第13話
61話 仲間割れ
・アーリス「レイン?!!」
・レイン「!!!」
・レイン「アーリス!!なんでここに?!!」
レインは驚いていた。
・レイン「今はお前に構ってる暇はねぇ!!」
・アーリス「もしかして仲間割れ?手を貸してあげよっか?」
・レイン「なんでお前が?」
・アーリス「勘違いしないでよね。利害が一致してるみたいなだけだから。それにお前を許した訳じゃないから、オレは二回も殺されかけてるしね。」
・レイン「ちっ!勝手にしろよ!終わったらもう一回殺してやるよ!!」
シュッ!シュッ!
またも武器が二人目がてけ飛んできた。
キンッ!ガッ!
二人は武器を弾いた。
・弁慶「おや?何故あなたが此処に?まあいいでしょう。どうせいつかは殺すことにしてましたからね。」
・弁慶「
弁慶の後ろに44個の黒い渦が発生しそこから柄がなく
・弁慶「
44本の短刀が切っ先を向けてアーリスとレイン目掛けて飛んできた。
・アーリス「レイン!!いくよ!!!」
・レイン「足引っ張んなよ!!アーリス!!!」
アーリスとレインは刃の嵐を掻い潜る。
キンッ!キンッ!キンッ!ガッ!ガッ!ガッ!
アーリスとレインは一斉に攻撃を仕掛けた。
・レイン「
レインは
・アーリス「
アーリスは
ガンッ!ガンッ!
・弁慶「
弁慶の足元から大きな二つの盾が出てきてアーリスとレインの攻撃を防いだ。
その瞬間弁慶の上空に影ができる。
・弁慶「!!」
・桂「
影の正体は桂であった。桂は十手で殴りかかる。
スカッ!
弁慶は後ろに飛び桂の攻撃を交わす。
グサッ!
・弁慶「!!」
弁慶の腹から刀が貫通していた。
グラジオラスの攻撃であった。グラジオラスは影沼で弁慶の後ろを取っていた。
・弁慶「ふん!!」
弁慶は肘で後ろにいるグラジオラスに攻撃をした。
スカッ。
グラジオラスは刀を抜きながら弁慶の攻撃を交わした。
弁慶の腹部からは血が流れている。
・弁慶「うむ。これは厄介ですな。今は一旦引くとしますか……」
・グラジオラス「逃がさないよ。」
グラジオラスは刀で切りかかる。
キンッ!
弁慶も刀で身を守る。
・弁慶「はて?確かあなたは…」
・グラジオラス「グラジオラスだ。櫻子ちゃんを返せ。」
・弁慶「なるほど、そういうことですか。グラジオラス殿。覚えておきましょう。ですが今は引かせて貰いますよ。なんせこの戦いは1フランの利益も産まなくなってしまったのでね。それでは。」
ズズズズズズ。
・弁慶は黒い渦に飲み込まれていった。
・グラジオラス「…………」
・軍人「撤退だぁあ!!撤退!!」
弁慶の仲間の軍人も弁慶が引くのをみて撤退して行った。
・レイン「……何とか街を守れたな。」
・アーリス「一体どう言うこと?」
アーリスはこの状況をレインに質問した。
その瞬間、
シュッ!
