第9話 告解


 ボクは、罪を犯しました。

 自分勝手に相手を裏切ったと勘違いして、間違って

 相手を逆恨みしました。

 ボクは、自分が身勝手に相手にすがって、相手に自分の気持ちを押し付けて苦しめました。

 そして、ボクは、ヒドい事をしてしまいました。

 無関係な人を襲って、人を傷つけてしまいました。

 ボクは、身勝手な人間です。

 愚かな人間です。

 自分勝手に相手にすがりついたダメな人間です。


 ボクは、ボク自身がダメだった事実を受け入れられなかったから

 人を傷つける行動をしてしまいました。

 だから、悪い情報の判別もできませんでした。

 悪い情報の全部を、ウソを本当だと思って、信じてしまい。

 その責任を他人に押し付けた最低最悪な人間です。


 自分の上手くいかなった原因を相手に押し付けて

 自分の責任から、自分がやるべき事から逃げて

 その原因さえも相手に押し付けてしまう

 ヒドい人間でした。


 これから、自分がダメな人間だと自覚して

 このダメだった部分と、自分がやってしまった罪を生涯かけて償い

 それで人生を終わります。


 自分がやった罪の重さを背負って、生きて行きます。

 本当に、アナタに責任を押し付けて、申し訳ありませんでした。


 ごめんなさい。


 高木 正之


 被害者の方へ

 推しの彼女へ


 

 ◇◇◇◇◇


 正之は、バイトのガソリンスタンドから帰ってくると勉強を始めた。

 分からない部分は、パソコンを使って調べて、気晴らしに何時もの大好きな科学系の動画を見て、そして…VTuberを生涯…見る事はないだろう。

 何かのキャンペーンやコラボで見る事はあるだろうけど

 それ以上は、関わらない。


 高校は退学、だから高校卒業の資格を得る為に通信教育、高等学校卒業程度認定試験である高卒認定を貰う為に勉強している。

 今、正之の中で一番に勉強が楽しい時期だ。

 学校に通っていない。

 定時制高校は、近くにない。

 ならば…と通信教育で勉強を頑張っている。


 この高卒認定を貰った後、大学へ行くか…専門学校へ行くか…

 正之は、専門学校へ行こうと思っている。

 オジさんである孝一が、ネットの事を趣味でやっている影響で、システムエンジニアを目指そうと…。

 まあ、時代はAIになっているけど。

 AIもシステムエンジニアの能力が必要だ。


 高卒認定の勉強とバイトをしながら、ネットのシステムエンジニアの勉強の動画を見て、自分もプログラミングを勉強して、AIの勉強もする。

 正之は、将来…自分と同じようにネットで間違った行動をしてしまう人を探し出すツールかシステムを作りたいと思っている。

 自分のような罪人をこれ以上、増やしたくないから。

 間違った自分ができる精一杯の小さな贖罪の一歩だ。


 今でも、自分がやってしまった事を思い返しては…苦しむ。

 当然だ。

 関係ない人を傷つけて、多くの人を、両親やオジさんも傷つけた。

 自分がやった事の罪悪感に苦しんだ次の日

 オジさんと通話する。

 オジさんは、静かに聞いてくれる。

 一緒に悩みや気持ちを背負ってくれる。


 こんな大切な人を傷つけた事を後悔している。


 だけど…


 ◇◇◇◇◇


 正之がバイトに行く時間に

「バイト、行くの?」

と、微笑んで迎えてくれる人が正之にできた。


 お隣の好きだった彼女、天城 かな恵が顔を見せてくれる。


 正之が頷き

「うん。夜、遅くなりそう」


 かな恵が微笑み

「じゃあ、バイトが終わった後にラインして話そう」


 正之が微笑み

「うん、ありがとう」


 かな恵は再び正之と繋がる事になった。

 お隣でもあり、幼馴染みのかな恵は、事件を知った後に正之に会って、繋がってくれた。

 無論、正之は事件の事を話して、かな恵を遠ざけようとしたが。

 それでも…とかな恵は正之と繋がる事を選んだ。


 再び別れてしまった二人が、再び結び合ったのだ。


 かな恵は、正之を見送り家に戻ろうとした。

「天城 かな恵さんだよね」

と、呼び止める人物がいた。孝一だ


 孝一は鋭い顔で

「どうして、正之のSNSに住所のデータを送った?」

と、正之のSNSに住所を送ったアカウントを見せる。

 そして、別のデータを見せる。

 正之に暴走するデータを与えたアカウントが、何時も繋がっている先のデータだ。


 そこには、かな恵のパソコンとスマホのデータがあった。


 孝一が不動明王の怒り顔で

「お前が…正之を地獄へ落としたのか…」


 かな恵が呆然とした後に涙を零す。


 次回、最終話

 背負う罪の十字架

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