第6話

26話 洗礼

・モンブラン「皆さん完成しました。こちらが通行証になります。黄大陸に入る時の入国審査で使いますので無くさないようにしてください。」

モンブランは通行証をアーリス達に渡した。

・アーリス「わ〜グリフォンの羽のデザインだぁー。」

・アルテミシア「ふーん。なんか安直なの。」

・トリカ「アルテさんはこのデザイン嫌いですか?」

・アルテミシア「まぁ…可愛くないこともないと思う……かも…なの。」

アルテミシアは恥ずかしそうに下を見た。

トリカはそれを見てクスッと笑った。

・グラジオラス「あー!櫻子ちゃんにお土産持って行った方がいいかな?いいよね!なにがいいかなー?石蛙ストーンフロッグの石の皮膚なんてどうかな?」

・アルテミシア「センス無さすぎなの!そんなの女の子は喜ばないなの!」

・アーリス「そうだよ。グラス。角鹿アントラディアの角の方がいいと思うよ!!かっこいいし!」

・トリカ「それもどうかと思いますが……」

・グラジオラス「うーん。道中に虹色孔雀でもいないかな……」

・モンブラン「さて皆さんそろそろ出発しましょう。」

2時間後。

世界樹の橋ユグドラシル内国境。

・モンブラン「ここが太陽の帝国サン・エンパイア世界樹の橋ユグドラシルとの境です。この印を越えますと法のない無法地帯となります。黄大陸までは一週間程かかると思われますので気を引き締めて行きましょう。尚、ルートですがこのまま直進せず少し迂回して進みます。途中、遺跡が存在するのでそれを経由していきます。」

・トリカ「遺跡ですか…そんな話は聞いた事ありませんでした。」

・モンブラン「あまり知られてはないようですね。ずいぶん昔に太陽神教の方々が作ったと言われております。」

・アーリス「でもどうして真っ直ぐ進まないの?」

・モンブラン「世界樹の橋ユグドラシルの中心には桑伐ノ蟒蛇くわきりのうわばみと呼ばれる大蛇が生息していると言われております。定かではありませんが、念の為避けて進みましょう。」

・アーリス「大蛇!!でもちょっと戦ってみたいかも!」

・アルテミシア「もう!わくわくしないのなの!」

・全員「…………」

アーリス、アルテミシア、トリカ、グラジオラスは緊張した様子だった。

・アーリス「よし。行こう。」

アーリス達は国境線を超えた。

2時間後。

森には霧が掛かっていて奥に行くほどにどんどん濃くなってゆく。

グァア! グルル…

獣の声も聞こえる。

魔物同士が殺しあっている声だった。

多狼ヌマラスウルフの首元に兎が噛み付いている。

かなりの量の血が流れていた。

・グラジオラス「あの魔物は?俺も見たことないな。」

・モンブラン「あれは死兎デスバニーです。かなり凶暴でああやって狼でさえ喰らいます。」

・アルテミシア「魔物のレベルが上がっているなの。」

・モンブラン「このレベルの魔物ばかりです。戦闘が避けられない状況が必ずあります。皆さん戦いに備えてください。」

さらに1時間後。

ブーン!ブーン!ブンッ!

・モンブラン「厄介な事になりました。」

・アーリス「どうしたの?」

・モンブラン「巨大羽蟲ジャイアントインセクトの縄張りに入ってしまいました。これらは大群で襲ってきます…………」

・モンブラン「どうやら見つかったようです。来ますよ!!」

ブンッ!ブンッ!ブーンッ!