レインに矢が飛んできた。
・レイン「!!」
・レイン「
レインは矢を防いだ。
・レイン「おいおい。たっぷり毒が塗ってあるじゃねぇか。」
矢を放ったのはトリカだった。
・アルテミシア「大きな爆発音がしたから来てみたなの。そしたら……そうなの。君は青の王族だったなの。この国に居て不思議じゃないなの。」
そこに居たのはアルテミシアとトリカと蜜柑だった。
・アーリス「アルテ!トリカ!待って!!」
・レイン「はぁ。ぐちゃぐちゃじゃねぇか!!全部説明する!!そっからだ!!気に食わねぇなら、後で殺しにこい!!まぁあ返り討ちにしてやるけどなぁあ!!」
そこに青い軍服を着た軍人が現れた。
青軍人「遅くなりました!!レイン中将!!」
・レイン「とりあえず、敵は引いた。一旦基地に戻る。」
青軍人「はっ!!」
・レイン「全員つべこべ言わずに着いてこい。」
・アーリス「分かった。みんな行こう。」
数十分後。
アーリス達はレインが組みする軍、
さらに奥にある部屋に通された。
・レイン「ここだ。入れ。」
ガチャ。
扉を開くと数人の軍人とアリシア ローズとモンブラン チェスナットが大きな椅子に座っていた。
・アーリス「モンブランさん!!」
・トリカ「アリシア様!!」
62話 戦争
・モンブラン「アーリス殿!ご無事でしっ……」
それを遮るように。
・アリシア「アーリス!!」
アリシアはアーリスに抱きついた。
・アーリス「!!!」
・アリシア「良かった!!無事で本当に良かったですわ!!」
・モンブラン「アリシア様……」
モンブランは何かを諭すように言った。
・アリシア「分かってますわ。」
アリシアは少し震えていた。
・アーリス「えっと…君は?」
次はレインが遮るように。
・レイン「おいおい。感動の再会かなんか知らねぇが後にしてもらう。」
アーリスは気になる気持ちを抑えながら言った。
・アーリス「……うん。分かった。」
・レイン「モルト。」
レインは部屋にいた軍人に声をかけた。
・モルト「はっ!私!モルト少佐と申します!!」
モルトは敬礼しながら自己紹介をした。
・モルト「まずは話を進める為にこの場に居られる方々の紹介をさせて頂きます。」
・モルト「こちらは我が軍、
テンペスタは重々しく貫禄を放っていた。
・モルト「続きまして。同じく青族のレーゲン ハイドラ大将とレイン ハイドラ中将で有ります。」
・モルト「そしてこちらは、
・モルト「私からは以上となります。」
モルトは紹介を終えた。
・モンブラン「おや?そちらにおられるのは藤の都の鬼百合 蜜柑様ではありませぬか?」
・蜜柑「うむ。わっちに気がつくとはお主は聡明であるのであろう。そうじゃ。わっちは偉いのじゃ。」
・モンブラン「これだけの方々が一堂に会するのも珍しいことでありますな。」
・レイン「だがこれは偶然ではなく必然だったんだろうな。」
・レイン「簡潔に言う。この国は今内戦をしている。」
・アーリス、アルテミシア、トリカ、グラジオラス、蜜柑、桂「!!!」
・アーリス「内戦?」
・レイン「ああ。俺ら青の王族ハイドラ家とその王位を奪おうと狙っている藍族ドラキュラ家との戦争だ。」
・レイン「始まりは5年前だった。この国の独裁と三原色の称号を欲したドラキュラ家が武力行使で俺らの一族に攻撃を仕掛けてきた。それが火種となり瞬く間に戦争へと発展していった。だがこっちは軍事国家だ。そう簡単にはやられはしない。攻められてたとはいえこちら側が優勢だった。しかし戦争が始まり3年が経った頃ドラキュラ家がある人物を金で雇った。」
・グラジオラス「それって……」
・レイン「ああ。もう全員知ってるだろう。乱咲の縁紅 弁慶だ。」
・レイン「そこからだ戦況が一気にひっくり返った。」
・アルテミシア「でもレイン、君も乱咲なの!!」
アルテミシアは怒りを抑え込むようにして言った。
・レイン「確かお前は灰族の………そうだ俺は乱咲だ。いや乱咲のふりをしていると言うのが正しいか。」
・アルテミシア「いったいどう言うことなの!」
・レイン「任務だ。」
・アルテミシア「!!!」
・レイン「強大過ぎる弁慶の力を調べる為だ。俺は戦争に嫌気がさして国を裏切り捨てたと見せかけて乱咲に潜入した。」
・アルテミシア「なら!!ボクの故郷を襲ったのも!!アーリスを殺そうとしたのも全部任務だったっていうなの!!!」
・レイン「ああ、そうだ。乱咲での信用を得る為になんでもやった。何人も殺した。弁慶の力を隣で直接見るのにもそれが必要だった。」
・アルテミシア「そん……な……」
アルテミシアは膝から崩れ落ちた。
・蜜柑「ねぇたま!!」
蜜柑はアルテミシアの元に駆け寄り、レインを睨みつけた。
・テンペスタ「私の命だ。」
重重しい声が聞こえた。
・テンペスタ「我が息子にそうすることを命じた。貴公らに迷惑をかけたのなら詫びろう。だが我々も国の存続がかかっておった。」
・アーリス「だからって……だからって!!!」
アーリスは我を忘れて
ガッ!
