第4話

16話 療養期間

アーリスは目覚めた。豪華な天井が見える。

ガチャ

扉からセンノが入って来た。

・センノ「アーリス様起きたのですね!アルテミシア様とトリカ様をお呼びしてきます。」

1分後再び扉が開いた。

ガチャ。

扉が開くと同時にアルテミシアが飛び込んできた。

・アルテミシア「もう!心配したなの。アーリスはいつもそうなの。もっと自分を大切にするなの。」

・アーリス「あはは。でもほら!もう元気!元気!!結構寝てた?」

アーリスは笑いながら言った。

トリカ「はい。丸一日くらい寝てました。」

トリカ「無事で良かったです。アーリスさんには本当に助けられました。ウィードのアジトから薬品も全部回収する事ができました。ありがとうございます。」

・アーリス「良かった!でっ、この感じまたアルテに助けられたのかな……」

・アルテミシア「そうなの!とっても大変だったの!」

アルテミシアとトリカはアーリスが倒れた後の事を話した。

・アーリス「そっかぁ。新緑の会が全員捕まえられて良かったね!!それからライトか……王子様にも今度お礼しないとね!」

・トリカ「はい。ライト様もまたいつか会う気がすると言われてました。その時に一緒にお礼しましょう。」

・アーリス「一緒に?」

・トリカ「はい。アルテさんとは話したのですが私もアーリスさん達と一緒に旅に行かせてもらいたいなと。」

・アーリス「えっ!本当に?!」

・トリカ「アーリスさんのお手伝いをしたいのと私自身も青大陸の雪國スノードロップに用がありまして、黄大陸の藤の都までにはなりますがお供させもらいます。」

・アーリス「やった!やった!仲間が増えたねアルテ!あっ。でもセンノは??」

・センノ「私はトリカ様のお仕事を引き継ぎます。」

・アーリス「そっかぁ。センノも一緒に行けたら良かったのに。トリカいなくなって寂しくない?」

・センノ「私は大丈夫です。」

センノはそう言ったがやっぱり少し悲しそうな表情をしていた。

・トリカ「センノはとても優秀です。センノ私が戻るまで任せたよ。」

・センノ「はい。お任せを。」

・アーリス「センノありがとね!!センノがいなかったらウィードには勝てなかったよ!やっぱりセンノは凄いや!!」

センノは照れくさそうな表情を浮かべた。

・トリカ「それで、これからのことなのですが先ずは赤大陸と黄大陸を繋ぐ巨大な橋、世界樹の橋 通称ユグドラシルを目指します。」

・アーリス「世界樹の橋ユグドラシル?!!!なにそれ!!大陸を繋ぐ??どれくらい大きいの?!!」

アーリスは興奮しながら聞いた。

・トリカ「全長200km以上あると言われています。」

・アーリス「わぁー!凄いね!凄いね!!ねぇアルテ!」

・アルテミシア「誰でも知ってることなの……でもボクも行ったことは無いけどなの……」

・トリカ「その橋を渡るためには通行証が入ります。世界樹の橋ユグドラシルの隣町レッドエッジに行ってそれを取得しましょう」

・トリカ「でもまずは療養です。1週間ルピナス家の屋敷で休んでください。」

・アーリス「分かったよ!トリカ!ねぇトリカ、家に遊び行ってもいい?」

・トリカ「もちろんです。」

アーリスは1週間療養した。その際にアルテミシア、トリカ、センノとたくさん遊んだのであった。


17話 出発

シュポ〜!!

ダウンタウン駅 陽光機関車前

・アルテミシア「準備はいい?なの。」

・アーリス「うん!バッチリ!!」

アーリスは元気良く言った。

・アーリス「それじゃあ行ってくるね!!」

・トリカ「センノ留守はお願いするよ。」

・アルテミシア「また一緒にケーキ食べるなの。」

3人はセンノにお別れの挨拶をした。

・センノ「はい。アーリス様。トリカ様。アルテミシア様。体にはお気をつけください。ご無事を祈っております。」

センノは寂しさを隠すようにニコッと笑って見送った。

シュポ〜!

