第2話
ライターを、点ける。煙草を吸う気はないけど、とりあえず点ける。
光に照らされる、わたし。ある程度の年齢までいって、それでもなお、おとこの甘えかたもよろこばせかたも分からなくて。ばかながきみたいに、酒呑んで、下着脱ぎっぱとかにして。お世話してもらうことで、あなたが必要ですと示している。最悪な女。
酒は好きじゃない。洗濯も普通にできる。これまで殺してきたものを思い出してしまうから、料理はできないけど。それ以外はできる。できるけど、彼に甘えるために。酒は呑むし下着は脱いでからある程度投げておく。1メートルぐらい。
ライターの灯り。
この灯りみたいに。一瞬で命が閉じればいいのに。綺麗に、なにひとつ残さず。ただ消える。それができなくて、まだずっと、殺し続けている。
彼が起きたのに気付いたので、ライターを閉じた。そこそこ暗い部屋。理解されたいとも思わないし、理解する気もない。それでも、彼に甘えている矛盾。若い彼の人生を侵食しているという、罪悪感と、そこそこ暗いよろこび。
「ばかだな、わたしは」
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