第16話

76話 隙間

・グラジオラス「くっ!!」

・グラジオラス「(硬いな……)」

・弁慶「強いですね。我がこれを使うのは久方ぶりですよ。どうです?グラジオラス殿。我と一緒に金稼ぎしませんか?」

・グラジオラス「するわけないでしょ。」

・弁慶「それは残念。貴方からは金の匂いがしたのですがね。」

グラジオラスは構えた。

・桂「今グラスが弁慶を足止めしてくれてる間に櫻子様を助け出そう。まずはあの籠を落とす。ダンデ、あの籠に入ることはできるか?」

・ダンデ「うん。あの隙間なら余裕で入ることができるよ。」

・桂「よし!なら俺があの籠を落とした時、衝撃から櫻子様を守ってくれ。」

弁慶も構える。

・弁慶「金銭岩融きんせんいわとおし

弁慶は大きな薙刀でグラジオラスに飛びかかる。

・弁慶「ふん!!!」

グラジオラスは後ろに跳んで大きく交わす。

ドゴンッ!!!!

弁慶の攻撃は床に当たり床を大きく抉る。

弁慶の攻撃の衝撃で床には大きなひびが入り近くの柱は崩れ辺り一面瓦礫だらけになった。

・グラジオラス「なんつーパワーだ。」

グラジオラスは少し気圧された。

・桂「今だ!!!走れ!!」

桂とダンデは櫻子のもとに走った。

ダンデは籠に飛び乗る。

・ダンデ「潜隙間ギャップ クラック

ヌルンッ。

ダンデは格子の隙間から籠の中に入った。

ダンデは櫻子を抱き寄せて守った。

・ダンデ「いつでも大丈夫だよ!!!」

・桂「よっしゃ!!」

・桂「菊二文字きくにもんじ

桂は籠の鎖を十手で叩き切った。

ガシャンッ!!!!!

籠は勢いよく床に落ちた。

籠は落ちた衝撃でひん曲がっていた。

煙埃が立ち込める。

・グラジオラス「!!!」

・弁慶「!」

グラジオラスと弁慶は籠の方に視線を送った。

すると煙埃のなかからダンデの拳が突き出てきた。

その拳の形はGoodの形をしており、グラジオラスは察した。

直ぐに煙埃は収まり櫻子とダンデの姿が見えた。

櫻子は無事だったがダンデは身体の所々から血を流していた。

・グラジオラス「ありがとう!!ダンデ!!!!」

グラジオラスは叫んだ。

・グラジオラス「(よし。櫻子ちゃんは救出した。後はこいつを倒す!!)」

・弁慶「(あれはたしか…タンポポ家の…あの能力は危険ですね。通りでこちらの情報が筒抜けだったわけです…)」

・グラジオラス「は!!」

グラジオラスは刀で弁慶に切りかかる。

ガキンッ!!

弁慶は攻撃を防ぐ。

弁慶の反撃。

・弁慶「ふぅんんん!!!!」

グラジオラスは刀で受け止めるが弁慶の力に押し負け吹き飛ばされる。

ドゴンッ!

グラジオラスは背中から壁に激突した。

・グラジオラス「ぐぅはっ!!」

グラジオラスは吐血した。

・弁慶「我は金にならない戦いは嫌いです。時は金なりとも言います。ですのでもう終わりにしましょう。」

弁慶の放つ空気が変わった。


77話 色の

・グラジオラス「はぁはぁ。」

弁慶は異様な空気を纏っている。

グラジオラスは立ち上がる。

・グラジオラス「(やばいな……なにかくる…)」

一方、アーリス達は。

アーリスとレインはビオラにに飛びかかる。

バリンッ!!!

・ビオラ「ふふふ私はこちらですよ。」

アーリス達が攻撃したのは氷に映ったビオラの姿だった。

・アーリス「くっそー!!ムカつくー!!」

アーリスは再びビオラに飛びかかる。

バリンッ!

