戒めの花
刻咲 造花
第1話
1話 記憶
この星は花と色が織りなす世界
その世界の住民【ブルーム】
これは記憶を無くした少年アーリスが自らを探す旅の物語である。
―太陽に近づき過ぎし者は翼をもがれ大地へと落ちてゆく―と。
太陽神書 第一章一節より抜粋
城下町リーフタウンの端の路地裏…
・町人A「きゃー!」
響き渡る女の悲鳴
女町人が2人の小悪党に必要に迫られていた。
・小悪党A「うるせぇ早くその陽光石を渡せ」
・町人A「お願いです!それを返してください!それは息子の治療のために使うのです。」
【陽光石】太陽の加護が与えられた石で色々な物の動力エネルギー源として使用できる。治療に使われることもある。
・小悪党A「いいのか?俺ら「
・町人B「らっ
周りの町人達はその名前に恐怖した。
・小悪党A「そうだよ!俺らがあの悪名高き犯罪組織乱咲だー 。はっはっはっ!!死にたくなかったら早くその陽光石を渡しな!」
【
ザッ
事件の中とある少年が割り込んで来た。
少年の名前はアーリス。
・アーリス「おい!!お前ら何をしてるんだ!!」
・小悪党B「あ?だれだてめー!!」
小悪党Bは振り向きながらそう言った。
・アーリス「誰って言われても…オレもオレ自身誰だかわかんないんだよね。記憶なくて、ははは。」
・小悪党B「なんだよ記憶喪失ってか?そんな奴が俺たちになんの用があんだよ!」
・アーリス「悪いことはよしなよ。」
・小悪党B「はぁ?てめぇーに関係ないだろ!!」
・アーリス「それにさっき乱咲って言ってたよね?」
・小悪党B「だったら何なんだよ!!」
・アーリス「うーん。乱咲のこと探してたんだよね。」
・小悪党B「俺らを探してたぁ?そんなの知るかよ!!!んっ??ってかお前その
【
【
・アーリス「うん。そう呼ばれてるみたい。でもこの黒い色紋かっこよくない?!」
・小悪党B「はぁ?気持ちわりーよ!て言うかさっきから邪魔すんじゃねーよ。うるせーからとりあえず死んどけよ!!!」
小悪党Bは片手斧でアーリスを切りつけようとした。
アーリスはその斧をひらりとかわし小悪党Bのみぞおちに左手で一発、顔面に右手で一発、殴りつけた。
小悪党Bは吹き飛び壁に激突した。
壁にはひびが入り小悪党Bはぐったりと気絶した。
・小悪党A「てめぇやりやがったな!殺してやる」
・小悪党A「
小悪党Aの右手は二回り程巨大化した。
【
・小悪党A「はっはっは!!これを見て生きていた者はいない!死ねー!!」
小悪党Aは勢い良くアーリスに殴りかかった。
アーリスはまたもひらりと攻撃をかわす。
避けられた小悪党Aの攻撃により地面が大きく割れる。
・アーリス「色技
小悪党Aがアーリスを見るとアーリスは手に煙のように透けた大鎌を持っていた。大鎌には荊棘の装飾が施されてあった。
・アーリス「色技
アーリスは小悪党Aを大鎌で斬りつけた。
小悪党Aは大鎌に驚き一瞬目を瞑る。
スカッ
だが大鎌は小悪党Aに当たらずにすり抜けていった。
小悪党Aはキョロキョロしながら、
・小悪党A「へへっ!何もねぇじゃねぇか。はっ、ハッタリかよ!!びびらせやがって!!」
そう言ってる途中に小悪党Aの頭から煙が上がってふわふわとアーリスの元に向かった。煙は狸の形へと変わりアーリスの耳元で何かを囁いた。
・アーリス「なーんだ お前達、乱咲じゃないのか。」
・小悪党A「なっなぜそれを?」
小悪党Aは嘘を見破られて戸惑った。
・アーリス「ふふふ。おれの友達が教えてくれたんだ!ありがとねライクーン。」
狸のライクーンは「きゅん」っと返事をして消えていった。
・アーリス「オレのこの大鎌で斬ると一部だけど記憶を見ることができるんだ!」
・小悪党A「……そうだよ!俺らは乱咲じゃねぇ!ちっ!乱咲の名前を使ってこんな田舎の町だったらがっぽり稼げると思ったのに。」
・小悪党A「だがそれを知ったからってどうなる?このハッタリ野郎!!もうその技は怖くねぇ!!さっさと死んどけ!!」
小悪党はまたアーリスに殴りかかる。
・アーリス「だからそんなスピードじゃオレには当てられないよ。」
アーリスは攻撃をかわす。
・アーリス「あとこんな事もできるんだ!!色技
ザッ!
