転生して腹痛スキルで無双する

@wata098765

第1話 転生と腹痛

朝起きたら10歳の誕生日。アルフデッドは、この日が来るのを待ち焦がれていた。それは、貴族の子供たちがその素質を証明する「認定の儀」の日。魔法の才能を発揮し、周囲から称賛されることを夢見ていた。しかし、現実は甘くはなかった。

魔法の力が全く感じられず、現れたスキルは「腹痛」。その効果は文字通りで、発動すれば激しい腹痛に襲われ、トイレに駆け込むことしかできなかった。

「アルフ、残念だったな。魔法の才能はないようだな。」

父の冷めた視線と、周囲からの失望の声。アルフの心は打ち砕かれた。跡継ぎの座は、魔法の才能を発揮した弟に譲られ、自分には屋敷の片隅にある古いトイレが与えられた。

それから2年。アルフは剣の腕を磨きながら、腹痛のスキルに隠された可能性を探求し続けた。毎日、トイレに駆け込み、その度にスキルを意識し、体に覚え込ませていった。

ある日、弟が四属性の魔法を操り、天才少年として周囲から絶賛されているという噂を耳にした。嫉妬と悔しさでアルフの心はかき乱された。

屋敷の庭園で、弟が得意げに魔法を操っている姿を目にした時、アルフは衝動的に弟に近づき、抑えきれない怒りをぶつけた。すると、その瞬間、アルフの腹痛のスキルが暴走し、弟が激しい腹痛に襲われた。

「なぜ…どうして俺を…!」

弟の悲痛な叫び声。アルフは自分の手で弟を傷つけてしまったことを後悔した。しかし、同時に、スキルが進化したことを確信した。

「これは…チャンスだ!」

アルフは、この出来事を転機とし、新たな決意を胸に誓った。腹痛のスキルを武器にして、かつての自分を見下した者たちを見返すことを。そして、いつかこの伯爵家を自分の手で取り戻すことを。

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