機関車の出発の合図が鳴る。

3人は機関車に乗り込んで窓から手を振った。

センノも手を振り返した。機関車が見えなくなるまで。

機関車内。

・アーリス「ついに出発だね!レッドエッジまではどれくらいだっけ?」

・トリカ「3日程になります。途中何度か駅で止まります。この機関車内にもいくつかお店が有りますので時間を潰してはどうですか?」

・アーリス「そうする!!じぁあ早速行ってくる!!」

アーリスは慌ただしく行った。

・トリカ「アルテさんはどうしますか?」

・アルテミシア「ボクはしばらく外の景色でも見てるなの。」

・トリカ「そうですか。では何か甘いケーキとお茶でも買って来ますね。」

・アルテミシア「えっ!アリガト…なの。」

アルテミシアは嬉しそうにした。

日は暮れて夜になっていた。

アルテミシアはお茶を飲んでいた。そこにトリカが戻ってきた。

・トリカ「ここには本屋もあって書籍を読んでいたらこんな時間になってました。」

・アルテミシア「時間が潰せて良かったなの。後…このお茶も美味しいなの。」

・トリカ「お口に合って良かったです。」

・アルテミシア「どんな本を読んでたなの?」

・トリカ「薬と毒についての書籍です。」

・アルテミシア「毒?なの。」

・トリカ「はい。私はまだアルカロイドを制御出来ません。この前はたまたまウィードの色技と一緒に消えましたが……それにアルカロイドよりもさらに強力な毒も有ります。さすがに危険すぎて一度も精製したことはありませんがね。」

・アルテミシア「それを制御する為に青大陸に?なの。」

・トリカ「そうです。私は自ら毒を摂取する事により毒をコントロールする幅を増やす事が出来ます。あとは荒療治ですが薬でもです。青大陸には赤大陸にはない毒があるらしくそれを探すことができたらなと。」

・アルテミシア「見つかるといいなの。」

・トリカ「はい。私自身が成長すればもっとローズ家のお役にたてますから。」

・トリカ「あれっ?そう言えばアーリスさんはどちらに?」

・アルテミシア「この時間はいつもお祈りなの。出会った時らから毎日欠かさずやってるなの。」

・トリカ「たしか療養中も夜いなくなる時が有りましたね。」

・アルテミシア「ボク、ちょっと見てくるなの。外の風にも当たりたい気分だしなの。」

アルテミシアは外に出た。

・アルテミシア「(えっと。アーリスは…なの。あっ!いたなの。)」

アーリスは機関車のデッキで月を見ながら手を合わせていた。

・アルテミシア「(邪魔しちゃ悪いなの。終わるまで待つなの。)」

その時アーリスはお祈りを終え不敵な笑みを浮かべた。

・アルテミシア「(えっ?!)」

一瞬だった。そして数秒ぼーっとしてアルテミシアの方に気が付いた。

・アーリス「あっ!!アルテー!!」

アーリスは元気にアルテミシアの元に駆け寄った。

・アーリス「迎えに来てくれたのー?」

・アルテミシア「そうなの。(いつものアーリスなの……さっきのは見間違えだった…なの。)」

・アーリス「ありがとう!!」

・アルテミシア「外は寒いのなの。風邪引くのなの。」

・アーリス「あっ。ホントだぁ寒いね!でも風邪引いたらアルテに治して貰うから大丈夫!!」

・アルテミシア「それくらい自分で治すなの。もう治してあげないなの。」

・アーリス「えー ひどいよー アルテー」

アルテミシアはクスッと笑った。

シュポ〜!

