第2話

6話 毒

・フード男「てめぇ何もんだぁ?俺らはその後ろの兄ちゃんに用があんだよ!!」

・アーリス「うるさい!この人達嫌がってるじゃないか!」

・フード男「おいおい、今お前が庇ってるのは大悪党だぜ!ほらソイツが持ってるものそれは毒だ!!それでもまだそいつを助けるのかぁ?」

・アーリス「君たち悪い人なの?」

アーリスは紫族の男達に問いかけた。

・紫族の男「確かにこの毒は私が精製しました。ですが決して悪いことに使おうなどと思っておりません!!」

紫族の男は力強く言った。

・アーリス「うん。分かったよ!おれはなんとなくだけどその人の纏っているオーラの香りで嘘かどうか分かるんだよね!君たちは大丈夫だ。何よりその目を見たら一目瞭然だね!」

・フード男「なぁ。早く持って行かないとボスに殺されちまう。」

・フード男「ちっ。そうだな。急がないとだな。」

何やらフード男達は身内で怯えだした。

・フード男「俺らには時間がねぇからお前片付けさせてもらうわ。行くぞ!!!」

フード男達は三人でアーリスに飛びかかった。

アーリスは最初に飛びかかって来た敵の攻撃を篭手で防ぎそのまま腕を掴み投げ飛ばした。

・アーリス「よいしょ!!!」

敵は仲間同士でぶつかり飛んでいった。

・フード男「くそっ。痛え。」

・フード男「おい!お前ら仕方ない。あれ使うぞ!」

フード男達はそう言うと懐から液体の薬を出してのみだした。

ゴクッゴクッ。

・フード男「この薬は色素量を強制的に増やす事ができる!」

・フード男「色技 見せ筋マッスル ドーピング

フード男達の体は肥大化した。

・アーリス「もぅ、どいつもこいつも大きくなれば良いと思ってるよね。ヤレヤレ」

・フード男「オラッ!!」

フード男達はまたも三人で飛びかかって来た。

アーリスは一人目のお腹に下から拳を突き上げた。一人目の体はへの字に折り曲がった。

すかさず二人目が飛び込んできた。アーリスはひらりと交わして顎をかすめるようになぐった。二人目は脳震盪を起こして膝から崩れ落ちた。

最後の三人目の攻撃は後ろにいなした。

アーリス「せーの!!!」

ズンッ!!

アーリスは振り返り三人目を思いっきり殴り飛ばした。

敵は一直線上になっていたためまとめて飛ばされた。

敵は全員倒れて失神した。

ガンッ!

アーリスは勢いよく両手の拳と拳を合わせた。

アーリス「よし!!!」


7話 花言葉

・紫族の男「助けて頂きありがとうございます!私はトリカ ルピナスと申します。そしてこちらが…」

・朱族の女「センノ ヴァミリオでございます。」

トリカとセンノはアーリスに気品よくお辞儀をした。

・アーリス「おれはアーリス!困っている人は見過ごせなくてね。それにしてもどうして追われていたの?」

アーリスはトリカに質問をした。

・トリカ「私共はこの国の王族ローズ家に仕える者でして、私ルピナス家は代々ローズ家の主治医として医療の分野で仕えております。」

・トリカ「そして今回はその時に使う医薬品を狙われました。」

・アーリス「お薬ってこと?」

・トリカ「はい。簡単に言えばそうです。私は色技で毒を精製することが出来ます。ですが毒として使うのではなく他の物質に変換して麻酔薬などとして扱います。」

・アーリス「へー!そんなことできるんだ!」

・トリカ「はい。ですがこれができるのはルピナス家で花言葉【想像力】を持って産まれた私だけになります。」

・アーリス「花言葉?」

・トリカ「ブルームが産まれる際に稀に一つの言葉を授かり産まれる者がいます。その言葉には能力が付与されるというもので特別な体質であったり特別な力を使う事が出来ます。それが【花言葉】です。」

・アーリス「いいなー。おれにもないかなー。」

・トリカ「気付いていないだけで後からわかるケースもあるそうです。何かのきっかけで後天的に授かることができるという噂もあります。もしかしたらアーリスさんにも有るかもしれませんね。」

