26 勇者の物語


 あれ? アパート……ここは前世のご主人様の部屋だ。



 ご主人様が、小説をやっと書き上げたぞと、ハイになっている。

 勇者が魔王を倒す物語だそうだ。



 勇者は、勇敢な黒ヒョウのような令息だった。

 彼には、聖女と言われる婚約者がいた。美しい黒猫のような令嬢だ。


 しかし、勇者は、悪着令嬢のワナに、まんまとだまされた。

 婚約者は偽の聖女だと思ってしまったのだ。


 婚約を破棄し、婚約者を追放してしまった。



 まもなく、王国に魔王が出現した。

 悪役令嬢はウソをついていた。追放したのは本物の聖女だったのだ。


 国王は、魔王の討伐に出兵した。

 しかし、討伐隊は破れ、魔王は、逆に王都へと攻めてきた。


 王都を守ろうと、勇者、賢者、僧侶のパーティーが活躍した。

 しかし、じりじりと押されてしまう。



 その時、勇者パーティーが隠し持っていた四角い宝石が光った。

 その不思議な力で、形勢は逆転した。


 なんと、魔王の正体は、勇者が愛していた婚約者だったのだ。



 四角い宝石の力を使えば、魔王を倒せる……

 しかし、勇者は、後悔と悲しみの中、愛する婚約者を倒せるのか?


 勇者は封印することを選んだ。そして、国民には、倒したと報告した。


 その後、勇者パーティーの行方は分からない。

 しかし、彼らは自分の力を血筋として残し、今も魔王の封印を護っている。



「ニャーン」


 猫の私は、可愛らしく鳴いて、ご主人様を祝福した。



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