アーリス達を乗せた機関車は暗い線路を走っている。


18話 国境

・アルテミシア「アーリス。アーリス。起きてなの。もうすぐ着くなの。」

・アーリス「う〜ん…」

アーリスは眠たそうに返事をした。

・トリカ「見てください。アーリスさん。世界樹の橋ユグドラシルが見えてきましたよ。」

アーリスは眠い目を擦りながら窓の外を見た。

・アーリス「!!!!!!!!」

・アーリス「えっ!!あれが橋?!!あんなに大きいの?!!」

アーリスは遠くからでも分かる超巨大な橋を見て眠気が吹き飛んだ。

・アーリス「スゴいね!スゴいね!アルテ!!」

・アルテミシア「ボクも初めて見るなの。さすがにびっくりなの。」

アーリスはしばらく興奮が収まらない様子だった。

レッドエッジ駅。

・アーリス「うー。やっとついたー」

・アルテミシア「座りっぱなしは疲れるなの。」

・トリカ「でも旅はこれからですよ。」

三人は陽光機関車を降りレッドエッジについた。

・トリカ「それでは関所に向かいましょう。」

・アーリス「関所?」

・トリカ「これから国をでます。なので関所で通行証を貰わなければなりません。」

・アーリス「オレ大陸出るの初めてだ!旅っぽくなってきたねー!!」

・アルテミシア「はしゃがないのなの。」

レッドエッジ関所

・トリカ「こんにちは。世界樹の橋ユグドラシルを通りたく通行証が欲しいのですが。」

・役人「こんにちは。通行証ですね。では説明のため担当の者が参りますのでこちらの部屋にどうぞ。」

アーリス達は部屋に通された。

5分ほど経って。

・役人「お待たせしました。世界樹の橋ユグドラシルについて説明させて頂きます。わたくし、モンブラン チェスナットと申します。」

茶族のカチッとした服装に眼鏡をかけた男が自己紹介をした。

・アーリス「おれアーリス!よろしくねモンブランさん!」

・アルテミシア「アルテミシアなの。」

・トリカ「トリカ ルピナスと申します。」

3人も名前を名乗った。

・モンブラン「それでは説明をさせて頂きます。まずは御三方が渡りたいと言われてます。世界樹の橋ユグドラシルですが言わずと知れた観光名所にもなっております。ですが1歩踏み込めば大変危険な場所となります。世界樹の橋ユグドラシルに入った5km圏内までが国内でそれより先、国境を超えるとこの国太陽の帝国サン・エンパイアの法が存在しない無法地帯となります。」

・アルテミシア「無法地帯なの…」

・アーリス「危険?どう危ないの?」

・モンブラン「世界樹の橋ユグドラシルは500年前花暦587年に太陽神ソレイユが創ったと伝えられて…」

・アーリス「創った!!!!こんな大きな橋を?!!!」

・モンブラン「はい。そう伝えられております。」

・アルテミシア「そんなの常識なの。昔話とかもいっぱいあるの。」

モンブランは話を戻した。

・モンブラン「その太陽神ソレイユが創った巨大な橋は特殊な磁場が発生しており。そこに生息する生き物達が異常な進化を遂げております。その生物を魔物と呼んでおります。」

・トリカ「その魔物が危険だと。」

・モンブラン「左様です。その魔物にやられ何人もの方々が命を落としています。ですので簡単に通行証をお渡しする事はできません。」

・アーリス「どうやったら貰えるの?」

・モンブラン「通行証の発行には試験を受けてもらいそれに合格したらお渡ししております。」

・アーリス「試験?」

・モンブラン「はい。先程申しました世界樹の橋ユグドラシルの5km圏内に生息する魔物グリフォンを倒してもらいます。」

・アルテミシア「グリフォン…」

・モンブラン「もちろんグリフォン以外に魔物は多数存在しております。」

・モンブラン「それからグリフォンは恐ろしい魔物になりますが世界樹の橋ユグドラシルの奥地はさらに危険な魔物が存在しております。ですのでグリフォンを倒すことは最低ラインだとお考えください。」

・アルテミシア「でもそんな危険なら通れない人ばっかりなの。」

・モンブラン「その通りです。この試験に1年かかる者、試験に合格出来ずに諦める者もいます。ですが安心してください。これは陸路で橋を渡りたい場合ですので、船を使えばこんな危険を冒す必要はありません。その場合はまた別の入国審査がありますがね。」

・アーリス「ううん。絶対橋を渡る!!それくらいできなきゃ!強くならなきゃ!」

・アルテミシア「それもそうなの。避けては通れないの。」

・トリカ「そうですね。皆で力を合わせれば出来ます。」

・モンブラン「分かりました。意志は固そうですね。それでは試験地へと案内いたします。」

アーリス達は役所を出て世界樹の橋ユグドラシルへと向かった。

世界樹の橋ユグドラシルの前には大きな壁と大きな扉があった。

ゴゴゴゴゴ…

扉は音を立てながら横に開いた。

アーリス達は扉に入った。

グワッ!グワッ! グルルル!

色々な生物の鳴き声が聞こえる。

世界樹の橋ユグドラシルは薄ら霧がかっていて空気が冷たく不穏な感じがした。


19話 魔物

世界樹の橋ユグドラシル】太陽神ソレイユが創ったと伝えられており、全長約200kmの樹木で橋の形に形成されてる。その樹木から更に植物が芽生え大きな森へと変貌している。

・モンブラン「それではこれより試験を始めます。試験内容は倒したグリフォンの羽を持ってくること。グリフォンは死ぬと羽が白から黒へと変色します。それを証拠として持ってきて頂きます。期間期限は設けておりません。また外に宿を設けておりますのでいつでも自由に使ってください。」

グルルルッ!グワッ!

いきなり狼がモンブランの後ろから飛びついてきた。

・アーリス「危ない!!!」

アーリスは咄嗟に叫んだ。

スッ。

モンブランは顔色一つ変えずに狼の攻撃をかわした。

グシュッ!

そしてもう一度飛びついてきた狼に合わせて狼の首元に素手を貫通させた。

ドチャッ!

