった。
巨大な黒い鯉が優雅に空中を泳ぐ。
・弁慶「でかいですな。」
・グラジオラス「飲め。」
グラジオラスの合図とともに鯉黒は弁慶に襲いかかる。
・弁慶「これはかわせませんね。」
弁慶は鯉黒の口の中に飲まれた。
・弁慶「!!これは……」
そこは光が一切なく影だけの真っ暗な空間だった。
ズシャッ!
・弁慶「くっ!」
弁慶はグラジオラスに切られた。
・グラジオラス「ここは影の中だ。お前には何も見えないだろう。」
・弁慶「なるほど。これは厄介。」
弁慶は手当り次第に動く。
スパッ!スパッ!
だがグラジオラスの攻撃は止まらない。
・グラジオラス「
ズシャッ!!!!
弁慶は膝をついた。
・弁慶「はぁはぁはぁ。我をここまで追い込むとは…これはあまり使いたくなかったのですがね。致し方ない。」
・グラジオラス「(くそっ!まだ動けるのか。)」
・グラジオラス「もう何もやらせない!!」
グラジオラスは切りかかる。
スカッ!
弁慶はグラジオラスの攻撃をかわした。
・グラジオラス「何!!!」
・弁慶「確かに何も見えませんが。感じることはできます。やっとこの空間にも慣れてきました。貴方の足音、空気の流れ、それから殺気。これだけの要素があれば貴方の攻撃を交わすことも容易いです。でもずっと不利な状況で戦ってあげるほど阿呆ではありません。」
・弁慶「
フワッ。
弁慶の銀銭甲冑が再び装備された。
弁慶は薙刀を大きく振り下ろした。
・弁慶「
ズシャッ!!!!
弁慶は鯉黒を直接攻撃したのだった。
ブワッ!!
鯉黒は消えて弁慶とグラジオラスは落下した。
・グラジオラス「(くそ!気づかれた!!)」
落下の途中で弁慶の攻撃。
・弁慶「
無数の刃がグラジオラスを襲う。グラジオラスは空中で身動きが取れずに被弾した。
・グラジオラス「うわ!!!」
グラジオラスは地面に叩き付けられた。
・アルテミシア「グラス!!」
グラジオラスはアルテミシアと櫻子の所まで吹き飛ばされていた。
・ダンデ「なんで…元の姿に……」
・弁慶「はっはっはっ。驚いてる顔ですな。どうしてこの姿になれているのか教えて差し上げましょう。私の能力は金を支払えば支払う程使う事ができます。貴方たちのせいでその金は無くなってしまいました。ですが金もまた買うことができます。まぁ担保は必要ですがね。今回私が担保にしたのは自らの命です。なぁに、怖がることはありませぬ。期限以内に金利を上乗せした額を支払うだけです。この戦争に勝利すれば安いものです。」
【
・弁慶「時は金なり。早く貴方達を殺すとしましょう。」
83話 反転
・桂「ちきしょー!!アルテ、俺が時間を稼ぐ!!少しでもグラスを回復させてくれ!!」
・アルテミシア「分かったなの!!」
・ダンデ「ぼっ、僕だって!!!」
桂とダンデは同時に弁慶に飛びかかった。
・弁慶「貴方達に何ができると言うのです。」
弁慶は二人を薙ぎ払った。
・桂、ダンデ「うわ!!」
・桂「くそっ!!こんなにあっさり…俺は俺には何も出来ないのか!!」
桂は地面を叩いた。
桂は十手を見つめた。
・桂「凌霄隊長…俺に力を貸してくれ……」
・弁慶「
弁慶は地面に薙刀を振り下ろし衝撃波を起こした。
衝撃波はグラジオラス、アルテミシア、櫻子を襲う。
・グラジオラス「危ない!!!」
グラジオラスは身を呈して二人を守った。
グラジオラスの背中からは血が流れている。
・グラジオラス「櫻子ちゃん絶対に僕が守ってみせるから。」
・グラジオラス「ぐはっ!!」
グラジオラスは吐血した。
その時だった。
・櫻子「グ…ラ……ス……」
操られてるいるはずの櫻子が自分の意思で喋ったのであった。
・グラジオラス「櫻子ちゃん!!!」
グラジオラスは涙を流した。
・グラジオラス「櫻子ちゃん。櫻子ちゃんもずっとずっと戦っていたんだよね。ありがとう。その言葉だけで十分だよ。」
するとグラジオラスの色紋が薄らと輝きだした。
・弁慶「!!!!」
・弁慶「あれは!!グラジオラス殿…本当に天晴れです。貴方の戦闘スキルには驚かされてばかりですな。」
・弁慶「だかもう何もやらせませんよ!!」
弁慶は動きだした。
・桂「俺にできることはなんだ!!凌霄隊長見ててください!!!俺だって俺だって!!!!」
弁慶はグラジオラスに後ろから襲いかかる。
そこに桂が割って入った。
・桂「
ガキンッ!!!!