巨大羽蟲ジャイアントインセクトの群れが襲ってきた。

・トリカ「私が撃ち落とします!!アーリスさん。アルテさんを守ってください。グラスさんは私の逃したものの始末をお願いします。」

・アーリス「OK!!」

・グラジオラス「よしきた!!」

アーリス達と魔物との戦闘が始まった。

数分後。

アーリス、トリカ、グラジオラス「はぁはぁはぁ……」

・アーリス「これで全部みたいだね。それじゃあ進もう。」

アーリス達は再び歩きだした。

・モンブラン「それでは日が暮れて来ましたので今日はここら辺で野営としましょう。」

・アーリス「あっ湖だぁー!!」

・アルテミシア「橋の上なのにこんな場所があるなんてびっくりなの。」

・モンブラン「500年の月日がそうさせたのでしょう。もう私達の住む大地と変わりはありません。」

・トリカ「ですがここは安全なのでしょうか?」

・モンブラン「ほら、あそこを見てください。茜鳥アカネドリです。あの鳥は静かな場所でしか生息しません。完全にではないですが比較的安全と言えましょう。」

・グラジオラス「お腹空いたなー。」

・モンブラン「ここは食べられるものがたくさん有ります。水と食料に困ることはないでしょう。食材を集めて食事にでもしましょうか。」

アーリス達はモンブランの知識のおかげで不自由なく食事をすることができた。

アーリス達は食事を済ませて休んでいた。

・グラジオラス「あっ。あれは、もしかして……」

そう言うとグラジオラスはどこかに行ってしまった。

・アルテミシア「もう。落ち着かないのなの。」

トリカはクスッと笑った。

・アーリス「おれもちょっと行ってくるね。」

アーリスは立ち上がった。

・トリカ「どちらに?」

・アルテミシア「あの時間なの。」

・トリカ「あー。そうでしたね。」

アーリスは湖の方へと歩いて行った。

・モンブラン「はて、あの時間とは?」

・アルテミシア「お祈りの時間なの。毎日欠かさずなの。」

・トリカ「月の女神ルーナ様みたいです。」

・モンブラン「そうでしたか。それは良いことですな。」

・アルテミシア「良い事?なの。」

・モンブラン「信じられるものが在れば人は強くもなれます。」

・トリカ「そうですね。」

湖の水面に月とアーリスの姿が映った。


27話 遺跡

・モンブラン「そろそろでしょうか。」

アーリス達が国境線を超えてこら3日が経っていた。

少しずつ森が開けてきた。

・アーリス、アルテミシア、グラジオラス「わぁー!!」

・トリカ「これはすごい。」

アーリス達の目の前に大きな遺跡が現れた。

霧も晴れ幻想的な景色だった。

・アーリス「わぁ!地面にいっぱい穴があいてるよー!」

・モンブラン「気をつけてください。落ちたら下は海になっております。かなりの高さですよ。」

・グラジオラス「どうして穴が?」

・モンブラン「知っての通り世界樹の橋ユグドラシルは超巨大な樹木でできております。我々がずっと歩いて来た所は幹の部分になります。そして今いるここが枝の部分です。だからこうやって所々に穴が見られます。」

・グラジオラス「へー。枝も規格外の大きさだね。」

・アーリス「ねぇ!モンブランさん!遺跡みてもいい?」

・モンブラン「少し寄り道するぐらい大丈夫でしょう。そうそうお目にかかれるものでもありませんしね。」

・トリカ「私もこう言ったものには興味がそそられます。」

アーリス達はしばらく遺跡の観察を行っていた。

するといきなり何かを引きずる様な音が聞こえてきた。

全員「!!!!」

その音は次第に大きくなっていく。

メリメリ!バキッ! ズズズズ!

音の正体が現れた。

全員「!!!!!!!!!!」

・モンブラン「あっあれは!!何故此処に!!」

・アーリス「もしかして……」

・モンブラン「ええ。桑伐ノ蟒蛇くわきりのうわばみです。」

アーリス達の目の前に現れたのは体長10mを超える巨大な大蛇だった。

・モンブラン「皆さん。あれと戦っては世界樹の橋ユグドラシルを抜けられない可能性があります……なので逃げます!!」

その瞬間大蛇は頭で突進してきた。

・アーリス「みんな!避けろ!!!」

ズドンッ!!!ガラガラッ……

全員は間一髪避ける。

遺跡の周りの建物が壊れ瓦礫になった。

・トリカ「次が来ます!!!」

次は尻尾を振り回し攻撃してきた。

ガッ!