モンブランは手を振りほどき狼を地面に落とした。

・モンブラン「それではご検討をお祈りしております。」

そう一言だけ言うとモンブランは去っていった。

・アーリス「モンブランさん何となく感じてはいたけどかなり強いね。」

・トリカ「あの強さおそらく、一人でこの橋を渡りきれるんでしょうね。」

・アーリス「よーし腕がなるね!!あんなの見せられたら俄然やる気が出てきた!!」

ガサッ

・アルテミシア「アーリス!!」

アルテミシアがアーリスを呼び全員が音のなる方を見ると

1匹の狼がいた。

アオーン!!

狼は叫んだ。

その数秒後。

ドタッ ドタッ ガサッ ゴソッ

アーリス達は狼の群れに囲まれた。

・トリカ「……7、8、9、…15匹以上はいますね。」

・アーリス「アルテはオレとトリカの間に居て。あいつらは二人でやるから。」

・アルテミシア「分かったなの。気をつけてなの。」

・アーリス「水仙の篭手ホワイト ガントレット

・トリカ「紫毒の弓ヴェノム アルコ

・アーリス「いくよ!トリカ!」

・トリカ「はい!」

トリカは毒矢を狼に向かって放った。

グサッ グサッ グサッ

狼は3匹倒れた。

トリカ「まずは3匹です。」

アーリスに向かって狼が2匹飛びついてきた。

アーリスはカウンターを合わせるように殴りつけた。

・アーリス「こっちも2匹!!」

狼達は次々と飛びかかってくる。

数分後。

・アーリス、トリカ「ハアハアハア……」

・トリカ「これで全部みたいですね。」

・アーリス「モンブランさんはこれを涼しい顔でやってたから凄いよね。」

アーリス達は狼の群れを倒した。

・アルテミシア「魅了のエンチャントフルートvivoヴィーヴォ

・アルテミシア「色素を活性化させたの。これで戦いやすくなると思うの。」

・アーリス「ありがとう!」

・アルテミシア「でも色素が元に戻った訳じゃないの。燃費が良くなったって感じなの。」

ガルルルルル!!!

またしても狼の声が聞こえた。

・アーリス「あれって結構怒ってるよね……」

・トリカ「いえ。かなりですね。それにさっきのふた周り以上大きいですよ。」

アーリス達の目の前に狼のボスと思われる魔物が現れた。

・アーリス「まだいけるよね。トリカ!」

・トリカ「愚問ですね。アーリスさん。まだまだこれからですよ!」

グワッ!!!

ボス狼は飛びかかってきた。

アーリスとトリカは構える。

その時

シュパッ!

急に目の前に人影が現れ、ボス狼の首が切り落とされた。

ドチャッ。

アーリス達の目の前に立っていたのは、刀を持ち桃色の色紋の男だった。


20話 混血

ピッ! キンッ。

桃色の色紋の男は刀についた狼の血を振り払い刀を鞘に収めた。

・桃色の男「大丈夫?あれ?もしかして余計なことしたかな。」

・アーリス「そんなことないよ。ありがとう!おれはアーリス!そしてこっちがアルテでこっちがトリカ!!君は?」

・桃色の男「アーリスに…アルテとトリカ…っと。俺は桜間 グラジオラスって言うんだ。グラスとでも呼んでよ!」

・アーリス「よろしくね!グラス!」

・トリカ「桜間……ってたしか黄大陸の…もしかして向こうの黄大陸から来たのですか?」

・グラジオラス「そう思うよね。でも俺はあっちの大陸にまだ行ったことないんだ。俺の亡くなった祖父が桜間の一族で昔こっちの大陸に移り住んだみたい。」

・トリカ「なるほど…それで…」

・グラジオラス「祖父が桜間家で祖母がチュリップ家、つまり混血、ハーフって訳!!今は祖父の姓を使ってるんだ!」

・アルテミシア「チュリップ家も良く聞くの。知り合いにもいるなの。」

・グラジオラス「チュリップは花園ガーデンに一番多い種族かもね。だから色んなハーフもいっぱいいるよ。」

・アーリス「グラスはどうしてここに?」

・グラジオラス「もちろんあっちに行くための通行証を貰うためさ。」

・グラジオラス「ある時父宛にあっちの桜間家から手紙が届いたんだ。たわいも無いただの挨拶程度の手紙だったんだけど。そこから何回かやり取りがあって、1枚の写真が入ってた時があったんだ。そこに写ってたのは桜間家の娘、でっそれを見た瞬間にズキューンって!!!」

