第7話

31話 太陽神教

ビュオー!!

世界樹の橋ユグドラシル裏側。

アルテミシア達は強風に晒される。

・グラジオラス「アルテ!大丈夫?俺に掴まってて。」

・アルテミシア「ありがとうなの……風が強すぎるなの。ここじゃアーリスを診ることができないの。」

・トリカ「早く上に上がる道を見つけないとですね。」

アルテミシア達は急いで歩いていた。

その瞬間突風が吹く。

・アルテミシア「きゃ!」

アルテミシアが風で飛ばされた。

・グラジオラス「アルテ!!」

バッ!

グラジオラスはアルテミシアを追いかけるように飛んで助けに入った。

グラジオラスは空中でアルテミシアをキャッチしてそのままさらに下にある枝へと落ちた。

ズザッ!

グラジオラスが下になるように落ちグラジオラス達は木に激突した。

・アルテミシア「大丈夫なの?!!ごめんなの。」

・グラジオラス「これくらい平気、それより……」

その時だった、

???「お姉ちゃん達大丈夫?」

木の影から声がした。

・アルテミシア、グラジオラス「!!!」

振り向くとそこには小さな男の子がいた。

・グラジオラス「君は?」

グラジオラスは聞く。

・???「おいらジョア!お姉ちゃん達困ってるのぉ?家においでよ!!」

・ジョア「上にいるお兄ちゃん達も一緒だよね?おいらが風の当たらない道を案内してあげる。ちょっと待っててね!!」

そう言うとジョアはトリカたちの元に軽々と向かった。

数分後。

アルテミシア達とトリカ達は合流した。

・アルテミシア「ありがとうなの。」

・ジョア「いいの!いいの!ほらおいらに着いてきて!」

アルテミシア達は言われるがままついて行った。

しばらく歩いていると大きな洞が見えた。

・ジョア「あそこがおいらん家!」

・ジョア「おーい!じいちゃーん!友達連れてきたよ!」

すると洞の中から老夫が出てきた。

・老夫「客人か。これは珍しいな。」

アルテミシアは急いで老夫の元に駆け寄り

・アルテミシア「ボクの仲間が怪我をしてるの!!早く手当したいの!!どこか休める所を貸して欲しいの!!」

・老夫「おや、それは大変だ。早く入りなさい。」

そう言うと老夫は中に案内してくれた。

中はとても広く沢山の部屋がある様だった。

アルテミシア達はアーリスをベッドに寝かせた。

・アルテミシア「ありがとうなの。ボクはアルテミシア マグワートなの。ごめんなさいなの。早速治療に入らせてもらうなの。」

・老夫「わしはフェイ フリーズじゃ。挨拶はいいから早くやってあげなさい。」

・フェイ「マグワート…マグワート…………ああ。マグワート。」

フェイは何か納得した様子だった。

・アルテミシア「癒しのキュアヴァイオリンcantabileカンタービレ

1時間後。

・アルテミシア「終わったなの。」

・グラジオラス「大丈夫なのか?」

グラジオラスとトリカは心配そうにアーリスを見る。

・アルテミシア「まだ分からないなの。色素枯渇を起こしてるの。それだけじゃなく根の代償に支払ったものが大きすぎるみたいなの。」

・フェイ「きっと大丈夫じゃよ。マグワート家の医療色技は素晴らしいものじゃ。」

フェイが部屋に入ってきた。

・アルテミシア「フェイおじいさん、本当にありがとうなの。それで何でボクの名前を。」

・フェイ「いやなに、昔の話しじゃよ。灰煙島に医療の勉強に行った時、ハーブ マグワートにはお世話になったのじゃ。」

・アルテミシア「ハーブはボクのおばあちゃんなの!こんなことがあるなんてびっくりなの!」

・フェイ「わしもじゃよ。こんな形で恩返しをできるとはな。」

・フェイ「さぁお主たちも疲れておろう。食事を作ったから一緒に食べよう。」

アルテミシア達は食卓を囲んだ。

・トリカ「なるほど、では貴方方が太陽神教の……」

・フェイ「そうじゃ。太陽神教徒、風の民じゃ。わしらの先祖が作ったと言われている上の遺跡とそこから見つかった書物を管理しておる。」