アーリスは再び煙の大鎌で切りつける。
スカッ。
すると小悪党Aは
ドンッ!
気絶して地面に倒れた。
・アーリス「お前たちの記憶を一部消して上書きさせてもらったよ!あっ、ついでにそっちのやつもやっといたからね!!」
・アーリス「この町に来た時からの記憶を消して町に来た理由は畑仕事を学びに来たということにしておいたから! これでもう悪さしないですむね!!」
・小悪党Aは記憶を改竄されたことによる脳へのダメージで気絶したのだった。
・アーリス「(でもこの技使うと根の代償が結構きついんだよね。)」
アーリスは心の中で呟いた。
【根の代償】色技で特別な能力を引き出す時や力の底上げをする時に、色技の威力や効果と同価値以上の何かを捧げること。今回アーリスが捧げたものは自分の記憶だった。
・アーリス「仕方ないこの前食べた期間限定ドリアン肉まんの記憶を消すか。あれめっちゃ不味かったんだよなー。おれは期間限定に弱いからまた食べちゃいそう。はぁ、しかもあの肉まん値段高いし…(うぅ。オレの1200フラン)」
※フランはこの世界の通貨であり1200フランは約1200円
・町人A「あっあの!本当にありがとうございます!!」
町人Aはアーリスに駆け寄った。
・町人A「私フォルビアと申します。お礼を!お礼をさせてください!」
・アーリス「いいよ!いいよ!オレも目的があってのことだからね!」
アーリスは遠慮をした。
・フォルビア「目的?」
・アーリス「そう実はおれ記憶がなくて今はその記憶探しの旅をしてるってわけ!!」
・フォルビア「記憶ですか。大変なんですね。」
・アーリス「うん!でも気長に旅するから平気平気!!そんな事より早くその陽光石息子さんに持っていってあげて!!じゃ!おれはもう行くね!!」
アーリスはお礼も何も受け取らずにそそくさと走って行ってしまった。
フォルビアはアーリスの後ろ姿に深々とお辞儀をした。
・アーリス「さーて次!次!」
アーリスは情報収集のために歩き出そうとした。
すると突然、
ドスッ
アーリスは体に痛みが走る。
アーリスは訳も分からずお腹を見た。すると腰から貫通するように刃物が出ていた。腹からは大量の血が流れ出ていた。
・アーリス「なん…だ…?」
アーリスの後ろには謎の男が立っていた。
・謎の男「お前俺らを探してるんだってな。」
謎の男は後ろから話しかけてきた。
・アーリス「だっ…だ……れだ?」
アーリスは血を吐きながら聞き返す。
・謎の男「乱咲のレイン ハイドラっていうもんだ。まぁお前もう死ぬから何を言っても意味はないがな。」
・レイン「俺は舐めてるやつが大っ嫌いなんだよ。お前もあそこで死んでる奴らもな。」
・アーリス「あっ…あいつらも殺し…た…のか?」
・レイン「ああ、殺した。お前も時期に死ぬ。闘いは見てたがちょっとは骨のありそうな奴だったな。名前くらいは聞いといてやる。」
ズシャ…
レインはアーリスの体から刃物を引き抜いた。
ドサッ。
アーリスは前のめりに倒れた。
・アーリス「アー…リ…ス…だ。」
アーリスは声を振り絞った。
・レイン「アーリスか。じゃあなアーリス」
アーリスは意識が朦朧となりながらレインを見た。
レインは見下ろすようにこっちを見ている。
薄れゆく意識のなかで青い色紋と
ポツポツと急に雨が降り出してきた。
数分後。
気を失ったアーリスを見下ろす小柄な女の子が立っていた。
ドゴーン ゴロゴロ…
土砂降りの中、雷が光った。
2話 癒し
チュンチュン。
小鳥のさえずりが聞こえ木漏れ日が差す。
ここはせせらぎの森。
灰色の髪の小柄な女の子が地図を見ながら頭を傾げていた。
女の子の名前はアルテミシア マグワート。