アーリスはアルテミシアを抱えて攻撃を交わした。

ズドンッ!ガラガラッ……

大蛇はかなり興奮している様子だった。

・アーリス「大丈夫?アルテ。」

・アルテミシア「大丈夫なの。ありがとうなの。」

アーリス達は桑伐ノ蟒蛇くわきりのうわばみの猛攻に逃げられないでいた。

そのときどこからか声が聞こえてきた。

???「おいおいおい!まじかよ!この程度に手こずってるのかよ!!」

全員「!!!」

その瞬間何者かが大蛇の頭上に現れる。

そしてそのまま大蛇を切りつけた。

シュパン!!!

大蛇の首を切り落とした。

ズドンッ!!

大蛇の首は落ち血の雨が降る。

・アーリス「おっ、お前らは!!」

アーリス達は7人の何者かによって囲まれていた。

7人の体には褄取草の刺青があった。


28話 乱咲

・アルテミシア「その褄取草の刺青、まさかなの。」

第漆輪 銀族【セネシオ シルバ】「おーい!リーダー!本当にこいつらか?めちゃくちゃ弱そうだぞ。なぁ殺しちゃっていいかー?」

第陸輪 無色インビジブル【リン】「セネシオはいつもそればっかり。もっとクールに出来ないの?ハナキを見習いなさい!ねぇーハナキ♡」

第伍輪 無色インビジブル【ハナキ】「…………」

第肆輪 青王族【レイン ハイドラ】「あー!お前あん時の!!アーリスだっけ!なんだお前死んでなかったのか!殺したと思ったんだけどな。」

第参輪 金族【マリー ゴールド】「レイン知り合い?あなたが殺しそびれるなんて珍しいのね。」

第弐輪 無色インビジブル【縁紅 弁慶】「それが大きな金に変わることもありましょう。なに投資と考えればお安いことです。」

第壱輪 無色インビジブル【ネイチャー】「我々は"乱咲"。此処でお前たちを処分することにする。それが自然の摂理だ。

・トリカ「やはり乱咲でしたか。あの乱咲がたったの7人だけの組織だったなんて……」

・アーリス「なんでオレらを狙う?!!」

・レイン「おいおい!狙ってんのはそっちの方だろ?おれらを追ってるらしいじゃねえーか!まぁ今まで追ってきてるのがお前たどは知らなかったけどな。」

・アルテミシア「ボクの故郷…」

・レイン「んぁ?」

・アルテミシア「ボクの故郷を襲って奪った薬を返してなの!!」

・セネシオ「あー!その灰色の頭、もしかして灰煙島の一族じゃねぇか!あのちっちゃな島の。でもお前みたいなやついたかなー?」

・マリー「ねぇもういいでしょ。さっさと目的を果たしましょ。あなた達、私達の毒奪ったでしょ…」

・トリカ「あれは貴方達のものなんかじゃない!!」

・マリー「まぁいいけど、邪魔されるの色々と困るんだよね。……っであなた達がわざわざこの無法地帯の世界樹の橋ユグドラシルに来るっていう情報が入ってきた訳。」

・レイン「わかった。わかった。早く終わらせよう。だがあいつは俺にやらせてくれ!リーダー!殺しそびれてムカついてんだよな。」

・マリー「ああ言ってるけどいいの?ネイチャー?」

・ネイチャー「いいだろう。ただし一分だ。一分で方がつかなかったら全員でやる。」

・レイン「サンキュー、リーダー。ってことだ、楽しもうぜアーリス!!」

・アーリス「下がってて。アルテ。」

・アルテミシア「気をつけてなの。」

・ネイチャー「マリー、弁慶残りの奴らを見張っていろ」

シュッ! シュッ!

