第二話 雪国で過ごす甘々な時間



○北海道ニセコ町、高級温泉旅館・暖炉のある吹き抜けラウンジ(夕)

    2月の平日。早乙女梨花と聞き手がラウンジにいる。

    聞き手の右側に梨花が座っているため、⑦スタート。

   (バックSE:暖炉の音)※開始


⑦「(脱力する感じ)ふぅ〜〜」


   (SE:梨花が背もたれに寄り掛かる音)

   (SE:梨花の抱いたクッションが少し潰れる音)


⑦「いやぁ〜めっちゃ雰囲気のいいホテルじゃ〜ん。

  ホテルっていうか、もはや旅館って感じ?

  すっごく〝和〟な感じがするよぉ〜」


   (SE:スタッフが近付いてくる音)

   (SE:温かい飲み物とお茶菓子が置かれる音)


⑦「あ、ありがとうございます!

  わーい。温かいお茶とお茶菓子だぁ〜。

  お腹空いてたし、外めっちゃ寒かったから助かるぅ〜」


   (SE:梨花が起き上がる音)


⑦「(一口飲む)……ふぅー。温まるぅ〜。

  お茶菓子は……餡子かな?

 (咀嚼)うむうむ……うーん、美味しいぃ〜。

  チェックインしながらラウンジでのんびりなんて……

  ええじゃないですのぉ〜。

  ……え、ヤバ。最高すぎやしませんかねぇ。

  いやぁー飛行機と車を乗り継いでまでやってきた甲斐がありましたなぁー」


    聞き手:夏だと足湯しながらドリンクも飲めるらしいよ?


⑦「ヤバ! 足湯しながら飲み物とか最強じゃん!

  なんで夏限定なのさぁ! 今だって……」


    梨花、雪が積もる外を眺める。

   (SE:梨花、飲み物をゆっくりと机に置く音)


⑦「うん。ダーメだこりゃー。

  外真っ白だし。生足出したら凍っちゃう。

  またの機会かなぁ〜」


   (SE:聞き手がマシュマロの乗ったお皿を前に置く音)

    聞き手:じゃあ、こっちは?


⑦「ん? これは……まさか‼

  マシュマロ焼きができるの⁈

  え、やるやるぅ〜。めっちゃマシュマロ焼くぅ〜♪」


   (SE:梨花が少し前に出る音・ソファが軋む音など)

   (SE:梨花が前で抱えていたクッションを脇に置く音)

   (SE:お皿のマシュマロを串に刺す際の音・食器が当たる音など)


⑦「では、さっそく」


   (バックSE:暖炉の音)※継続 音大きく。


⑦「おぉー。めっちゃ焼けてる焼けてる〜」


   (SE:梨花が聞き手の右肩を叩く音)


⑦「ねぇねぇ、これいつまで焼くの?」


    聞き手:もう少しじゃない?


⑦「もう少しね。もう少し……もう少し……」


   (SE:梨花が聞き手の右肩を強く叩く音)


⑦「ねぇねぇ、もういい⁉」


    聞き手:まだそんなに時間経ってないよ。


⑦「オッケー。まだね、まだ……まだ……」


   (SE:梨花が聞き手の右肩を割と強く叩く音)


⑦「ねぇ! いける⁇ いけるよね⁇」


   (SE:梨花が聞き手の右肩をガチで強く叩く音)


⑦「ねぇねぇねぇねぇ‼」


    聞き手:痛い痛い。もういい、もういいから!


⑦「よっしゃ。きました!」


   (バックSE:暖炉の音)※継続 元の大きさに。


⑦「うひゃ〜。美味しそ〜♪

  いただきまーす!

  あつあつ……うぅ〜〜めっちゃ美味しい!」


   (SE:梨花が聞き手に近付く音)


⑦「やばい。これホント美味しい!

  ほらほら、君も食べなよぉー

  はい、あーん♪」


    聞き手:……はい?


⑦「あはははは。やば、めっちゃうける。

  なんで固まってるんだよ、お前ぇ〜。

  変に間ができちゃったせいで、

  こっちまで恥ずかしくなってきたわ!

  あぁ〜〜もう。ハズいはハズい。

  めっちゃ顔熱くなってきた!」


   (SE:梨花が聞き手の真横まで近付く音)


⑦「ほら、ボッとしない!

  君はただ大人しく口を開ければいいんだよ。

  ほれほれ〜。恋人が食べさせてやろうって言ってんだぞぉ〜。

  ありがたく受け取るがいい〜」


    聞き手:……なんかむかつく。

   (SE:梨花が聞き手から少し離れる音)


⑦「――なぁ⁈

  か、かっちぃ〜〜ん。おこです。激おこですぅ!

  可愛い〜可愛い〜恋人の優しさをこいつぅ〜〜」


    聞き手:自分で可愛い恋人とか言うんかい。


⑦「あぁ〜〜〜またバカにしたぁ〜〜。

  千年に一度の美少女って言われてる、このあたしにぃ〜〜」


    聞き手:外見だけ。中身はただの子供でしょうが(笑)


⑦「なぁ、なぁ、なぁーー‼

  本音で話してほしいとは言ったけどさぁー。

  優しさは持たんかい!