・アルテミシア「う〜ん、どっちの町に行ったらいいなの?フラワリアかリーフタウンか… そうだ占いで決めるの」
アルテミシアは近くの木のそばに生えてる花を摘んで色素を込めて上へ投げ放った。
・アルテミシア「それ〜なのー!」
花はくるくると回りながら片方の町の方角を指すように落ちた。
・アルテミシア「うん。リーフタウンに決まりなの。」
アルテミシアはリーフタウンを目指して歩き出した。
2時間後。
・アルテミシア「結構遠かったの。それに雨が降って来そうなの。」
アルテミシアはさっきとは打って変わった空を見上げてちょっとムッとした表情をした。
・アルテミシア「早く行くの。」
アルテミシアが町に入ると直ぐに雨が降ってきた。
・アルテミシア「やっぱりなの。急いで濡れない所を探すの。」
ふと、周りを見渡すと雨なのに人集りが出来ていた。
かなりざわついた様子だ。
・町人達「誰か医者だー!医者を呼んでくれー!!」
・町人達「おい!しっかりしろ!」
・フォルビア「お願い!お願い!死なないで!まだちゃんとお礼を言えてないのに!」
人集りの中心には少年が血を流しながら倒れていた。
それはアーリスだった。
アルテミシアは急いでアーリスの元へと駆け寄った。
・アルテミシア「どくの!そこをどくの!ボクは薬師なの!回復術も分かるなの!」
アルテミシアはアーリスの様子を見ながら、
・アルテミシア「応急処置はできるけど血が流れ過ぎてるの。足りないなの。」
すると横から勢いよく女性の姿が現れる。
・フォルビア「私の!私ので良ければ使って!!!私はさっきその方に助けられたんです!」
フォルビアはアルテミシアにお願いをした。
・町人達「おっ…おい…でもそいつインビジブルじゃないか?」
・町人達「本当だ。その黒の色紋は…」
町人達はどよめく。
フォルビアはアルテミシアの手を握って、
・フォルビア「関係ないわ!いいから私のを使って!」
強い眼差しで訴え掛けた。
・アルテミシア「分かったの。分かったなの。」
・アルテミシア「色技
アルテミシアの手元が淡くひかりハープが出現した。
タラララララ〜ン。
綺麗な音色が響き渡る。
アーリスの流れ出る血は止まった。
アルテミシアはハープを消して。ポーチの中からメスを取り出した。
・アルテミシア「ちょっと痛いの。でも我慢するなの。直ぐに傷は治してあげるなの。」
そういうとアルテミシアはフォルビアの手のひらをメスで切った。
・フォルビア「痛っ。大丈夫よ。続けて。」
フォルビアは痛がりながらそう言った。
・アルテミシア「次なの。魔術
フォルビアの手のひらの傷から血がふわふわと空中に水の塊みたいに浮かび上がった。
血はゆっくりとアーリスの傷口に入っていく。
するとアーリスの血色がだんだんと良くなっていった。
・アルテミシア「良く頑張ったの。えらいえらいなの。手の傷も直してあげるなの。」
・アルテミシア「色技
アーリスとフォルビアは淡い光に包まれ傷が塞がった。
アーリスは何とか一命を取り留めた。
・アルテミシア「これで安心なの。あなたもこの貧血の薬を飲むの。」
フォルビアは受け取った薬を飲んだ。
・フォルビア「本当にありがとうございます。」
フォルビアはアルテミシアにお礼を言いアーリスの手を握った。
雨は止み雲間から日の光が差し込んだ。
・アルテミシア「とりあえずゆっくりできるところにこの子を運ぶなの。」
・フォルビア「はい。」
3話
・アーリス「うん?」
目を覚ましたアーリス。見知らぬ天井が見える。
アーリスはベッドの上で寝ていた。
・アーリス「ここはどこ? 痛っ!!」
アーリスはお腹に痛み感じ上半身を起こした。