モンブランがアーリスを抑えた。
・モンブラン「落ち着いてください。」
・アリシア「アーリス!!」
・モンブラン「落ち着いてください。皆様。」
レインとレーゲンは剣をモルトは銃口をテンペスタを守るようにアーリスに向けていた。
・アルテミシア「大丈夫なの。」
・アーリス「!!」
・アルテミシア「大丈夫なの。今はそれどころじゃないの。早く櫻子を助けないとなの。」
・アーリス「アルテ……」
・レーゲン「我が弟と確執があったのだろうが今は皆我慢してもらう。我々も貴公らも一刻を争う。」
・レーゲン「話を戻す。戦争は縁紅 弁慶の参戦により我々が劣勢になってきた。それから2年間何とか今の現状を維持していたがつい先日さらに強大な力で敵は大規模な侵攻をしてきた。その強大な力とは陽炎石の大量導入だ。その原因は敵が黄国の桜間 櫻子を拉致したことによるもの。貴公らはその桜間の娘を助けに来たのであろう?」
レーゲンは話を続けた。
・レーゲン「そしてこの激化した戦況を変えるため、更に長く続いたこの戦争を終わらせる為に、赤国のアリシア ローズ殿をお呼びした。」
皆の視線がアリシアに集まった。
63話 金
・レーゲン「陽炎石には陽炎石で、だがまさか敵もこの力を手にするとは思っていなかった。元々はローズ家の別の力をお借りしたくて話を持ちかけた。」
・蜜柑「別の力とな?」
・レーゲン「火の力だ。」
・蜜柑「なるほどじゃ…」
・レーゲン「全ブルームが恐れる程の力。それが火だ。この力を持ってして終戦へと導く。」
・トリカ「ですが!アリシア様!こんな危険なっ…」
・アリシア「大丈夫よ。トリカ。私はあの
・レイン「そうだよ、何もただで力を貸してくれって頼んだ訳じゃねぇ。交渉だよ。交渉!」
・トリカ「交渉?」
・レイン「火の力を借りる代わりに乱咲の全ての情報を教えるってな。特に乱咲のリーダー、ネイチャーについてとそのアジトだ。今頃赤族の連中はネイチャー討伐に向けて慌ただしく動いてるだろうな。よく分からんが赤国の王様はリーダーと面識があるみたいだしな。」
・トリカ「でもいつそんなことを?」
・レイン「いつ、か。赤国と接触を試みたのは2回だ。どちらもアーリス!お前を殺そうとした時だった。」
・アーリス「……」
アリシアは心配そうにアーリスを見ていた。
・レイン「1回目はリーフタウンでだ。だがこの時は乱咲の目もあり行動出来ずに失敗に終わった。するとアーリスお前が俺らを探してると言う情報が入ってきた。俺は乱咲としてお前を排除することにした。まあ、これも失敗したようだがな。」
・アルテミシアはレインを睨んでいた。
・レイン「そしてついに接触出来たのは2回目だ。もう分かるだろ。
・レイン「何故だろうな。アーリス!お前と会う時はいつもターニングポイントになる!」
・アーリス「そんなこと知らないよ!いつか借りは返す!思いっきりぶん殴ってやる!」
・レイン「ああ!いつでも来いよ!お前になら殺されてもいいぜ!!殺せるならな!はははは!!」
・レーゲン「レイン。脱線し過ぎだ。」
レーゲンがレインを叱った。
・レイン「ちっ。兄貴、分かってるよ。」
・レーゲン「ここでは大将と呼べ。」
・レイン「へいへい。大将。」
レインは少し不貞腐れて言った。
・レーゲン「すまないな。レインはしばらく隊から離れていたものだから。」
・レーゲン「だがレインのお陰で縁紅 弁慶の色技についてかなり分かった。」
・グラジオラス「教えてくれ!!」
・レーゲン「貴公は?」
・グラジオラス「俺はグラジオラス。弁慶は必ず俺が倒します!!そして櫻子ちゃんを絶対助けます!!」
・レーゲン「なるほど。いい目だな。軍人にはない目だ。考えておこう。」
グラジオラスは強く頷いた。
・レーゲン「縁紅 弁慶は言わば、乱咲の財布だ。弁慶は金次第でなんでもする。だからこの戦争にも参加しているようだ。そんな弁慶の色技は
