第4話 ほのか、お手伝いしてあげよっか?

「いったーい! お兄ちゃんがペイってしたぁ!」

「僕が自分に打ち勝とうと必死になって頑張ってる時に、何をしてくれちゃってるんだよ!」

「むう。あと三秒足りなかった」

「どういう事?!」


 あ、危なかった!

 危なかったあ!


 マウントからのほのかのM字の衝撃に、僕の中に眠っていた能力が発動した。そんな中二風に言えばカッコいいが、要するにこれが火事場の馬鹿力という事なんだろう。


 ほのかは跨ったまま、まさか下着をペロンとして僕にお豆さんとやらを見せようとしていたのか? ……はは、まさかね。いくら何でも、いくら何でも、ねえ。


 え? でもってそんななの? 豆つぶって言うくらいだから小さいだろうし簡単に見えたりしないんじゃないの? あああ、見た事ないから全然イメージがわかない!


 僕が見る動画はモザイク大きいからなあ。今度違う動画サイト調べてみようかな……いや、どうせならちらって、ほんのちょっとだけちらって見えてから馬鹿力が発揮されればよかったのに……ななな?! 何を言ってんだ僕は!


 いたたた! ちょっと待ってそんなに張り切ってもキミが参加するようなイベントは発生しませんからね! 一夜よ一夜に人見ごろ、富士山麓にオウム鳴く!


「お兄ちゃん苦しそう。ほのか、お手伝いしてあげよっか?」

「今その発言はダメえ!」


 小首をかしげて無邪気さアピールしてくれちゃって、全くもう!

そんなこと言われたら勘違いするでしょ?! こんな桃色空間でいかがわしいお手伝いされたら秒でパトスが迸るから!


 本当にもう……。


 でも。


 でも、なあ。ほのかの事だからもしかしたら僕が痛がってるとか苦しそうだから本気で心配してる、まであるんだよなあ。僕や葛、家族の事になると掛け値なしで向き合うからな、ほのか。


 そこに付け込む気なんて全くない。ほのかの事は大好きだけど、あくまでも家族としてであって恋愛その他の対象ではないからだ。ちょっと勢いに負けてクラクラ来ちゃう時はあるけどね。


 だって、こんな美少女がお兄ちゃんお兄ちゃん! って僕の事をいっつも大事にしてくれて、ラノベの世界に迷い込んだのかも、と勘違いしそうになるくらいイチャイチャを仕掛けてくるんだぜ? 


 そんな妹分が無邪気に僕をからかって楽しそうに笑う顔を見ると嬉しいし、最近は度を超すことが多いけどほのかや葛との優しく楽しい時間と空間は宝物だ。


「ほのか、小っちゃいから頑張んないと!」


 そうそう、ほのか小っちゃいからねえ……って、んん? 何の話だ?


「はい、いいよ! あーん」

「何がいいの?!」

「……? 何って、じゅるっぽじゅるっぽごっつんごっつんお兄ちゃん専用ほのかのおく」

「だまらっしゃい! お口、いろんな意味でチャックして!」

「むー」


 僕の感動を!

 感動を返してくれませんか?!

  


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