・フェイ「ここら一帯は洞が沢山あり、わしら以外にもたくさん民が住んでおる。」

・アルテミシア「太陽神についてもっと色々知りたいなの。遺跡を調べてる時に思ったの。太陽神教の文化や技術はボクの故郷の色技に似ているものがあるなの。」

・フェイ「……魔術じゃな。」

・アルテミシア「……やっぱり知っていたなの。」

・グラジオラス「魔術?」

・フェイ「わしも詳しくは知らんのじゃ。ハーブもそれについてはあまり教えてくれんかったのじゃ。あまり言いたくないのじゃろ?」

・アルテミシア「そうなの。」

食卓に沈黙が流れる。

・アルテミシア「あっ!ご馳走様なの。美味しかったなの。ねぇあっちにあった石版見てきてもいい?なの。」

・フェイ「ああ。構わんよ。書庫にも色んな文献がある、自由に見てもらってよいのじゃ。」

・アルテミシア「本当?なの。ありがとうなの!」

そう言うとアルテミシアは部屋から出ていった。

太陽神の石版前。

アルテミシアは石版を読んでいた。

・アルテミシア「(ふーんなの。太陽神ソレイユと月の女神ルーナ……それからツルバミ…?ふむふむ…………なるほどなの……!!!!……これってもしかして…なの。)」

・ジョア「おーい!!みんなーお兄ちゃんが起きたよー!!」

・アルテミシア「!!!!」

アルテミシアは急いでアーリスがいる部屋に向かった。

そこにはもう既にトリカとグラジオラスがいた。

・グラジオラス「アーリス!!」

・トリカ「アーリスさん!!」

アルテミシアは駆け寄る。

・アルテミシア「アーリス!!アーリスのバカなの!いつもいつも!心配ばかりかけるの!」

・アルテミシア「それで具合は大丈夫なの?」

アルテミシアは少し泣きながらアーリスに聞いた。

・アーリス「へへへ。……えっと、君達は誰?」

・アルテミシア、トリカ、グラジオラス「えっ。」


32話 500年前

花暦587年

赤砂町レッドサンド※後のレッドエッジ

酒場 屋外座席 ステージ。

月明かりの下1人の美女が踊っていた。

美女はふわっと優しくジャンプした。そしてゆっくりと回りながら落ちてゆく。

その姿は散った花びらが舞うが如く美しい光景だった。

・町人「いやーやっぱりルーナは可愛いなぁ?な!ソレイユ!!!」

・ソレイユ「はぁあ!なっ、なんで俺に言うんだよ!!知らねーよ!!」

・町人「おっ?なんだ強がりか?町一番の踊り子だぞ!幼なじみなんだろ?恥ずかしがるなよ!」

・町人達「わはははは!!!」

・ソレイユ「うるせー!!(くそ!俺が一番わかってるっつーの!)」

酒場閉店時間。

・ルーナ「ソレ〜イユ!なにしてんの?」

ルーナは後ろからソレイユに話しかけた。

・ソレイユ「!!(ルーナ!やっぱり可愛いな〜)」

・ソレイユ「なっ何って店じまいの片付けだよ。」

・ルーナ「ねっ!私のステージ見てくれた?」

・ソレイユ「別に見てねーよ。興味ねぇし。」

・ルーナ「ふーん。ありがと!」

ルーナはまじまじとソレイユの顔を見た。

・ソレイユ「ありがとう?」

・ルーナ「うん!ありがと!だって顔に可愛かったって書いてある!」

・ソレイユ「ばっばか!そんなん書いてある訳ねぇだろ!」

そう言うとソレイユは恥ずかしがりならそそくさと歩いていった。

ルーナはソレイユを追いかける

・ルーナ「待ってよ!またあそこに行くんでしょ?私も一緒に行く!」

赤砂浜辺。

ルーナとソレイユは町外れの浜辺に来た。

二人は海を眺めている。

海には月が映っていた。

・ルーナ「ソレイユはホントここが好きだね。」

・ソレイユ「ここから見えるこのどこまでも続く水平線が好きなんだ。この先には何があるのだろう。そう考えるとわくわくするんだよね。知りたいんだ。知りたいを止められないんだ。いつかはその「何か」を探しに旅に出たいとも思っている。」