・アルテミシア「おはようなの。まだ動かない方がいいの。治癒の色技をかけたけど完治はまだもう少しなの。」
アーリスはアルテミシアの方を見ながら、
・アーリス「君は?」
そう尋ねる。
・アルテミシア「ボクはアルテミシアなの。この町に来たらあなたが血を流して倒れていたの。その傷はボクが治したの。君の名前は?なの。」
・アーリス「これを君が……」
・アーリス「ありがとう!!なんだか助けられたみたいだね。オレはアーリス!よろしくね!」
・アルテミシア「アーリス…変な名前なの。それにその色紋インビジブルなの。」
・アーリス「へへへ。そうみたい。実はおれ記憶がなくてオレ自身のこと分かってないんだよね。」
ガチャ。
部屋の扉が開く音がした。
・フォルビア「起きたのですね!!」
そう言うとフォルビアはアーリスの元に駆け寄った。
・フォルビア「良かった!ほんとうに良かった!」
フォルビアは泣きそうになりながら言った。
・アルテミシア「治療でフォルビアの血を使ったの。フォルビアに感謝するなの。フォルビアが居なかったら今頃、死んでるところだったなの。」
・アーリス「ありがとう。フォルビア。」
アーリスはフォルビアにお礼を言った。
・フォルビア「いえ。こちらこそです。」
ヒョコッ。
そんな話しをているとフォルビアの後ろから小さな男の子が顔をだした。
男の子「お兄ちゃんありがとぉう!!」
フォルビア「息子のエウビアです。あなたのおかげでこの子の病気は良くなりました。」
・アーリス「エウビアって言うのか。病気治って良かったな!!次はエウビアがお母さんを守れるくらい強くなるんだぞ!!」
・エウビア「うん!!絶対強くなる!!」
エウビアは元気な声で変事をした。
アーリス達はこの後、小一時間ほどの談笑をした。
・フォルビア「それでは私たちは失礼します。」
・エウビア「ばいば〜い!」
フォルビア達は深々とお辞儀をして扉から出ていった。
・アーリス「そう言えばアルテミシアはどうしてこの町に来たの?」
アーリスはアルテミシアに尋ねた。
・アルテミシア「実は…ある男を追ってるなの……」
・アーリス「ある男?」
・アルテミシア「そうなの。レインって言う男なの。」
・アーリス「レイン!?それってレイン ハイドラとか言う??」
・アルテミシア「!!!!!」
・アルテミシア「そうなの!!レインを知ってるなの?!!」
・アーリス「知ってるも何もこれ、そいつにやられたんだよね。」
アーリスは自分のお腹の傷を指で指しながらそう言った。
・アルテミシア「やっぱりなの。やっぱりこの町にいたなの。」
・アーリス「アルテミシアはなんでレインを追ってるの?」
・アルテミシア「……ボクの故郷は乱咲に襲われたなの。理由は、ボクの一族、灰族の創る灰の薬は万病に効くなんて言われていて、それを狙われてなの……そして乱咲にレインって言う名前の男がいることだけは分かったなの。だから……。」
・アルテミシア「ぼっ、ボクの話はいいのなの。それよりアーリスは何故この町に?なの。」
アルテミシアは自分の話を途中にアーリスに質問をした。
・アーリス「オレ、5年前以前の記憶が丸々なくて。気づいた時にはある森に居たんだ。その森で恩人に出会い育てて貰ったんだ。で、初めてその森を出て記憶を思い出す為の情報収集をしにこの町に来たってわけ!」
・アルテミシア「初めてなの!?アーリスは何の情報を集めてるの??」
・アーリス「陽炎石と言う石を探していて。乱咲って言う組織が集めている情報だけ知って……」
・アルテミシア「なるほどなの……陽炎石はとってもとっても貴重な石なの。それに乱咲はすごくすごく危険な組織なの。」