・アーリス「あるかな!あるかな!そしたら正義ジャスティスとかだといいなー!かっこよくない!!」

・トリカ「はい。それならアーリスさんにピッタリの花言葉です。」

・アーリス「それはそうとアイツらはいったい何者なの?」

アーリスは気絶しているフード男達を指差して話を戻した

・トリカ「あの者たちは【新緑の会】と呼ばれる組織に属し王族や貴族に不平不満を持っている者達が集まっていると言われています。」

・トリカ「主に緑族中心で構成されており、ボスも緑族という情報が有ります。何よりの懸念なのが乱咲とも繋がってるだとか。」

・アーリス「らっ乱咲!!」

・トリカ「はい。今回の襲撃も乱咲からの命令で動いてるのではと推測しております。」

ゴソッゴソッ

フード男達は目を覚ました。

・フード男「痛ってー。おい!お前ら起きろ!ボスの所に戻るぞ!テメーら俺達に逆らってただで済むとおもうなよ!!」

フード男達は捨てゼリフを吐いて急いで去って行った。

・アーリス「アイツら逃がして良かったの?」

・トリカ「大丈夫です。あの者達を泳がせてアジトを特定します。センノ!」

・センノ「はい。トリカ様。追跡の綿毛トラッキング シード

・トリカ「あの者達が気絶している間にセンノが追跡の種を付けておりました。これでその内アジトがわかるでしょう。」

・アーリス「凄いや!センノ!」

・センノ「ありがとうございます。アーリス様。」

センノは少し照れながらそう言った。

・アーリス「ねぇ!アイツらやっつけるんでしょ!!おれにも手伝わせてよ!!」

・トリカ「でっ、ですが、」

・アーリス「実はおれも乱咲を追っていたんだ!」

・トリカ「そうなのですね。アーリスさんがいてくれたらとても心強いです。ぜひよろしくお願いします。」

アーリスはトリカ達を手伝う事にした。

・アーリス「じゃあまずはおれの仲間を紹介するね!あっ…時計塔ってどうやって行くの?」

・トリカ「時計塔はここのすぐ近くですよ。案内しますね。」

5分後時計塔の下。

・アルテミシア「おそいなの!!!二時間も待ったの!待ちくたびれたなの!もう!なの!」

アルテミシアは怒りながらアーリスにそう言った。

・アーリス「へへへ…ごめん。ごめん。」

・アルテミシア「今度甘いものご馳走するのなの!」

・アーリス「わ、分かりました。」

・アルテミシア「ちゃんと反省するのなの!……で、そちら様は?なの。」

アルテミシアはトリカ達を見た。

・アーリス「この人達はトリカとセンノ!!さっき出会ったんだ!!」

アーリスはアルテミシアに二人を紹介した。

・アーリス「でっ!この怒ってるのがアルテミシア!!」

アーリスは続けてトリカ達にアルテミシアを紹介した。

・アルテミシア「もう!!なの!!」

・アーリス「へへっ!」

・トリカ「初めまして。トリカ ルピナスと申します。」

・センノ「センノ ヴァミリオでございます。お初にお目にかかります。アルテミシア様。」

二人は気品溢れる挨拶をした。

・アルテミシア「よろしくなの。ルピナスってあの貴族のルピナス家なの?なんでアーリスと?なの。」

・トリカ「そうでございます。アーリスさんには困っているところを助けて頂きました。」

トリカはアーリスと出会った経緯とこれからについて説明した。

・アルテミシア「なるほどなの。それはボク達にも関係ありそうなの。でも今日はもう遅いから作戦会議は明日にするの。」

・トリカ「分かりました。では明日私共の別荘で作戦を立てましょう。アルテさんこちら住所になります。」

トリカはアルテミシアに別荘の住所が書いてある紙を渡した。

・アルテミシア「じゃあまた明日なの。」

・トリカ「それでは失礼します。」

トリカ達は時計塔を後にしてアーリスは手を振った。

・アーリス「ばいばーい!」

アルテミシアはアーリスの袖を引っ張った。

・アルテミシア「甘いのたべるなの。」

アルテミシアはまだ拗ねている様子だった。


8話 作戦会議

・アーリス「わぁ おっきいー!!」

アーリスとアルテミシアはトリカの別荘の前いた。

ビー。

アーリスは別荘のチャイムを鳴らした。

・使用人「はい。ルピナス家別館1番窓口です。」

ルピナス家の使用人が返事をした。

・アーリス「あっあのトっトリっトリカ君にっ…」

・アルテミシア「もう!何ビビってるのなの!」

アルテミシアは横から割り込んで

・アルテミシア「トリカに用があるなの。アルテミシアなの。」

アルテミシアは臆することなく伝えた。

・使用人「お待ちしておりました。アルテミシア様、アーリス様。どうぞお入りください。」