・ルーナ「旅かぁ。なら私も行こっかな!」

・ソレイユ「ルーナはダメだよ。町のみんなが寂しがっちゃうから!」

・ルーナ「そうかな〜。そうだよね!」

・ソレイユ、ルーナ「はははは。」

二人は笑いあった。

少しの沈黙の後ソレイユは言った。

・ソレイユ「月が綺麗だね。」

・ルーナ「!!」

ルーナはその言葉に顔を赤くした。

・ソレイユ「ん?どうしたの?ルーナ?」

ソレイユはルーナの顔を見た。

・ルーナ「なっなんでもない!なんでもないわよ!」

・ソレイユ「変なの。」

ソレイユはまた月を眺めた。

・ルーナ「私も好きだよ。」

ボソッ

ルーナは呟いた。

・ソレイユ「好き?何が?」

・ルーナ「つーき!私も月が好きなの!」

そう言うとルーナはソレイユの額を人差し指で優しくポンッと押した。

・ソレイユ「??」

ソレイユは戸惑った様子だった。

・ルーナ「ソレイユ。ソレイユってずるいよね。」

ルーナはニコッと笑った。

ルーナの笑顔が月の明かりに照らされた。

数日後 。

いつもの日常を送っていたソレイユ達の元に。

・町人「おーい!!おーい!誰か来てくれ!」

町人が浜辺の方から走ってきた。

・町人「あっ!ソレイユ、ルーナちょうど良かった、来てくれ。浜辺に誰か倒れているんだ。」

それを聞いてソレイユとルーナは浜辺に向かった。

浜辺には木の舟が流れ着いていた。

・町人「なんだろなこれ。まるで棺桶みたいだ。」

初めて見る舟に驚きながら3人は中を覗き込んだ。

そこには珍しい服を来た男が倒れていた。

・ソレイユ「おーい。大丈夫か?」

ソレイユは倒れている男の顔をぺちぺちと叩いた。

すると男は、

・男「みっ、水をく…れ…」

そう言ってまたぐったりとした。

・ソレイユ「とりあえず連れていくか。」

ソレイユは男を背中に担ぎ家に向かった。

家に着きソレイユは水を渡した。

・ソレイユ「ほれっ水だ。」

バッ!