桂が弁慶の攻撃を止めたのだった。
・弁慶「ええい!鬱陶しい!!」
弁慶は桂を吹き飛ばした。
・グラジオラス「ありがとう、桂。その一瞬に助けられたよ!!」
・グラジオラス「"色相蕾咲"
・弁慶「!!!!」
グラジオラスは恋文を懐に差した。
そして刀を強く握り、
・グラジオラス「瑠璃、百千蘇芳、鯉黒。」
三色の鯉はグラジオラスの刀に纏わり吸収された。
刀身は光輝いた。
・グラジオラス「これで終わりだ。」
グラジオラスは弁慶の懐に入り込んだ。
・弁慶「なに!!!」
・グラジオラス「
グラジオラスは刀を切り上げた。
84話 雷雨
弁慶は吹き飛ばされた。
弁慶は甲冑を貫通する程の大きな切り傷をおって倒れた。
・ダンデ「やった、やった!!やったー!!!」
・桂「あいつ、あの弁慶をやりやがった…」
・アルテミシア「グラス!!信じてたなの!!」
ドサッ!
グラジオラスは片膝を着いた。
・グラジオラス「はぁはぁ。みんなのお陰だよ。」
そう言うとグラジオラスは刀で身体を支えながら立ち上がりよろよろと弁慶の元に歩み寄った。
グラジオラスは弁慶を見下ろす。
・グラジオラス「俺たちの勝ちだ。」
・弁慶「ぐはっ!!」
弁慶は口から血を吐いた。
・弁慶「まさか我が負けるとは……」
・グラジオラス「その傷だ、もう永くはない。精々地獄で反省するんだな。」
・弁慶「はっはっはっ……地獄の沙汰も金次第です…な。」
そう言い残すと弁慶は息絶えた。
・グラジオラス「最後までそれか…清々しくも感じるな。」
グラジオラスは櫻子の元に戻り
・グラジオラス「勝ったよ、櫻子ちゃん。助けに来たよ、櫻子ちゃん。」
ガシッ!
グラジオラスは櫻子を抱きしめた。
だが櫻子はぼーと一点を見つめてるだけであった。
・アルテミシア「安心するなのグラス。」
・グラジオラス「!!」
グラジオラスはアルテミシアの方を振り向く。
・アルテミシア「ここからはボクの仕事なの。」
・グラジオラス「治せるの?治せるの?!!!」
・アルテミシア「治して見せるなの!!」
・グラジオラス「うわーん!!アルテー!!」
グラジオラスはアルテミシアに抱きついた。
・アルテミシア「なんだかこの感じのグラスは久しぶりなの。」
アルテミシアは笑った。
・グラジオラス「でもどうやって?」
・アルテミシア「操っているのはドラキュラなの。ドラキュラは他人の血を吸って生命力を得ていると言われているなの。これもきっと色技なの。昔話でもここばかりにフォーカスされてるけどボクはこの時、同時に自らの血を注入してると思ったなの。だからその血を抜いてあげれば…」
・アルテミシア「魔術
アルテミシアは治療を始めた。
パンビラの古城 5階。
・アーリス「あれがアルテが前に教えてくれた色相蕾咲……すごい……一瞬で戦況が変化した……」
・レイン「ははっ!左腕くらいくれてやるよぉ!!」
・レイン「
バチンッ!!