  あたしをもっと甘やかせぇ‼

  お姫様に接するくらい優しくせんかーい‼」


    聞き手:……ぷ。お姫様っすか(笑)


⑦「……ふーん。

  鼻で笑うんだ〜。ふーん。ふ〜〜〜〜ん」


   (SE:お皿のマシュマロを串に刺す際の音・食器が当たる音など)


⑦「ふっ、ふっ、ふっ……ふはははは!」


   (バックSE:暖炉の音)※継続 音大きく。

    聞き手:り、梨花、さん?


⑦「うん♪ なーに、ダーリン♪

  あ、大丈夫だよ? 安心してねぇ。

  今、あっつあつの焼きマシュマロ作ってるからねぇ〜」


    聞き手:あ、結構です。


⑦「……ふふふ。逃げられるとでも♡」


   (バックSE:暖炉の音)※継続 元の大きさに。

   (SE:梨花が密着するレベルで聞き手に近付く音)

    聞き手を押し倒す感じになるため、⑦から①。


①「ほら、とっとと覚悟を決めて口を開けろぉ!

  逃げても無駄なんだわ。絶対に食わすからなぁ!

  てめぇーの口にあっつあつのマシュマロをぶち込んでやるぅ‼

  はい、あーん‼」


    聞き手:ストップストップ。全然可愛くないんだが!


①「うるせぇ! とっとと食え!

  はい、あーんあーんあーーーん‼」


   (SE:梨花がマシュマロを食べさせ、聞き手から離れる音)

    梨花が聞き手にマシュマロを食わせて離れるため、①から⑦。


⑦「……どうだった?

  美味しかったでしょ♡

  あたしの気持ちがたっーぷり入った焼きマシュマロ♡」


    聞き手:……怨念の間違いでは?

   (SE:もし可能なら梨花が聞き手の頭を鷲づかみする音)


⑦「怨念? 違うよ。純愛だよ♡」


    聞き手:失礼しました。お詫びにこれを。


⑦「話、逸らしたなぁ〜。まぁーいいけどさぁ。

  ……え、美味しそう〜〜。何これ〜。

  クラッカーの間に焼きマシュマロと……チョコ?」


    聞き手:スモアだよ。美味しいよ。きっと。


⑦「へぇ〜〜スモアかぁ〜。

  じゃあ、お詫びに食べさせてよぉ〜」


    聞き手:仰せのままに。お姫様。


⑦「むっ。なんか言い方がむかつく。やり直し!

  てか、お姫様とか言うな。

  君は素直にあーんすればいいの!」


    聞き手:女心、ムズすぎんか?


⑦「君がいちいちからかってくるからだよ。

  まったく。天邪鬼なんだから……

  まぁーいいや。じゃあ、いただきまーす」


    聞き手:どうぞ。


⑦「(咀嚼)……うむうむ。

  え、美味しいぃ〜。やばい、めっちゃ幸せなんだけど。

  ほっぺた落ちちゃうぅ〜〜。

  まだ食べてないよね?

  食べた方がいいよ。これ、マジで美味しい!


   (SE:梨花が聞き手にあーんする際の衣擦れ音)


⑦「はい、あーん」


   (SE:食べさせて、串を食器に置く音)


⑦「ね? バチくそに美味しくない?」


    聞き手:美味しいな。


⑦「でしょ〜〜。いやぁーこのホテル、優勝過ぎん?

  なのに、お客さんあたしたちしかいないし」


    聞き手:平日だし、お値段もある程度するしね。


⑦「えへへ。平日にお休みとって奮発した甲斐があったね。

  いやぁ〜マジで神。これは現時点で勝ち確だよ!」


   (SE:スタッフが遠くから近付いてくる足音)


⑦「あ、チェックイン終わったんじゃない?

  スタッフさん、こっちきてるよ」


   (SE:木製の鍵と案内の紙を受け取る音)


⑦「お部屋の鍵、ありがとうございます!

  お茶もマシュマロも美味しかったです♪ ごちそうさまです!」


   (SE:二人が立ち上がる音)

   (バックSE:スタッフと二人が歩く足音・3人分)※開始

   (バックSE:暖炉の音)※フェードアウト

    聞き手の左隣に梨花が来るため、⑦から③。

   (ここからスタッフがいるため、梨花が小声で話す)※開始


③「ねぇねぇ。お部屋、何号室?」


    聞き手:202号室の岩梅だって。


③「202号室ね。オッケー。

  てか、もしかして客室一つ一つに名前ある感じ?

  岩梅ってなんか分からないけど、かっこいいね」


    聞き手:この辺の植物の名前らしいよ?


③「へぇ〜。ニセコの植物の名前なんだ〜。

  やば。なんかめっちゃ洒落てる気がしてきた!」


   (SE:梨花が聞き手に密着する音・衣擦れ音など)


③「(至近距離)お部屋どんな感じなんだろう〜。楽しみだね♪」


   (ここからスタッフがいるため、梨花が小声で話す)※終了

   (バックSE:スタッフと二人が歩く足音・3人分)※終了



《続く》

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