またも偽物。

・ビオラ「ふふふ。」

至る所にビオラの姿が映し出される。

・アーリス「なら全部ぶっ壊す!!!」

バリンッ!バリンッ!バリンッ!

アーリスは手当り次第に氷を壊した。

・アーリス「はぁはぁはぁはぁ。」

・レイン「止めとけ。敵の思う壷だ。ゆっくり呼吸を整えろ。死ぬぞ。」

アーリスは心臓を押さえた。

・ビオラ「あらあら。レイン殿は気づいておりましたか。」

・レイン「当たり前だ。てめぇのやり口なんかお見通しなんだよ!!」

・ビオラ「本当にそうでしょうか。」

バリンッ!

ビオラの姿と思っていた氷は急に割れてその後ろから氷の花びらが飛んでくる。

・レイン「ちっ!」

レインは交わす。が直ぐさま後ろからも攻撃が飛んでくる。

・レイン「なら!!五月雨さみだれ

レインは雨粒を四方八方に飛ばした。

だが雨粒は途中で凍って勢いを無くしてその場に落ちた。

・レイン「相性は最悪だな。仕方ない……アーリス下がってろ!!!」

・アーリス「!」

アーリスはレインの空気感を察して後ろに下がる。

・ビオラ「ふふふ。本気ということですね。ならば私も……」

一方、グラジオラス達は。

・弁慶「戦争は金になる。ですがもう潮時です。」

弁慶、レイン、ビオラは異様な空気を放っている。

・弁慶「色相蕾咲しきそうらいしょう

・レイン「色相蕾咲しきそうらいしょう

・ビオラ「色相蕾咲しきそうらいしょう


78話数 色相蕾咲

青雨国軍ハイドランジア基地。

・アリシア「(アーリス……)」

アリシアはアーリスを心配していた。

・モンブラン「大丈夫ですよ。きっと。アーリス殿は強いです。」

モンブランはアリシアの肩に手を置いて言った。

・アリシア「そうね。」

アリシアは自分ピアスにそっと触れた。

パンビラの古城。

・弁慶「"色相蕾咲しきそうらいしょう"大判小判おおばんこばん

ジャラジャラジャラ。

弁慶の首に無数の大判小判が繋がれた首飾りがかけられた。

弁慶は高く飛び上がりその勢いでグラジオラスに攻撃した。

・弁慶「獅子威ししおどし

ドッゴッッン!!!!

グラジオラスはスレスレで攻撃を交わしたが衝撃波で飛ばされた。

弁慶の攻撃力は数倍に上がっていた。

攻撃が当たった床もめちゃくちゃになっていた。

・グラジオラス「(危なかった…あれが直撃していたら…)」

【一攫千金】縁紅弁慶の花言葉である。何かのきっかけやチャンスを掴み取ることで莫大な利益を生むことができる。きっかけ、チャンスはいつ訪れるか分からず弁慶自身の運次第である。

【"色相蕾咲しきそうらいしょう"大判小判おおばんこばん】大判小判を消費することにより花言葉である一攫千金のきっかけ、チャンスを買う事ができる。これにより運が確定へと変わる。弁慶はこの時生まれる利益を攻撃力に変換している。

一方、アーリス達。

・レイン「"色相蕾咲しきそうらいしょう"積乱雲羽衣キュムロニンバス

ビリッビリッ。

レインはコートを纏った。コートは雷をおびていた。

・ビオラ「"色相蕾咲しきそうらいしょう"氷血刺剣グラセ・サン・レイピア

ビオラはレイピアを構える。

・レイン「飛雷針ライトニング ロッド

レインの持っている天叢雲剣あまのむらくものつるぎに雷が溜まり剣の先端から鞭の様に雷が放たれた。

ドガンッ!ドゴンッ!バリンッ!バリンッ!

当たり一面が雷で壊れていく。

【"色相蕾咲しきそうらいしょう"積乱雲羽衣キュムロニンバス】雲のコート。雲の中で雨粒がぶつかり合い摩擦帯電を起こすことにより雷を作りだす。

ビオラは雷を交わしながらレインに突っ込んでいく。

バチンッ!!!!