マリーと弁慶はアルテミシア、トリカ、グラジオラス、モンブランの後ろについた。

・グラジオラス「くそ!俺も!!」

・モンブラン「グラス殿!!動かないでください。」

・グラジオラス「くっ…」

・モンブラン「気持ちは分かります。ですが今動くと後ろのお二人に殺されます。」

・アルテミシア「アーリス…」

・トリカ「アーリスさん…」

・モンブラン「(アーリス殿時間を稼いでください。)」

・ネイチャー「マリー、弁慶、気をつけろよ。そこにいるのはモンブラン チェスナットだ。」

・マリー「へー。水宝戦争で活躍したって言われるあの閃弾のチェスナットねぇ。」

・モンブラン「それは20年も前の話です。」

・レイン「1分しかねえからさっさといかしてもらうわ!!天叢雲剣あまのむらくものつるぎ

・アーリス「水仙の篭手ホワイト ガントレット

・レイン「おっ、なんか雰囲気変わったか?明らかに前より強くなってるな。」

・レイン「おらぁ!」

レインは剣を振りかざす。

ガギンッ!

アーリスは拳を突き出し防いだ。

アーリスのカウンターの回し蹴り。

レインは後ろに下がり避ける。すぐさま剣を振り上げる。

ガンッ!

アーリスは篭手でガードした。

アーリスとレインの激しい攻防が続く。

・アーリス「白ノ衝撃 砕ホワイト ブレイク

アーリスは勢い良く拳をだした。

レイン「雨宿しあまやどし

レインが左手をかざすと水の壁ができた。

バシャン!!

アーリスの攻撃は勢いを殺されレインまで届かなかった。

・アーリス「はぁはぁはぁ…」

アーリスは疲れを見せている。

・ネイチャー「時間だレイン。」

・レイン「えーもう終わりかよ!」

・ネイチャー「全員でいく。」

・レイン「あーやめだやめ!俺はもういいや。」

・ネイチャー「ならば弁慶と代われ。」

・レイン「へいへい。」

レインはアルテミシア達のところまで歩いていきアルテミシアの前にしゃがみ込んだ。

・レイン「はぁあ…」

レインはあくびをした。

・ネイチャー「セネシオ、リン、ハナキ、弁慶、殺れ。」

アーリスは四人に囲まれた。

・セネシオ「やっと俺の番だ。ころす、ころす、殺す!殺す!!水銀の鎖シルバーチェーン

セネシオは半液体の太い鎖をだした。

・リン「呆れる。ホントっ戦闘狂なんだから。弁慶、なんか武器貸してよ。二つね。」

・弁慶「武器庫コレクション999番」

弁慶の前に黒い空間が生まれそこから刀、槍、薙刀を取り出した。

弁慶は刀と槍をリンに投げ渡した。

・リン「はぁ。なんか趣味悪いよね、これ。まぁいっか。ハナキーお姉ちゃんの武器一つ貸してあげるー♡」

リンはハナキの腕にしがみつきながら武器を渡した。

・弁慶「それは我のである。」

・リン「そんなのどうだっていいでしょ。」

リンは逆ギレした。

・ハナキ「…………」

ハナキは何も言わずに武器を構えた。

アーリスは構えた。

不穏な空気が流れる。


29話 助っ人

ゴクッ。

アーリスは生唾を飲み込んだ。

緊張感が漂う。

・アーリス「(くそ!どうする。)」

ジリッ。

アーリスが少し足を動かした瞬間。

シュッ!

セネシオ、リン、ハナキ、弁慶は同時に攻撃してきた。

スカッ!