・レーゲン「弁慶を倒すにはこの能力を無力化する必要がある。だがこの能力の恐ろしいところは弁慶の財産に比例するということ。そして縁紅 弁慶の総資産額は120億フランと言われている。」
・アーリス、アルテミシア、トリカ、グラジオラス、蜜柑「!!!」
・アーリス「120億フラン!!いったい肉まん何個食べれるの?!!」
・アルテミシア「食べきれない程なの!!そんなものじゃ測れないなの!!」
・トリカ「まさか個人でそれ程とは……」
・レーゲン「もう皆分かるだろうが、弁慶に能力を使わせ貯金を消費させるのはほぼ不可能だろう。寄って、財源である貯金箱を破壊する。」
・モンブラン「なるほどですな。それが弁慶の根の代償ですな。」
・レーゲン「そうだ。この能力にするにあたり貯金箱の具現化を余儀なくされたのだろう。これが弱点だ。」
・レーゲン「まあ、弱点が分かったとはいえ強敵に変わりは無い。それにまだドラキュラもいる。ドラキュラのことは今我々の隊で調べている。それももうすぐ分かるだろう。」
・レーゲン「三日後だ!!三日後にこちらから敵を襲撃する!!アーリスと言ったな。貴公らも戦力に入れていいんだな?」
・アーリス「もちろん。」
・レイン「ムカつくが強さは俺が保証する。お前らセネシオとリン、ハナキを倒したんだろ?」
・アーリス「ああ。」
・レーゲン「ならば作戦はまた追って説明する。それまでこの基地で休むといい。モルト案内してやれ。」
・モルト「はっ!!」
モルトはアーリス達を連れて部屋の外に出ていった。
・アリシア「アーリス……」
アリシアはアーリスの後ろ姿を見ていた。
モルトはアーリス達に基地を一通り案内した。
・モルト「それでは分からないことがありましたらいつでも私にお聞きください。」
・アーリス「ありがとう。」
モルトはそういうと戻っていった。
談話室。
・トリカ「とりあえず拠点と協力者は見つかりましたね。」
・アーリス「まさかの協力者だったね。」
・アルテミシア「なんだか落ち着かないの。」
蜜柑はアルテミシアの後ろから抱きしめ頭を撫でた。
・桂「それにしても櫻子様はどこに……」
グラジオラスは櫻子を心配してる様子だ。
???「その方なら僕、知ってるよ。」
急にどこからか声が聞こえてきた。
全員が声の方を見ると。壁の隙間にぎゅうぎゅうに挟まっている軍人がいた。
64話 逃げ腰の
全員、急に聞こえた声とその姿に驚いた。
・アーリス「き、君は?」
・???「ぼくはダンデ、ダンデ タンポポ。」
ダンデは内気な感じでそう言った。
・アーリス「ダンデはどうしてそんな所に挟まってるの?」
・ダンデ「こうやって何かに挟まってると落ち着くんだ。」
・蜜柑「おかしな奴じゃの。」
・桂「それよりさっきのはどう言う事だ?櫻子様を知ってるって!」
・ダンデ「ぼく直接会ったんだ……」
・グラジオラス「どこ?!!櫻子ちゃんはどこにいるの?!!!」
グラジオラスは食い気味聞いた。
するとダンデはぬるっと隙間から出てきた。
・ダンデ「ぱっ、パンビラの古城でっ…」
・グラジオラス「パンビラの古城……そこに、櫻子ちゃんが……」
・アーリス「パンビラの古城って?」
・ダンデ「パンビラの古城はドラキュラのアジトなんだ。」
・アーリス「!!ドラキュラの居場所も分かってるの?!!」
・トリカ「たしかレーゲンさんがドラキュラについては調べていると言ってましたね。」
・ダンデ「パンビラの古城はスノードロップでは有名で、でも守りが固くてその古城を
・グラジオラス「櫻子ちゃんは無事なのか?!!」
グラジオラスはダンデに詰め寄る。
・ダンデ「うん。……でもその時はとしか……牢に囚われていて、」
・グラジオラス「櫻子ちゃんをそのままにしたのか!!」
グラジオラスはまたも詰め寄る。
・ダンデ「ごっごめん。ぼくは弱いんだ。ぼくには櫻子さんを助け出す力がなかったから……」