ビオラの左腕に雷が当たった。左腕は焼けた後の様になりだらんとしている。

だがビオラはそのまま突っ込んだ。

・ビオラ「ふふふふ。氷血グラッセ

グサッ!!

ビオラのレイピアがレインの左腕を突き刺す。

レインの左腕からは血が流れた。

ビオラは後ろに後退した。

ピキピキ。

レインの流している血は凍りだした。

【"色相蕾咲しきそうらいしょう"氷血刺剣グラセ・サン・レイピア】レイピアで相手の身体の貫いた場所の血液を凍らせる。

・ビオラ「ふふふ。これでお互い左腕が使い物にならなくなってしまいましたね。」


79話 勇気

ドゴンッ!ズドンッ!

弁慶の攻撃がグラジオラスを襲う。

・グラジオラス「(やばい…このままじゃ…)」

グラジオラスはギリギリで攻撃を交わしていたが身体中傷だらけで危険な状態だった。

ピー…

・グラジオラス「???」

グラジオラスは微かに音が聞こえた。

・アルテミシア「羽笛音モスキートーン

アルテミシアは回復の笛を吹いていた。

・アルテミシア「(グラスごめんなの。ちょっと不快な音だけど我慢してなの。)」

グラジオラスの傷は癒えてゆく。

羽笛音モスキートーン】音を聞かせて回復させる対象を決める事ができる。その対象以外には音は聞こえない。少し不快に感じることもある。

・グラジオラス「ありがとう。アルテ。」

グラジオラスは動きが戻っていった。

・弁慶「(ん?動きが元に…それに傷も……)」

弁慶は辺りを見渡した。

・弁慶「(なるほど、あのおなごか。)でもそんなのは些細なことでありましょう!!」

弁慶の猛攻は止まらない。

・桂「強すぎる……やはりあそこにぶら下がっている貯金箱をぶっ壊すしかない。」

・ダンデ「でもあんな大きなもの壊せるのかな?」

・桂「分からねぇ。でもやるしかねぇ。このままだとグラスが危ねぇ。弁慶を少しでも弱体化させるんだ。」

・桂「こいつを使う。」

スッ。

桂は懐から爆弾を取り出した。

・桂「アリシア様から貰った陽炎爆弾だ。こいつをゼロ距離でぶっかます!!」

・ダンデ「なるほど!それなら!!」

・桂「ああ!!やってやるぜ!!」

桂は走り出した。

桂は崩れた瓦礫を足場にしながら貯金箱まで飛んだ。

・桂「これでもくらいやがれ!!!」

桂は貯金箱に思いっきり爆弾を投げつけた。

ドゴーン!!!

・グラジオラス「!!!」

爆弾はすごい勢いで爆発して桂は爆風で飛ばされた。

ズドンッ!!!

貯金箱は下に落ちていった。

煙埃が立ち込める。

・桂「いてて。」

・アルテミシア「桂!!」

アルテミシアは桂の元に駆け寄った。

・桂「俺は大丈夫だ。それよりやってやった!!あれをぶっ壊してやった!!」

桂は興奮気味に話す。

煙埃が消えていって貯金箱の姿があらわとなる。

・桂「!!!!」

・桂「なんで!!なんでだ!!!傷一つないなんて……」

貯金箱は壊れてはなく元の姿のままだった。

・弁慶「はっはっはっ!!あんな弱点丸出しにしておいて我がそのままにするわけないでしょう!!防御も必要経費です。貯金箱ピギーバンク自身を強固にして守るために貯金額の四割を使っています!!」

