第6話 こんにちは、有本優也です。
こんにちは、有本優也です。
僕は今、目隠しをされた状態で両手足を固定され、パンツ一丁でベッドに寝転がっております。人生二回目のまな板の上の鯉状態でございます。
どうやら僕は幼なじみで妹分の夕凪ほのかさんのお怒りに触れてしまったようで、絶賛オシオキ待機中らしいのです。
以上、現場からの中継でした。
……あれ? 何でこうなった? この状況はこの間のパン当て罰ゲームと一緒だ。どこで間違えた?
” …………かっちーん。あったまきた ”
何がいけなかった? 何に対して怒っているのか冷静に、しかも早急に突き止めなければ。……うーん、『お兄ちゃんだって男なんだぞ!』かなあ。そんなわかり切ったこと言うな、とか。
いやいや、それともあんまんか? あんあんをあんまんに例えたのが顔に出たのか? あんあん、あんまん、あんあん……何言ってんだ僕は。
「お・に・い・ちゃん?」
「はひい?!」
耳元やめて!
くすぐったいのお!
「お兄ちゃんは自己評価が低すぎるよ」
「え? な……」
何で今、その話題なんだ、という言葉が出ない。
ほのかが今、本気で僕に語り掛けようとしている雰囲気だからだ。半端無い圧を感じる。今はほのかの一言一句を聞き逃さないようにするのがマストだろう。
「そんなお兄ちゃんにほのかが贈る罰ゲーム!」
「聞きたくなかった!」
目隠しされてて表情はわからんけど、めちゃめちゃ楽しんでるぅ?! それにせっかく収まってきたのにまた変な気分に……! 罰ゲーム中に元気にしちゃったらいくら何でも洒落にならん!
「だからくっつきすぎだって、のしかかんな! 僕、今地肌で君の温もりを受けとめてるんだから! 密着感が生々しいんだ、よ?」
……あ、あれ? ほのかさん?
「うやうや☆おらおら☆」
「あ、あ、あのあのあの。服、着てるよね? ね?」
「当たり前だよ! お兄ちゃんのえっち~☆」
だよねえ!
そういえばこの前の罰ゲームでも服は脱いでなかったみたいだし、いくら家族同然とはいえ大学生と高校生の男女が部屋で裸同然で二人っきりとか洒落にならん。
どうせ夢の中の出来事だし僕は目隠しされてるけどさ。そんな夢ばっかり見てたらほのかの顔見れなくなっちゃうじゃないか。
それに何だこのシチュ。僕は両手足縛られてるしな! 男子拘束プレイが好きなサキュバスにでも気に入られてんのか? かなりきつめに固定されてるから外せそうにない。
まあここで葛が参戦して来たらベッドを壊してでも逃げる自信はある。二人一緒にこの前みたいなオシオキでからかわれるとか目も当てらんないじゃないか。
……僕、欲求不満なのかなあ。
賢者タイム欲しいなあ、もうそろそろマジで。
「あと二枚だよ☆」
「そうだよなあ、二回は……………………え?」
二回じゃなくて二枚?
何の話だっけ?
「ほのかの装備、あと二枚だよ~」
装備。ほのかもすっかりゲームに染まってしまったな、よしよし。でも装備が二枚って何だ?
” 装備 ”
” 装備=? ”
” 装備=服 ”
「装備があと二枚って服の事じゃないよね?! どこに落としてきたの! 早く拾ってきなさい!」
「暑いから脱いじゃったもん」
「時と場合を選ぼう?!」
「オシオキ、いっぱい盛り上げてあげる☆」
「本当にストップ! 落ち着こうか!」
「お兄ちゃんのお兄ちゃんも盛り上がろ?」
「話聞いてねえ!」
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