・蜜柑「落ち着くのじゃ!グラスよ。その者に言っても仕方なかろう。今は居場所が知れただけでも良きなのじゃ。」
・グラジオラス「そうだね。ごめんね、ダンデ。」
・ダンデ「大丈夫だよ。櫻子さんはみんなにとって大切な方なんだね。」
その時、青軍人が二人で現れた。
・青軍人「大尉!こんな所にいたんですね!」
全員が青軍人の方を見る。
・青軍人「戻られたとは聞いてましたが、早く中将に報告に行ってくださいね!!」
青軍人は強い口調で言った。
・青軍人「私は伝えましたからね!」
そう言うと青軍人二人は去って行った。
・青軍人「まったく……」
青軍人は去り際に呆れたようにコソコソ話していた。
・桂「あいつら部下じゃないのか?」
桂は不思議そうに聞いた。
・ダンデ「うん。でもぼく今の地位を認められてないんだ。ぼくは弱いし取り柄もないし。それに……」
・アーリス「どうしたの?」
・ダンデ「実はちょっと前にドラキュラ軍と大きな戦いがあったんだ。その時にぼくの隊はぼく以外みんな戦死したんだ。」
・アーリス「!!!」
・ダンデ「ぼくはその戦場で怖くてずっと隠れてたんだ……上官も同期もみんな最後まで勇敢に戦っていたのに。そして気がつくと敵は撤退していて、ぼくだけが生き残った。この地位は繰り上がりで仕方なくなんだ。だからあんな風に言われるのも当たり前なんだ。それから逃げ腰のタンポポなんて呼ばれてる。本当にダメなやつなんだ。」
ダンデは悲しい表情を浮かべていた。
・アーリス「そんなことないよ!!だって他の国だって恐れるドラキュラのアジトにダンデは一人で潜入してたんでしょ!!すごいよ!!すごい!!」
・ダンデ「そっそうかな……ありがとう……アーリスさん。」
・アーリス「アーリスで良いよ!」
・ダンデ「ありがとう。あっアーリス……ごめん!もう行かないと!!早く報告しないとまた怒られちゃう。まっまたね。」
ダンデは戸惑いながらアーリスにお礼を言って走って去って行った。
・グラジオラス「(大丈夫!!櫻子ちゃんは生きてる!!絶対に俺が!!)」
グラジオラスは心の中で櫻子を思った。
パンビラの古城。
暗い城内にはたくさんのランタンに明かりが灯っていた。
・ビオラ「嗚呼美しい。なんて美しいんだ櫻子。」
ビオラは櫻子の髪に触れながら言った。
・ビオラ「ほらもう一度その美しい色技を私に見せてくれ。」
・櫻子「……」
櫻子は操られているようでその表情に感情はなかった。
櫻子は手に持っていた陽光石に色素を送り込む。すると陽光石は光だし形を変えて真っ赤に染まるクリスタルのようになった。
・ビオラ「嗚呼なんて綺麗なんだ。フフフフフ。」
ビオラはクリスタルに映る自分を見ながら不敵に笑った。
再び
コンコンッ。
談話室の扉からノック音が聞こえた。
ガチャッ。
入って来たのはアリシアとモンブランだった。
・アーリス「あっ!君は!」
65話 告白
・アリシア「アーリス……会いたかったですわ。ずっと。ずっと……」
・アーリス「君は、オレのことを知ってるの?」
・アリシア「ええ!貴方はとっても優しくて、紳士で、かっこよくて、それでいてちょっとおちゃめで……」
アリシアは少し顔を赤くしながら言った。
・アルテミシア「紳士なアーリス?きっと別人なの。」
アルテミシアは面白おかしく嫌味を言った。
・アーリス「アルテ〜」
みんなはクスッと笑った。
・アーリス「それで君とオレとはどういう関係なの?」
・アリシア「そっそれは!……」
アリシアはまた顔を赤くした。
・モンブラン「アリシア様……」
・アリシア「分かってるわ。……ごめんなさい。アーリス貴方が記憶を探しているのも知っていますわ。でも言えないのですわ。お母様に固く止められていて……」
・アーリス「……そっか……何か分かるかもと思ったけど、それじゃあ仕方ないよね。誰にでも事情があるからね。」