・アーリス「ズキューン??」

・グラジオラス「そう!雷に打たれたみたいに!その写真の娘に一瞬で恋に落ちてしまったんだ!!」

・アーリス「こい?鯉?……美味しいの?」

・アルテミシア「恋なの。恋愛のことなの。」

・アーリス「ふーん。よくわかんないや。」

・グラジオラス「でっ!その娘の名前は桜間 櫻子ちゃんって言うんだけど!もう可愛くて、愛おしくて、会いたくて、知りたくて、好きな食べ物は何かなーって、朝は何時に起きるのかなーって、お風呂の温度はなん………………」

・アーリス「おーい。おーい!グラスー。おーい。」

・アルテミシア「だめなの。聞こえてないの。」

グラジオラスは自分の世界に入っていた。

・グラジオラス「コホンッ。まぁつまりここにいる理由は櫻子ちゃんに会いに行きたいってこと!!」

・アーリス「それなら一緒に行こうよ!おれらと行先も同じみたいだし!」

・グラジオラス「えっ!いいの?……実は…なかなかグリフォン倒せなくて…ほらあいつって空飛ぶし、多狼ヌマラスウルフの群れは数多いし…あっこいつらのことね」

グラジオラスは倒れている狼を指さして言った。

・アーリス「いいよ!いいよ!グラスがいると心強そうだし!」

・グラジオラス「よーし!なら早速この森を案内してあげる!!俺はもう二ヶ月以上いるからね!ついてきてー!」

グラジオラスは1人で走っていった。

・アーリス「あっ!待っ…」

3人も追いかけるように走った。

・アルテミシア「一緒に行くってホントに大丈夫?なの。」

・アーリス「いい人そうだし大丈夫だよ!何より嘘はついてないみたいだし!」

・アルテミシア「ならいいけどなの。」

・トリカ「面白い方ですね。なんだか賑やかになりそうです。」

数分後。

ガサッ ゴソッ

アーリス達は茂みに隠れていた。

・グラジオラス「ほら見て。あそこにいるのが石蛙ストーンフロッグあの体の表面のヌメヌメが石のように固くなる。だから気づかれる前に倒す。これが定石。」

グラジオラスはコソコソ話した。

・グラジオラス「まずは俺がやる。見てて。」

スー。ポチャン。

・グラジオラス「おいで、瑠璃るり

グラジオラスの横に大きな鯉が現れ空中を泳いでいる。

・アルテミシア、トリカ「(鯉!!)」

・アーリス「(あっ!鯉(恋)だー!!)」

・グラジオラス「影沼かげぬま

ドポンッ。

グラジオラスは自分の影に入った。

・アーリス「(消えた…)」

ヌゥ。

すると次は石蛙ストーンフロッグの影から出てきた。

シュパッ

グラジオラスは石蛙を刀で切った。

石蛙は石化することが出来ずに首をおとされた。

・グラジオラス「ふぅ。ありがと。瑠璃。」

瑠璃はスゥーと消えていった。

・アーリス「わー!すごーい!今のどうやったの?大きな鯉!かっこいいね!!」

瑠璃るり】グラジオラスが色素で創り出した生物。鯉の姿をしており口元の髭からあらゆる情報を読み取ることが出来る。今回は敵の息遣いや鼓動の空気振動を感じとった。

影沼かげぬま】自分と他の生物との影を繋げ移動することができる。生物以外はできない。視認すること相手との距離が正確に分かっていることが条件である。

・グラジオラス「色素で創り出した生物だよ。」

・アーリス「へー!そんな事もできるんだ!」

・トリカ「私の紫毒の弓ヴェノム アルコやアーリスさんの水仙の篭手ホワイト ガントレットと同じですよ。ただ生物では無いというだけです。」

・グラジオラス「感知系の能力は生物の姿を模した方がイメージしやすくて効果を発揮しやすいからね。」

・アーリス「おれの友達のライクーンも同じなのかな?感覚でやってたからわかんなかったや!」

ポンッ フワ〜

・ライクーン「キュン!」

アーリスは狸のライクーンを出してよしよしした。

ゲコッ!!

再び石蛙が現れた。次はこちらに気づいている。

・アーリス「次はおれの番だね!!」

アーリスは直ぐに飛び出した。

ゲコ ゲコ ゲコ。

石蛙は石化した。

・アーリス「白ノ衝撃ホワイト インパクト

アーリスは石化した石蛙を殴りつけた。

ドゴーン! ガラガラ。

石蛙は粉々に砕け散った。

・グラジオラス「へー!やるね!!」

・アーリス、グラジオラス「イエーイ!!」

アーリスとグラジオラスはハイタッチをした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る