使用人がそう言うと頑丈そうな大きな鉄の門が開いた。

門に入り歩いて別荘の玄関で再びチャイムを押した。

ガチャ。

玄関が開きトリカとセンノが出迎えた。

・トリカ「ようこそいらっしゃいました。」

アーリスとアルテミシアは別荘に入った。

・アーリス「わぁ!広いね!豪華だねー!」

・トリカ「ですがこれでもルピナス家の所有する屋敷の中では一番小さいものなんです。」

・アーリス「えっ!これが小さいの?今度他の所にも遊びに行っていい??」

・トリカ「もちろんです。アーリスさんなら大歓迎です。今度実家にご招待しますね。」

・アルテミシア「遊ぶのもいいけど、早く作戦会議するなの。」

アーリス達は挨拶をそこそこに作戦会議を始めた。

・トリカ「ではいきなりになりますが、新緑の会のアジトを突き止めました。」

・アーリス「本当!?」

・トリカ「はい。昨日センノが場所を特定しました。」

・アーリス「やっぱりセンノ凄いや!」

・センノ「ありがとうございます。」

・トリカ「センノは索敵能力に長けておりまして、サポート役としてかなり役にたてると思います。」

・トリカ「敵の人数ですが出入りも考え20人~30人ほどです。敵の数が多いと思われますが注意する人物は3人です。まずは新緑の会、会長ウィード。そして側近のヒシバとギナです。」

・トリカ「実は恥ずかしい事にウィードにルピナス家の薬剤の研究施設を襲撃されいくつか薬を盗まれております。昨日のフード男が使っていたものよりも更に強力な物です。恐らく乱咲に渡すつもりでしょう。」

・アーリス「それは阻止しないと!」

・トリカ「はい。ですが幸いな事にこの一番の激毒であるアルカロイドだけは守り抜く事が出来ました。アーリスさんのお陰です。」

・アルテミシア「アルカロイドなの。とっても強い猛毒なの。ボクも薬師なので分かるの。どうしてそんなものを作ったの?」

・トリカ「私は毒を精製でき更にそれを薬や栄養剤に創り変えることが出来ます。ですが幾つか条件があって、薬の効果や効き目は毒の強さに比例します。例えになりますが微毒であれば痒み止めの薬や胃腸薬を創ることが出来ます。猛毒や激毒と言われるものは抗生剤や強力な麻酔薬なんかも創ることが出来ます。そして条件の一つ目が薬を精製するには必ず先に毒にする必要がある。二つ目、自ら精製した毒しか創り変えることが出来ない。です。長くなりましたがアルカロイドを持っている理由はこの毒は強すぎるためまだ私も制御出来ず研究中だからです。」

・アルテミシア「なるほどなの。根の代償ってことなの。条件の一つ目のせいなの。」

・トリカ「その通りです。なのでこの毒は私自身が肌身離さず持っているということです。」

・アーリス「それでそれで、オレは何をしたらいいの?」

・トリカ「今回の目的は薬の奪回、新緑の会の解体、乱咲についての情報収集の三つです。」

・トリカ「作戦ですが週に一度ウィードと側近の二人が会合を行っていると言うこと。そこを少数精鋭で潜入して襲撃したいと思います。ウィードをアーリスさんとアルテさんにお願いしたいと思っております。側近二人は私達二人が相手します。そして三人を撃破した後に私の部下と使用人でアジトを囲い敵を逃さないようにします。」

・アーリス「よし!トリカ!センノ!任せて!!」

・アルテミシア「ボクはあまり戦い向きじゃないからサポートに回るの。」

・アーリス「信頼してるよアルテ!!それでいつ乗り込むの?」

・トリカ「敵の週に一回の会合が本日行われます。なので今夜作戦を決行したいと思います。」

・アーリス「よしキタ!!!!」



9話 作戦開始

ダウンタウン裏通り

・センノ「木葉の纏ギリースーツ

・トリカ「ここから先は入り組んでおり迷路みたいになっております。それを逆手にとりこのギリースーツを羽織って隠れながら新緑の会のアジトを目指します。」

・アーリス「よし…行こう…」

アーリスはヒソヒソと静かな声で返事をした。

途中途中いる敵の下っ端達の見張りを掻い潜りながらアーリス達はアジトの外壁部分までやって来た。

・トリカ「この壁の向こうにウィード達は居ると思われます。まずはあの扉から潜入しましょう。」

・アーリス「ううん。」

アーリスは首を横に振って言った。

・アーリス「もう隠れる必要はないよね!おれがこの壁をぶっ壊す!!そこから突入しよう!!」

・トリカ「分かりました。ではそうしましょう。」

・アーリス「水仙の篭手ホワイト ガントレット

・アーリス「みんな!後はぶっつけ本番でおねがいね!」

そう言うとアーリスは思いっ切り壁を殴りつけた。

ドゴーン!!!