男は奪い取るように水を取ってゴクゴクと飲みだした。

・男「ぷはー!生き返った!生き返った!」

・男「誠にかたじけない!!拙者、蔓喰 福寿丸つるばみ ふくじゅまると申す!命を救って頂き感謝致す!」

そう言うと福寿丸は深々と頭を下げた。

・ソレイユ「元気になったみたいで良かったよ!俺はソレイユ!」

・ルーナ「私はルーナ!よろしくね!」

・福寿丸「これはまたべっぴんさんで!」

ルーナは少し照れた。

・ソレイユ「それで福寿丸はどこから来たんだ?」

・福寿丸「拙者は海の向こうの大陸からやってきたでござる。」

・ソレイユ「海の向こう!!!」

・福寿丸「そうでござる。途中嵐が来た時はどうしたものかと……」

・ソレイユ「やっぱり!やっぱり!あったんだ!!海の向こう側が!!「何か」はあったんだ!!」

ソレイユはかなり興奮した様子だった。

・福寿丸「なに?ソレイユ殿は海を渡りたかったのでござるか?」

・ソレイユ「渡る……そうなんだけど、福寿丸はどうやってここまで。」

・福寿丸「舟でござるよ!舟!」

・ソレイユ「舟?福寿丸が入っていた棺桶みたいなやつ?」

・福寿丸「そうでござる。棺桶ではないでござるが。」

・福寿丸「あっ!!そういえばその舟はどうしたでござるか?」

・ソレイユ「そのままにしてきたけど…」

・福寿丸「やばいでござる。波に流されてしまうのでござる。」

そう言うと福寿丸は走って海へと向かった。

・ソレイユ「俺も行く!!」

ソレイユは福寿丸を追いかけた。

・ルーナ「まっ待って私も!」

ルーナも一緒に追いかけた。

海に到着すると舟は少し流されていた。

・福寿丸「拙者の舟が……拙者はあまり泳ぎが得意では……」

・ソレイユ「俺が泳いで取ってきてやる!」

ソレイユは海に入ろうとした。

・ルーナ「待って。ソレイユ。私に任せて!」

そう言うとルーナは助走をつけて波打ち際まで走りそのままジャンプした。

・福寿丸「!!!!!!それは……」

フワッ。

ルーナは舟へと着地した。

・ルーナ「おっとっと。これすごい揺れる。」

ルーナは福寿丸とソレイユの方に振り向き叫んだ。

・ルーナ「ねぇーーー!ここからどうしたらいいのーーーー!!!」

・ソレイユ「ルーナのやつ、ノープランだったな。」

・福寿丸「船の中に櫂とうい棒みたいなのがあるでござる。それを使うでござる!!!」

福寿丸は叫び返した。

・ルーナ「かい……かい…あっこれね。」

・ルーナ「(どうやって使うんだろこれ……こうかなぁ……あっ動いた。)」

ルーナは舟を漕いで陸まで戻ってきた。

・福寿丸「かたじけないでござる!拙者帰れなくなるところだったでござる。」

・ルーナ「いいのいいの。それよりこの舟面白いわね!!」

・ソレイユ「俺にも見せてくれ!!福寿丸これはどうやって出来てるんだ?他にも聞きたいことがたくさんある!!俺にあっちの話を聞かせてくれ!!」

・福寿丸「お易い御用でござる。二人には助けられた恩があるでござる。」

・福寿丸「それからこちらも聞きたい事が……先程のルーナ殿の力あれは何でござろうか?」

・ソレイユ「あれはね色技って言って……」

・ルーナ「ねぇ積もる話もあるだろうから酒場に行って話さない?」

・ソレイユ「それもそうだな。」

・福寿丸「分かったでござる。」

・ソレイユ「それじゃ酒場にゴー!!」

ソレイユはとてもご機嫌な様子だった。

これがソレイユ、ルーナと福寿丸の出会いだった。


33話 日の光

赤砂町レッドサンド 酒場

・福寿丸「拙者がこの大陸まで来た理由であるが、その話をするにはまずは拙者の故郷の話しを聞いて貰うでござる。」

・ソレイユ「福寿丸の故郷!どんな所?知りたい!」

・福寿丸「拙者の故郷は藤の郷ふじのさとと呼ばれ、藤の花がたくさん咲く美しい自然豊かな国でござる。」

・ルーナ「美しい所か、見てみたいね。」

・福寿丸「だけどそんな美しい国が一変するある問題が起きたでござる。」

・ソレイユ「問題?」

・福寿丸「雲でござる。大きな大きな入道雲がある日突然国全体を覆ったのでござる。初めは皆びっくりする程度の事だったのだけれど、その雲は何日経ってもなくならかったのでござる。」

・福寿丸「そこから少しずつ被害が見られるように、もちろん雲だから雨を降らしたでござる。それも大雨を。その雨は野菜や米などの食物を流したでござる。そして何よりも深刻だったのが日の光が入らなくなったことでござった。国の者は日の光を浴びないことで元気が無くなりどんどんと笑顔が消えていったのでござる。そして恐れていたことが怒った。」