アーリスは間一髪のところで攻撃を交わした。

トリカはそれを見て我慢できずに弓をだした。

・レイン「おい。お前それ以上動くな。殺すぞ!」

レインは苛立った様子で前を向いたまま言った。

・リン「なにこれ!使いにく!」

・弁慶「文句ばかり言うなすな。後でしっかりとレンタル代は払って貰いましょう。」

・リン「はぁ!使ってから言うなんてアコギな商売してんのね!」

セネシオはアーリスを追いかけて攻撃した。

鎖は伸びてアーリスの方に飛んできた。

アーリスはガードしようとした。

だが鎖はアリスの横を飛んでいきそのままアーリスに巻きついた。

セネシオはアーリスを空中に投げ飛ばした。

アーリスは落ちていく。

気づくと下にはハナキがいた。

ハナキは槍で空中のアーリス目掛けて突き刺した。

アーリスは空中で体を捻り何とか避けようとする。

しかし避けきれずに体を槍が掠める。

ザッ!

アーリスは着地して脇腹を押えた。

槍を掠めた脇腹からは血が流れ出ている。

・アーリス「はぁはぁはぁ……」

・アーリス「(ダメだ。このままだと…)」

アーリスはフラッシュバックした。

アルテミシアがグリフォンに襲われた時の光景が脳裏に過ぎる。

・アーリス「オレ…が……オレが守る!!絶対守る!!!」

・アーリス「記憶生贄メモリー サクリファイス

アーリスは淡く輝く。

・アルテミシア「アーリス!!!それはダメなの!!!」

記憶生贄メモリー サクリファイス】アーリスは根の代償で記憶を選ばずに捧げ、身体中の色素の量と濃さが数倍に引き上がったという記憶を自らに植え付けた。その体の記憶に合わせるようにそれは事実となる。

・アーリス「アルテ。オレのこと覚えててくれたら嬉しいな。」

・アルテミシア「アーリス!!アーリス!!」

アルテミシアは泣きながら叫んだ。

セネシオ、リン、ハナキ、弁慶は同時に武器を振りかざした。

ガンッ!!

アーリスは全て受け止めた。

アーリスの反撃。

そこから数分間1対4の戦闘をアーリスはギリギリになりながら戦い続けた。

だがここでアーリスの足が止まった。

ゴスッ。

アーリスは崩れるように膝をついた。

・リン「なんなのよ!コイツ!」

・弁慶「敵ながら天晴れであるな。」

・ハナキ「…………」

・セネシオ「くそ!殺す!殺す!なんだよ…なんだよ!!殺す!殺す!殺す!!!」

三度みたびの四人同時の攻撃。

その時。

ブワァ!!

炎が波のように流れてきた。

四人は反射的に炎を避け後ろに下がった。

???「良く頑張ったな!!アーリス!誇れ!お前は皆を守った!!」

・レイン「おい!なんだ!なんだ!なんでお前らがいるんだよ!!激情薔薇団オーズローズスが!!」


30話 ローズ家

アーリス以外のこの場にいる全員が声が聞こえた方をみた。

そこには総勢20名を超える激情薔薇団オーズローズスがいた。

・レイン「ちっ!しかもローズ家が勢揃いかよ!」

【ウラノス ローズ】赤王族 太陽の帝国サン・エンパイア 現国王

【アーデルハイト ローズ】王妃

【ライト ローズ】王子 激情薔薇団オーズローズス騎士団長

【アリシア ローズ】王女

・モンブラン「何とか間に合いました。ありがとうございます。ローズ様。」

激情薔薇団オーズローズスの下には大きな転移色技陣があり眩く光っていた。

数秒後その光はスっと消えた。

・ウラノス「よくやったモンブランよ。チェスナット家に恥じぬ良い働きであった。」

・モンブラン「ありがたきお言葉。」

モンブランはアーリスが戦っている間に準備をして色技 ノアの方舟を発動させたのであった。

ガサッ!