・アルテミシア「なんで所属しているか分からないけどレインも乱咲なの。それに青族なの。」
・アーリス「青族??それにさっきの灰族ってのもなんなの?」
・アルテミシア「!! そんなのも知らないの?なの!」
・アーリス「へへへへ。」
・アルテミシア「そっか、森から出てきたばかりなの。ならボクがこの世界
・アルテミシア「この
・アルテミシア「そしてガーデンには
・アーリス「アルテミシア。アルテミシアは??」
・アルテミシア「ボクの一族はこれには属さないの。その他ってところなの。」
・アルテミシア「分かりやすく説明するとこんな感じなの。」
最高位 王族 赤 青 黄 (レイン)
貴族 紫 橙
平民 緑 (フォルビア、エウビア)
異民 無色 (アーリス)
※ 他にもたくさんの色の一族が存在する
ガーデンで最も多いのが平民で6割を占めている
中立 白 (妖精)
その他 灰 (アルテミシア)
・アルテミシア「これでこの世界については分かったことなの。」
そう言うとアルテミシアは身支度を始めた。
・アルテミシア「ボクはもう行くのなの。」
・アーリス「待って!待ってよアルテミシア」
アーリスはアルテミシアを引き止めた
・アーリス「ねえ!オレと一緒に旅をしない?!!!」
4話 目的地
・アーリス「ねえ!おれと一緒に旅をしない?!!!」
アーリスはアルテミシアに問いかけた。
・アルテミシア「ボクと??どうしてなの??」
・アーリス「ほら。オレこの世界のことあまり知らないし、仲間も友達もいないし……それに何よりアルテミシアに恩返しがしたい!!!」
アルテミシアは数秒間黙り込んだ。
そしてこう切り出した。
・アルテミシア「ボクは独りで大丈夫なの。でもアーリスがどうしてもって言うなら、ついてきても良いかもなの。」
・アーリス「え!!ほんとー!やったー」
アーリスはベッドの上を飛び跳ねた。
・アルテミシア「あっ!まだそんなに動いちゃダメなの!!」
・アーリス「平気平気!もう治ったみたい!!全然痛くないよ!アルテミシアのおかげだ!」
・アルテミシア「びっくりなの。もう治ってるなの。」
・アーリス「じゃあこれからよろしくね!!!」
アーリスはアルテミシアに握手を求めた。
アルテミシアは照れくさそうにアーリスの手を握って、
・アルテミシア「よろしくなの。ボクのことはアルテって呼んでいいの。仲良い人はそう呼んでるなの。」
・アーリス「うん!わかった!アルテ!!」
ここからアーリスとアルテミシアの旅が始まった。
・アルテミシア「今日はもう遅いの。明日旅の行方を決めて出発するなの。」
・アーリス「そうだね。オレもお祈りしなきゃ。」
・アルテミシア「お祈り?……太陽神?」
・アーリス「違うよ!月の女神ルーナ様!なんかこれだけは日課なんだ。よくわかんないんだけどね。体が覚えてるって感じ。」
この世界にはふたつの神が存在する。一つは【太陽神ソレイユ】もう一つは対となる存在【月の女神ルーナ】である。国やブルームによってどちらかを信仰してる事が多い。どちらも同じ神だと言う者もいる。
・アルテミシア「そうなの。お外に行くなの??」
・アーリス「うん。月が見えやすところ探してくる。アルテは先に休んでて。おやすみ!また明日ね!」
・アルテミシア「分かったなの。おやすみなの。」
そう言ってアーリスは外にでて行った。
次の日の朝
・アーリス「アルテ!おっはよー!」
・アルテミシア「ふぁぁ。おはようなの。」
アルテミシアは眠そうに返事をした。
・アルテミシア「色々考えたの。アーリスは陽炎石探しでボクはレインを追ってるの。だから向かう先は藤の都を目指そうと思うの。」
・アーリス「藤の都??」
