第2話



 中島梓さんの「文学の輪郭」という評論は、大学の卒論だそうで、それが本になって、確か何かの賞を受賞したらしいです。


 で、積読ですが?「輪郭」の、極北には埴谷雄高の観念的な「死霊」とかが位置されて、極南が村上龍氏になって…そういう論旨だったか。


 だから俯瞰的に今ある日本の文学全体を見晴るかして、筋の通ったユニークな文学観を提示する、その営為、論述は、それまでの読書経験の総決算で、人生経験、思想、世界観とかも同時に、つたないものでも、ある程度じぶんというものの全存在が投影されてしまう、たぶんそういうスタンスだから、そういう風に大上段に振りかぶっても、明晰に自分や社会に対する理解分析をなしうるという中島さんには自恃の念があるということの、表明とも言えそうである。


「言語にとって美とは何か」という著書を書きうるという自信に似ているような?


 ボクは全く自信ゆえでなくて、むしろいつものように物書きは基本リハビリのためで、考えをまとめて、脳トレ代わりにいろいろな思考実験のシーケンスを作るのが本義です。


 で、まあたぶん博覧強記の文学通の、池澤夏樹さんの世界文学総ざらえの評論、を、この前図書館でゲーテの「親和力」とかと一緒に借りて、これも積読やが、兎に角、そういう「道を窮める」、天壌無窮の極限まで到達したい、それは誰でもあるだろうが、今のところの「けーかほーこく」をなしたいという、「私における文学のアウトライン」、これはそういうものであります。


 「混乱している人は混乱した文章を書く」と、モームは「作家の手帳」で書いているが、モーム自身はたぶん混乱していなくて、で、「世界の十大小説」というのを書いて、それもいまだに有名な感じで…が、これも積読。w


 <続く>

 

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