・ソレイユ「恐れていたこと?」

・福寿丸「飢饉でござる。国の者は飢えに苦しみ食物を取り合う争いを初めてしまったでござる。これを後に雨飢の乱あまうえのらんと呼ばれるようになるでござる。」

・福寿丸「この雨飢の乱は半年間続いたのでござった。だがその長くに渡る争いを止めた者が現れたでござる。」

・ルーナ「止めた……」

・福寿丸「そうそれは、我ら蔓喰家の当主、蔓喰 小夏様でござる。」

・福寿丸「小夏様は半年の間、毎日空に天に祈り続けたでござる。その祈りが届いたのか小夏様はある力と言葉を授かったのでござった。」

・ソレイユ「力と言葉…」

・福寿丸「その言葉を花言葉と名付け、小夏様曰く授かった言葉は「献身」であったと、そして授かった力は日の光を操る事ができるというものでござった。」

・ソレイユ「そっか、じゃあその力で!」

・福寿丸「左様でござる。争いは無くなりまた平和な日々が戻っできたでござる。小夏様は国の者の笑顔を取り戻したのでござる。」

・ルーナ「良かった。少し安心したわね。」

・福寿丸「話しが長くなったでござるがここからが拙者がここまで来た理由でござる。」

・福寿丸「国は平和になったでござるがその代償かのように小夏様の体調が悪くなりだしてきたのござる。恐らく力の使い過ぎではないかと。」

・ルーナ「それでその力を調べるために遥々ここまでやって来たってことね。」

・福寿丸「その通りでござる。ルーナ殿のあの力あれは同じものであろうか?」

・ルーナ「おそらくだけどそうと思うわ。この国ではこの力のことを色技と呼んでいて、この国でも扱える者はそんなに多くないの。」

・ソレイユ「俺も使えないんだよね。」

・福寿丸「よかったらもう一度その力を見せてござらぬか?」

・ルーナ「ええ。いいわよ。」

そう言うとルーナは色技を使った。

・ルーナ「月汐セレナ グラビティ

フワッ。

ルーナはステージの時みたく上へとジャンプしてゆっくりと降りてきた。

・福寿丸「ほう。これはとても美しいでござる。なぁ?ソレイユ殿。」

・ソレイユ「ばっばか!何で俺に聞くんだよ!……まぁ俺もそう思うけど……」

・福寿丸「なるほど。ソレイユ殿はルーナ殿のことを好いておるのでござるな!」

・ソレイユ「そっ!そんなんじゃねーよ。別に…好きとか…よくわかんねーし……」

・福寿丸「いいでござらぬか。拙者の国では「恋心芽吹く頃、既に愛は咲いている」という詩があるくらい、ソレイユ殿のそれはとても素晴らしいものでござる。その気持ち大切にするでござる!」

ソレイユは自分の気持ちが分からないでいた。

・ルーナ「どう?何か分かったかしら?」

・福寿丸「とても絢爛であったでござる。しかし色技についてはまだ良く分からないでござるな。どういう原理でござるか?」

・ルーナ「まず色技とはね体の中に流れている色素というものを媒体にして扱うの。この色素は福寿丸にも流れているわ。この色素を認識できるようになると色技を扱えるようになるみたい。」

・ルーナ「そして私の色技は引力なの。引力って言ってもまだ少し浮くぐらいしか出来ないけどね。いつかは鳥のように飛べるようになんて思ってるわ。」

・福寿丸「なるほどでござる。勉強になるでござる。」

それからルーナは福寿丸にブルームの体の構造や色技の原理、根の代償などを伝えた。

・福寿丸「つまり小夏様は色技の使い過ぎで色素枯渇を起こしている可能性が高いと……」

・ルーナ「そう考えるのが妥当だわね。」

・ルーナ「それにしてもルーナ殿の知識には驚かされるでござるな。」

・ルーナ「この国は医療にだけは特化しているからね。福寿丸の国のものづくりの技術もすごいじゃない。」

そこにソレイユが話を割って入ってきた。

・ソレイユ「ねぇ!!この国と福寿丸の国の医療とものづくりの技術が合わさったらもっといい国ができると思うんだ!!!」

・福寿丸「拙者もそう思うでござる!!だからもっと勉強させて貰うでござる!!」

・ソレイユ「福寿丸!!俺にも舟の作り方教えてよ!!」

・福寿丸「お易い御用でござる!!一緒に切磋琢磨し合うでござる!!」

・ソレイユ「それでいつかは俺らの国と福寿丸の国を繋ぐ橋なんか作れるといいね!!」

・ルーナ「それは流石に難しいと思うわ。」

・ソレイユ「そっか!そうだよね!」

・ソレイユ、ルーナ、福寿丸「はははははははっ」

ソレイユ達は楽しそうに笑った。


34話 火

カンカンッ!

ソレイユは福寿丸に教わりながら舟を作っていた。

・ソレイユ「こんな感じか?」

・福寿丸「おぉー いいでござる!でも、ここをもっとこうして……」

・ルーナ「ソレイユ!福寿丸!調子はどう?」

・ソレイユ「うん!これすっごく面白い!」

・福寿丸「ソレイユ殿はセンスがいいでござる!」

・ルーナ「よかったわ。それに楽しそうで何よりだわ。」

カンカンッ!