・アルテミシア「そうなの。昨日三大陸については説明したなの。まずは赤族が治める国
・アーリス「藤の都には何があるの?」
・アルテミシア「藤の都を収めている姫 【
・アルテミシア「それから陽炎石が初めて採掘された場所だと言う説もあるなの。」
・アーリス「うんうん!そっか!そっか!アルテが言うなら間違えなし!なんだか楽しくなってきたね!!それじゃーしゅっぱーつ!!」
・アルテミシア「もーなの!!いきなりなの!!」
アーリスとアルテミシアは歩き出した。
・アルテミシア「ふふふ。変なのなの。」
アルテミシアは少し嬉しそうに微笑んだ。
5話 ダウンタウン
リーフタウンの隣の街サンシャインストリート。
・アーリス「わぁ~…おっっきぃー!ねぇアルテ!これ何?これ?」
アーリスは興奮しながらアルテミシアに聞いた。
・アルテミシア「ただの陽光機関車なの。はしゃがないでなの。恥ずかしいなの。」
【陽光機関車】陽光石を動力エネルギーに変えることにより線路を走る機関車である。
・アルテミシア「さっさと乗るの。置いていっちゃうなの。」
・アーリス「これに乗るの!!歩いて行くのかと思ってた!!」
・アルテミシア「歩いてなんて行けないの。まずはダウンタウンに向かうの。そこまで3日はかかるの。」
途中幾つかの町を経由してアーリス達はダウンタウンに向かった。その際にアーリスは初めて見るものや食べる物この世界はたくさんの事で溢れている事を知った。
3日後。
ダウンタウンに近づき、遠くからでも分かるほどの大きな城壁が見えてきた。
・アーリス「アルテ!あれは?あの大きな建物!」
・アルテミシア「あれは
・アーリス「へ〜。初めて見るのに何だか懐かしい気がする。」
・アルテミシア「懐かしいなの?」
・アーリス「そんな気がしただけ。」
・アルテミシア「もしかしたら昔この街に来たことあるかもなの。」
ダウンタウン。駅を降りて、
辺りはもうすっかり夜になっていた。
・アルテミシア「今日はここに泊まるなの。宿を探すなの。」
・アーリス「アルテ!ちょっと散歩してきても良い?街を見てみたいし!丁度お祈りの時間だし!」
・アルテミシア「お祈り、機関車に乗ってる時もお外でやってたの。」
・アーリス「うん。日課だからね。やらないと落ち着かないんだ。」
・アルテミシア「わかったなの。終わったらこの街の中心にある時計塔に来てなの。」
・アーリス「わかったー!」
アーリスはわくわくが抑えられない様子で走っていった。
お祈りは終わりアーリスが時計塔を探していると、
ドンッ。
何者かがぶつかって走っていった。
・???「ハァハァ。はやくはやく。」
紫の色紋の男と朱色の色紋の女がフードを被った男3人に追われていた。
アーリスがそちらに目をやると、紫族の男と朱族の女が壁際まで追い詰められていた。
・紫族の男「これは絶対に渡せません!!」
・朱族の女「
たくさんの花びらが舞い辺り一面を覆った。
・フード男「おおっと。そいつはもう効かねぇぜ!」
2人は目くらましをして逃げようとしたが失敗した。
・フード男「もう逃がさねーよ!」
フード男は紫族の男にナイフを振りかざした。
キンッ!!!
高い金属音が響いた。
・アーリス「
アーリスは男達の間に入り込んで攻撃を止めた。
アーリスの両手には水仙模様の白い篭手が着いていた。これはアーリスが色技で作りだしたものだった。
・アーリス「何か分からないけど、俺が相手してやる!!!!」
アーリスは勢いよく両手の拳と拳を合わせた。
ガンッ!!!
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