アーリスは倒れた。

・アリシア「あまっ!」

・アーデルハイト「よしなさい。アリシア。」

王女のアリシアは何かを言いかけたがアーデルハイトがその言葉に被せる様にして止めた。

・アリシア「お母様、ですが……」

・アーデルハイト「言うことを聞くのよ。アリシア」

・アリシア「はい。」

・セネシオ「トドメは刺させて貰う!!死ね!!」

セネシオは倒れたアーリスに飛びかかる。

・ライト「炎の指揮フレイム コンダクト

ライトの指揮で操られた炎がセネシオを襲う。

・セネシオ「熱っ!!!」

セネシオは後ろに飛び避けた。

その瞬間。

モンブランがレインの腕を掴みマリーの方に飛ばした。

・レイン「うおっ!」

レインとマリーはぶつかり少しだけよろける。

・モンブラン「今です!!皆さん!急いでアーリス殿を!!」

・アルテミシア、トリカ、グラジオラスは一斉にアーリス目掛けて走った。

・モンブラン「そこの穴からお逃げなさい!!」

・グラジオラス「トリカ!アーリスをお願い!!道は俺が示す!おいで。瑠璃!」

・トリカ「分かりました!お願いします!」

トリカは急いでアーリスを背中に担いだ。

そしてグラジオラスは地面の穴に飛び込んだ。

・グラジオラス「こっちだ!!」

続けてトリカとアルテミシアも飛び込んだ。

飛び込んだ先には太い枝が無数に伸びており、トリカ達はそれを辿って逃げていった。

・レイン「ちっ!逃げられたか。」

シュッ!

乱咲は全員リーダーのネイチャーの元に集まった。

乱咲とローズ家、激情薔薇団オーズローズスが向かい合って睨み合う形となった。

・マリー「ネイチャー、あいつら逃がしてしまったね。」

・ネイチャー「仕方ない。それも自然の摂理だ。」

沈黙が流れる。

最初に沈黙を破ったのはウラノスだった。

・ウラノス「ネイチャー。やはりお前だったか。」

・ネイチャー「久しぶりですね。ウラノスさん。」

・ライト「!!!!!(父上は乱咲のリーダーを知っている!!)」

・マリー「まさか、赤族の国王と知った仲なの?ホントにあなたは自分のことを話さないよね。」

・ネイチャー「お前らには関係のない事だ。」

・マリー「まぁそれもそうね。」

・ライト「父上どうしますか?」

・ウラノス「構わん。捕まえろ。」

・ライト「……分かりました。」

・ライト「それじゃあ君たちをしょっぴかせて貰う!!此処には法が存在しないからね!君達を縛り上げて拉致するよ。そして国に戻ってここで起きたことはなかったことに、でも君達は余罪だらけだから牢屋にぶち込まれるって訳さ!!」

・ライト「父上ここは俺に任せてください。みんなを巻き込みたくありませんからね。」

・リン「なんだかあっちの王子様はやる気満々だよ。あっ!!あたしの王子様はハナキだけだからね♡」

リンはハナキの腕にしがみついた。

・セネシオ「って言うかなんで俺らがここにいること知ってんだよ!!」

・ライト「うーん。ウィードって君達の下っ端だよね?そこから色々情報を引き出しただけさ!」

・セネシオ「なんだよ!!ダダ漏れかよ!」

・レイン「んで、どうすんだ?リーダーさんよ!俺は全然やれるぜ!!」

レインはネイチャーに聞いた。

・ネイチャー「今回は引かせてもらう。」

・レイン「引くんかよ。」

・ネイチャー「戦えば必ず3人は死ぬ。お前らに死なれたら困る。」

・レイン「ちっ。分かったよ。」

ライトが動く。

・ライト「それじゃあいくよ。炎楽団フレイム オーケストラ

大きな炎が乱咲を襲う。

・ネイチャー「各自死ぬな。後は自然の成り行きに任せるだけだ。散れ。」

乱咲は四方八方バラバラに逃げ出した。

・ライト「なーんだ逃げちゃうんだ。以外と冷静な判断だな。」

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