・ルーナ「ってもう聞いてないのね。すごい集中力だわ」

・ルーナ「ねぇソレイユ、今日はあそこの山に山菜取りに行ってくるわね。山菜のお浸しを作ろうと思うの。」

・ソレイユ「おっ!いいねー!山菜のお浸しは大好きだ!」

・福寿丸「ルーナ殿の料理は本当に絶品でござる!!ルーナ殿はきっといいお嫁さんになるでござる。」

・ルーナ「えー そうかな〜 誰か貰ってくれる人いないかな〜」

・ルーナ、福寿丸「ねぇ〜」

ルーナと福寿丸は声を揃えて言った。

・ソレイユ「…………??」

ソレイユは何が何だか分からない様子だった。

ルーナと福寿丸はクスッと楽しそうに笑っていた。

・ソレイユ「そういえば今日はこの後天気が悪くなるみたいだからあまり遅くならないようにな。」

・ルーナ「そうなんだ。分かったわ、ありがとう。それじゃあ二人とも行ってくるわね。」

・ソレイユ「行ってらっしゃい。」

・福寿丸「気をつけてでござる。」

ルーナは山に山菜取りに出かけた。

ソレイユと福寿丸は舟作りを再開した。

数時間後。

・ソレイユ「ふぅ。もうこんな時間か。舟作りをしていると時間が過ぎるのがあっという間だな!」

・福寿丸「だいぶ上達してきたでござる!」

・ソレイユ「あれ?そういえばルーナは帰ってきたか?」

・福寿丸「いや、まだ見ておらぬでござる。」

とその時。

ゴロゴロ……ポツポツ……

どんどん雲行きが怪しくなってきて雨も降ってきた。

・ソレイユ「ルーナ大丈夫かな。」

・福寿丸「心配でござるな。」

ソレイユ達は空を見上げる。

その瞬間。

ドーーーン!!!!

大きな雷が山の方に落ちた。

・ソレイユ、福寿丸「!!!!!!」

・ソレイユ「あっちの方角は!!ルーナがあぶない!!」

ソレイユと福寿丸はルーナを探しに走り出した。

すると山の方から煙が上がってきた。

・ソレイユ「やばい!!火事だ!!!」

山は雷が落ちたことにより火がつきすごいスピードで燃え上がっていた。

ソレイユと福寿丸は山の中を走り回った。

・ソレイユ「どこだ、ルーナ!ルーナ!!!ルーナ!!」

・福寿丸「ルーナ殿!!ルーナ殿!!」

すると燃え上がる炎の奥から微かに声がした。

・ルーナ「ソレ…イユ…」

ソレイユはその声を聞き逃さなかった。

・ソレイユ「ルーナ!!そこにいるんだな!今助ける!」

ソレイユは火に飛び込もうとした。

しかしそれを遮るかのように火の手が上がる。

ブゥヲォ!!

・ソレイユ「くっ!」

・福寿丸「無茶でござる!!ソレイユ殿!!」

・ソレイユ「でも!すぐそこにルーナが!!!」

・ルーナ「ソレイユ、ブルームは火に抗うことは出来ないの。私は大丈夫。だから、だから早く逃げて。」

・ソレイユ「大丈夫な訳ないだろ!!助ける!!俺が絶対に!!」

・ソレイユ「くそ!!!どうしたらいい?!!知りたい!知りたい!!教えてくれ!!どうやったらルーナを助けられる?!!!!」

ソレイユは天に向かって叫んだ。

・ソレイユ「大切なんだ…何よりも、誰よりも、この世界のどんなものよりも。ルーナが…」

・ソレイユ「全てだ!!俺の全てを捧げる!!だからルーナを助けてくれ!!」

ファァ。

すると急にソレイユの色素が輝きだした。

逆だった。本来色技を授かってから払う根の代償。ソレイユは根の代償を最大限払うことにより色技を授かった。

それは元々持っていたソレイユの知りたいという欲求、探究心、興味心、追求心に呼応する力であった。

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ソレイユの脳内に一瞬でこの世界の記憶、情報、全てが流れ込んできた。全知それがソレイユの力であった。

