第3話
「ばかだな、わたしは」
それが、彼女の最後の言葉だった。
寝て起きたら、部屋が片付いていて。彼女が昨日呑み散らかした酒も、脱いでなぜか投げた下着も。全て無くなっていた。
こういう日が来ると思ってなかったけど、いざ来てみると、それが当然だったように思えてきてしまう。彼女はここにいるべきではなくて、自分も彼女の隣に相応しくなかった。その結果だけが、ここにある。
彼女の名前も、何をしているかも、分からない。たまたま路端で血だらけで転がってたのを介抱して。そこからの関係。
心配はしてなかった。
彼女の呑んでいる酒は、むだに高いやつだし。いつも、金回りはあたしに任せろとか言って、なんかよく分からないカードで自分の分まで買い物払ってたし。
きっと、彼女はどこでも生きていけるようなタイプで。たまたま介抱した自分の恩に報いるために、多少この部屋にいてくれただけで。
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