・桂「四割も!!!」

・アルテミシア「用意周到なやつなの。やっぱり乱咲の第二輪は伊達じゃないなの。」

・弁慶「これを破壊したければ先程の爆弾を後100個は準備する必要があるみたいですね。」

・桂「くそ!!そんなにある訳ねぇ!!!」

・ダンデ「桂さん陽炎爆弾は後何個ある?」

・桂「これか?後二個だけど……」

・ダンデ「それ僕に使わせて欲しいんだ…」

・桂「ダンデ?」

・ダンデ「僕がやる!!!」

ダンデは覚悟を決めた顔をしていた。


80話 逃げ腰でも

・弁慶「おや?貴方はタンポポ家の生き残りの。」

・桂「(生き残り?)」

・弁慶「先の戦いで生き残った。いや逃げ隠れた、そう戦場から逃げ出し仲間を皆見捨てた。タンポポ殿ではありませぬか?」

・ダンデ「……」

ダンデは震えていた。

・弁慶「いゃあ、強かったですよ。タンポポ家は。なんて言ったって百獣の王タンポポと呼ばれる程ですからね。まるで獣の様な闘争心で戦う姿からそう呼ばれてるんでしたっけ?まぁ、我が皆殺しにしてしまいましたがね。貴方以外は。」

・ダンデ「そっ、そうだ。僕は逃げた…一人だけ……怖かった。怖くて、怖くて。あんなに強かった父さんも兄さん達も目の前で死んでいった。僕は目を背けた。僕はタンポポ家で唯一弱かった、落ちこぼれだった、本当は仲間達と勇敢に戦って死にたかった。でもできなかった。恐怖で押し潰されて瓦礫と死体の間に隠れて目を閉じた。隊のみんなの断末魔が途絶えて外に出た時には辺り一面血の海と死体の山だった。…………だから今は逃げ腰のタンポポと呼ばれている。」

・弁慶「滑稽ですな。」

・ダンデ「そうだ…滑稽だ。でも、でも!!それでもいい!!逃げて良かったんだ!!今ならそう思える!!あの戦いで兄さん達はこんな弱い僕を守ってくれた。父さんは僕に覆いかぶさり隠してくれた。そして逃げてでも生きろと!!そう伝えてくれた!!それにレーゲン大将もこんな僕をまだ使ってくれる!!ここで今その逃げ隠れて無様に生き延びた理由を証明する!!」

・弁慶「はっはっはっ!!弱い者の戯言ですな!!どうやって証明するというのでしょう?」

ダンデは指を指した。

・ダンデ「あの貯金箱…お金を出す必要はないけど入れる行為はしなければならない。つまり入口がある。」

・弁慶「気づいた様ですね。」

・ダンデ「さっき籠によじ登ったときに見えた。見えづらいけど入口、ちいさな隙間があった。僕は1cm以上の隙間だったら潜り込むことができる!!」

・弁慶「まさか貴方が我の弱点になるとは驚きですな。でもそれが分かったからといってあそこまで辿り着くことができるでしょうか?」

・ダンデ「捕まえてみろ!!絶対に逃げ切ってみせる!!!!」

ダンデは走り出す。

・弁慶「獅子威ししおどし

弁慶は薙刀を振りかざす。

・ダンデ「潜隙間ギャップ クラック

ダンデは瓦礫に潜りんだ。

辺りは弁慶が壊した床や柱の瓦礫だらけだった。

ダンデは直ぐに瓦礫から飛び出し次の瓦礫へと移動した。

シュッ!!

ダンデは弁慶の攻撃を交わす。

・弁慶「!!!」

ダンデの色技潜隙間ギャップ クラックで隙間に入る瞬間ダンデのスピードは高速になった。このスピードにはダンデ自身も今まで気づいてなく、この極限の状態に追い込まれたことにより編み出された技だった。

・ダンデ「潜隙間間移動ギャップ クラック ソニック

ダンデは隙間を縫うように高速で移動した。

シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!シュッ!

弁慶は決して遅くなかった。むしろ速すぎる位の部類であったがそれすらもダンデは凌駕した。

ダンデは弁慶をスピードで翻弄した。

・弁慶「どこだ?」

弁慶は辺りを見渡した。

・弁慶「!!!まずい!!!」

ダンデは貯金箱の上に立っていた。

・ダンデ「僕の逃げ勝ちだ!!!」

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