・ソレイユ「わかった。」

ソレイユはそう一言だけ言うと空に手を翳した。すると覆われた雲から一筋の光がソレイユに降りてきた。

・ソレイユ「太陽を纏うラー クロース

ソレイユは暖かな光に包まれた。

ソレイユは燃え上がる炎の中に入って行った。

・福寿丸「ソレイユ殿!!!」

ソレイユは火を克服した。火の熱を光を燃焼を克服したのであった。

ソレイユは何食わぬ顔で火の中を通り抜けた。

ルーナは地面に倒れていた。そしてルーナの元に寄り

・ソレイユ「ルーナ。もう大丈夫だよ。」

・ルーナ「ソレ……イユ…?」

ソレイユはルーナを抱え上げた。

ルーナも光に包まれた。

燃え上がる炎の中からルーナを抱き抱えたソレイユが出てきた。


35話 海

・福寿丸「ルーナ殿!!ソレイユ殿!!」

・福寿丸「無事でござったか。」

・ソレイユ「うん。大丈夫。ルーナも気絶してるだけだから。」

三人は山を降りた。

ソレイユはルーナを降ろした。

ソレイユはルーナに手を翳した。

・ソレイユ「光合成フォトシンセシス

・ソレイユ「これで大丈夫。」

ルーナは目を覚ました。

・福寿丸「ルーナ殿!!良かったでござる…」

・ルーナ「ソレイユ…福寿丸……」

ガバッ。

ソレイユはルーナを抱きしめた。

・ルーナ「ちょっちょっとソレイユ…」

ルーナは少し顔を赤くした。

・ソレイユ「よかった。無事で本当によかった………でもごめん。ルーナには今から手伝って欲しいんだ。」

・ルーナ「手伝うって?……」

ルーナは疑問に思いながら山の方を見た。

山はまだすごい勢いで燃えていたのである。

・町人「おい!やばいぞ!!山が燃えている!!誰か水だ!水をもってこい!!」

・町人「馬鹿ヤローどうやってあんな大きな山火事を消すんだよ!!」

・町人「逃げろ!逃げろー!!」

町人達はパニックになり騒いでいた。

・ソレイユ「ルーナ、説明は後でする!俺の言う通りにして欲しいんだ。」

そう言うとソレイユはルーナを抱き抱えた。

・ルーナ「ちょっちょっと!!」

ルーナはまた顔を赤くした。

・ソレイユ「ルーナ、ルーナの引力の色技を使って飛んで欲しいんだ。」

・ルーナ「飛ぶ?!私出来ないよ。」

・ソレイユ「大丈夫!俺が力を貸すからルーナはイメージだけして。」

・ルーナ「イメージ?」

・ソレイユ「それじゃあいくよ。皆既日食エクリプス

ルーナは淡い光に包まれた。

・ルーナ「もうなにが何だか後でちゃんと説明してよね!!えい!!」

・ソレイユとルーナはふわりと浮かび上がった。

・ルーナ「すっ、すごい。」

ルーナは今まで出来なかった空中浮遊にびっくりしていた。

・ソレイユ「その力借りるね!」

そう言うとソレイユは勢い良く飛び出した。

・ルーナ「ぅわ!」

福寿丸は二人をみてポカンとしていた。

・ルーナ「どこに行ってるの?」

ルーナはソレイユに聞いた。

・ソレイユ「海さ!海の水を使ってあの山火事を消す!」

あっという間に海の上まで着いた。

・ソレイユ「それじゃあルーナ、お願い。」

・ルーナ「えっ!!私がやるの!!無理無理!出来ないわそんなこと。」

・ソレイユ「海の水を引っ張り上げて山火事にかけるイメージで。このままじゃ町まで焼けて無くなってしまう。」

・ソレイユ「大丈夫!!ルーナなら絶対にできる!!」

ソレイユは確信を込めて言った。

・ルーナ「もう!!わかったわよ!」

ルーナはイメージを練り上げた。

・ルーナ「月汐セレナ グラビティ 波濤ウェーブ

大量の海の水は浮き上がり高波となり山に流れこんだ。

ザッッッッバーーーーン!!!!

山火事の炎を海水がどんどんと飲み込んでゆく。

ソレイユとルーナは山火事の鎮火に成功した。

・ルーナ「ふぅ。」

・ルーナ「ソレイユーーー!ちゃんと説明してよね!」

・ソレイユ「わかったわかった。ハハハ」

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