空気中を稲妻が走る。
次の瞬間。
ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!
部屋中に無数の雷が落ちる。
ビオラは辛うじて交わす。
ズゴゴゴゴゴ!!!!
レインの攻撃で床は崩落して三人は下の階へと落ちてゆく。
・アーリス「なんて規模なんだ!!」
・アーリス「レイン!!当たったらどうするんだ!!」
・レイン「そんなん知るかよ!!自分の身くらい自分で守りな!!」
アーリスとレインは落ちながら話した。
三人は3階まで落ちてきた。
・ビオラ「はぁ。私の城がめちゃくちゃです。」
・レイン「城の心配とは余裕だなぁ?てめぇの心配をしたらどうだぁ?」
・ビオラ「うん?ああ、今は戦い中でしたね。余所見して申し訳ない。」
・レイン「あいつ舐めてやがる。」
・ビオラ「次は私の番です。」
グサッ!!!
ビオラは自らの左腕にレイピアを刺した。
・アーリス、レイン「!!!!」
ボタボタ……
ビオラの左腕から大量の血が流れる。
85話 二転三転
ピキピキ……
ビオラの左腕から流れる血が凍り出した。
・ビオラ「私の血は特別でしてね。」
・ビオラ「
ビオラの血は赤黒い氷となり流動的に二人に襲いかかる。
バリンッ!
二人は氷を破壊して応戦するが物量が多く後退した。
・アーリス「くっ!」
・レイン「ちっ!」
次の瞬間後ろから10名の
・アーリス、レイン「!!!」
アーリス達は
・レイン「今更こんな木偶の坊を使ってどうすんだよ!!万策尽きたか?」
・ビオラ「ふふふ。」
ビオラは不敵に笑う。
ズシャッ!ズシャッ!ズシャッ!
ビオラの氷が
・アーリス、レイン「!!!」
首からは大量の血が一気に吹き出した。
・ビオラ「
大量の血は氷となり二人襲いかかる。
・レイン「ぐはっ!」
レインは氷で串刺しになった。
・アーリス「レイン!!!」
アーリスは攻撃をくらいつつも何とか致命傷を避けていた。
ビオラの攻撃のほとんどはレインを狙っていたのだった。
・レイン「くそっ…油断した……」
バチンッ!
レインは自らに刺さっている氷を雷で破壊する。
ドサッ。
レインは膝をついた。
・レイン「はぁはぁはぁ。大丈夫…だ…」
呼吸が荒くなる。
・アーリス「(レインはもう戦えない。……オレが…)」
アーリスはビオラに飛びかかった。
アーリスは何度も拳を繰り出す。
だがビオラには当たらない。
ビオラも氷で反撃。
アーリスは氷を破壊しながらさらにビオラに突っ込んでいく。
・ビオラ「貴方一人で何ができると言うのですか?」
そう言いながらビオラはレイピアを突き出した。
グサッ!!
レイピアはアーリスの心臓を貫いた。
・アーリス「ゴフッ!」
アーリスの心臓と口から血が流れる。
・ビオラ「終わりですね。」
・レイン「(くそっ!アーリス……)」
レインは傷が酷く動けないでいた。
ピキピキピキ……
アーリスの心臓は凍り始めた。
・ビオラ「ふふふ。貴方は今から死ぬんですよ。ほらっ、鼓動が聞こえなくなってゆく。」
だが次の瞬間。
・ビオラ「!!!」
ブォ!!!
炎がビオラを襲う。
ビオラは後ろへと後退した。
・アリシア「アーリス!!!!!」
なんと炎の攻撃の正体はアリシアだった。
・レイン「(なんでアリシア嬢が?それにモンブランも……)」
アリシアとモンブランは急に現れたのだった。
・アリシア「アーリス!絶対に死なせない!!」
・アリシア「
フワァ。
温かい炎がアーリスを包みこんだ。アーリスの体の氷は溶けていく。
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