・アリシア「貴方の過去を教える事はできないけれど、貴方との過去は私にとって、とても大切なものなのですわ。」
・アリシア「それで、アーリス……私は貴方のことが、ずっと、すっ、すっ、好きだったのですわ!!!」
・アーリス「!!」
みんなは驚いた顔をしていた。
・アリシア「あっ!言っちゃった!!どうしよ!モンブラン!勢いで言っちゃった!!」
いつも気品溢れる王女様のアリシアは狼狽えていた。その姿は珍しいものであった。
・蜜柑「おやおや、アーリスお主も隅に置けぬのぉ。これは逆玉の輿じゃないかえ。」
みんなは笑った。
アリシアはモンブランの後ろに隠れ
・アリシア「モンブラン!私をノアの方舟で何処でもいいから飛ばして!!」
アリシアは恥ずかしがりながらそう言った。
・モンブラン「かしこまりました。それでは小一時間程お待ちください。」
・アリシア「もう!!そんなに待ってられないのー!」
またもみんなは笑っていた。
・アーリス「アリシア。」
・アリシア「!!」
・アーリス「気持ち伝えてくれて嬉しいよ。ありがとう!!過去を教えることが出来ないならアリシアのこれからを教えて!!」
アーリスはニコッと笑顔で言った。
・アリシア「はっ…はい。」
アリシアは嬉しそうに下を向きながら返事をした。
・アリシア「あっ、あのこれ……」
アリシアはアーリスに何かを手渡した。
・アーリス「これは?」
・アリシア「おっ、御守り……のピアス……」
・アーリス「ピアス?」
・トリカ「アクセサリーですよ。耳たぶに刺して使います。」
・アーリス「刺すの?」
・アリシア「ごめんなさい。御守りでピアスなんて重いですわよね……いっ、要らなかったら捨てていいですわ!!」
・トリカ「アーリスさん貰ってあげてください。私もこんなアリシア様は見た事ありません。きっと本当にアーリスさんのことが大切なんだとおもいます。」
・アーリス「もちろんだよ!ありがとう!アリシア!!」
アリシアは嬉しそうな顔をした。
・アーリス「ねぇ!トリカ!これ、付けてよ。」
・トリカ「分かりました。ほんの少しだけ痛みますよ。」
トリカはアーリスの耳たぶにピアスの針を刺した。
・アーリス「いてっ、」
・トリカ「終わりましたよ。」
アーリスの耳たぶから少し血が滲んでいた。
・アルテミシア「血が出てるなの。ボクが治してあげるなの。」
アルテミシアはアーリスの耳たぶを治療しながらトリカとコソコソと話しをした。
・アルテミシア「トリカ、このピアスについてるクリスタル、かなり高価なものなんじゃ?なの。」
・トリカ「ええ。2000万フランは超えてると思いますよ。」
・アルテミシア「2000万フラン!!!!」
アルテミシアは驚いた。
・アーリス「ん?どうしたの?アルテ?」
・アルテミシア「なっ、なんでもないなの!!それより治療は終わったなの!」
・アーリス「ありがとう!!アルテ!!ねぇ!似合ってる?アリシア!!」
・アリシア「ええ!とっても似合っておりますわ!!」
・アーリス「へへへ!ありがとう!アリシア!!」
アリシアはとても満足そうな顔をしていた。
3日後。
広場には雪が降っておりその下には200人以上の青軍人が綺麗に整列をしていた。そこにアーリス達の姿もあった。
・レーゲン「これよりビオラ ドラキュラ、縁紅 弁慶による敵軍の掃討作戦を開始する!!これは長きに渡りこの国で続いた戦争を終わらせるための大規模作戦だ!!命を賭してでも作戦を成功させてみせよ!!!」
・青軍人「はっ!!!!!!」
青軍人達の大きな声が響き渡る。
青軍人達の下にはモンブランのノアの方舟の色技陣があり色技陣は軍人達の声と共に光りだす。
・レーゲン「頼んだぞ。レイン。」
・レイン「任せな兄貴!集大成だ!!!」
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