轟音と共に壁に大きな穴が空いた。

・ウィード「なっ!なんだ!!!」

・ヒシバ「会長!あいつ見てください!」

・ギナ「あの紫の色紋……」

・ウィード「なるほどな!お前がルピナス家の奴か!ちょうどお前の話しをしていたんだ。お前が持っている毒アルカロイドを取り損ねてしまったってな。わざわざそっちから来てくれるなんて好都合だ!!!」

ウィードは巨体の大男だった。

・アーリス「お前なんかに渡さない!」

・ウィード「あっ?誰だお前。まぁいい。どうせまとめて殺すからな!」

・ウィード「お前らは薬を持って行け!おいらがこいつらを皆殺しにする。ちょうどあれも使って見たかったしなあぁ。」

ウィードはヒシバとギナに命令をした。

・ヒシバ「了解したっす!会長!」

ヒシバとギナは勢い良く部屋の扉から出て行った。

・ウィード「初めまして。そしてさよならだ!!」

・ウィード「流動樹液フロー スライム

ウィードの体中からねっとりとした緑色の液体が出てきてそれらが広範囲に覆うように飛んできた。

アーリスはトリカ、センノ、アルテミシアの前に出て床を殴りつけた。

ズゴンッ!! メリメリ!!

床はアーリス達の前に反り返って壁になった。

ウィードの放ったスライムは壁にへばりついた。

・アーリス「トリカ!センノ!行って!!」

・トリカ「ありがとうございます!!アーリスさん!!」

トリカとセンノはヒシバとギナを追って扉から出て行った

それと同時にアーリスはウィードに飛びかかった。

・アーリス「白ノ衝撃ホワイト インパクト

ズンッ!!!

アーリスの攻撃がウィードに命中。

ヴィチャッ!

ウィードのスライムが飛び散った。


 

10話 緑族

ウィードにアーリスの攻撃は効いてなかった。

ウィードのお腹にめり込んでいるアーリスの拳。だがスライムが威力を吸収してダメージは無かった。

・アーリス「くそっ!」

アーリスはウィードの腹から拳を抜いて後ろへと飛び下がった。

・ウィード「がははは!残念だったな!おいらに物理攻撃は効かない!!」

・アーリス「なら効くまでやるだけだ!!白ノ衝撃 連撃ホワイトインパクト レンゲキ

アーリスは白ノ衝撃ホワイト インパクトを5回連続で放った。

ブヨブヨ。ドロドロ。

しかしやはりアーリスの攻撃は効いてなかった。

・アーリス「くそ〜全然効かないなー!」

ウィードは少し黙り込んだ後話し出した。

・ウィード「…………。お前、ほんとは強いんだろうなー。おいらは強いやつが嫌いなんだ!貴族も!王族も!」

そう言うとウィードはアーリスに飛びかかった。

・ウィード「次はおいらの番だ!硬化スライムブロック スライム

ウィードの両腕のスライムが硬くなりアーリスを殴りつけた。

アーリスは咄嗟に両腕でガードした。

ガンッ!

アーリスは威力に耐えきれず、後ろのアーリスが開けた壁の穴から外に飛ばされた。

・アルテミシア「アーリス!!!!」

ウィードはのそのそとアーリスを追いかけた。

アーリスは起き上がりながら聞いた。

・アーリス「なっ…なんで貴族や…王族を…嫌うの?トリカもセンノもみんないい人なのに……。」

・ウィード「いい人か。そうかもな。そうかもしれない。でも…アイツらは選ばれた奴らなんだ。おいらは、おいらは普通なんだ!何をやっても何を頑張ってもアイツら選ばれた存在には敵わないんだ。だから!嫌がらせしてやるんだ!!そんでもって悪党で名を馳せる!まずは手柄を立てて乱咲の仲間にしてもらう!!」

・アーリス「(乱咲…やっぱりか。)」

アーリスは心の中で呟いた。

・アーリス「でも、それって。ただの逆恨みじゃないか。そんな奴に……そんな奴におれは絶対にまけない!!!」

アーリスは勢い良く立ち上がった。

ヒラッ

その時アーリスが羽織っていたギリースーツがボロボロになり地面に落ちた。

・ウィード「!!!」

アーリスの黒の色紋があらわになる。

・ウィード「お前インビジブルか、なんだっ、なんだよー。先に言ってくれよ!初めて見たよ。おいらより下の存在を。お前ならおいらの気持ち分かるだろ?なっ?なっ?」

・アーリス「分かるわけないだろ!!嘘吐きの大鎌ライアーズ サイズ!!!」

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