第4話 メンバーシップの闇
正之は、佑月ユイのメンバーシップに入った。
月額500円というメンバーシップの入口で、もっと高いプランとして2000円、10000円という高いプランもあるが、正之には…これが精一杯なのだ。
無論、高いプランに入れば入るほど、充実したメンバー内容になる。
だが、それでも…メンバーシップに入れば、メンバーシップだけの秘匿の配信が見られる。
佑月ユイのメンバーは数十人で、配信に来る人達の30%がメンバーシップに入っている。
その全員が初期のメンバーシップではなく、正之が入ったメンバーシップより上のメンバーシップになっている。
正之は、メンバーシップ配信へ来た。
「みんな! こんばんは!!!!!!!!」
と、佑月ユイのメンバーシップ限定配信が始まった。
そこにいた佑月ユイは、悩みを抱えた一人の女の子だった。
配信で見せる頑張っている佑月ユイも正之は好きだが、メンバーシップという外に漏れない場所で話す佑月ユイは、悩みを抱えた一人の女の子だった。
「本当に、あの炎上…ヒドいよね」
と、佑月ユイがVTuber達の住所が晒された事件を語る。
佑月ユイが
「私の住所は…なかったけど。他の人達の住所が晒されて…でも、たくさんの偽情報が出回ったお陰で、かき消えたからいいけど。みんな、引っ越すみたい。私も、引っ越した方がいいかあぁ…」
それにメンバーシップのみんなが、引っ越しをした方がいい…とコメントをする。
佑月ユイが
「そうだね。安全の為にも…でも、ここ…防音設備が良くて…気に入っていたんだけどなぁ…。良い場所が見つかるまで、仲間の家に転がり込むかなあ」
そこには、一人の女の子がいた。
悩み、苦しみ、どうすればいいか? メンバーシップの人達と会話する、どこにでもいる女の子がいた。
その魅力に正之は、もっと佑月ユイの事が好きになった。
佑月ユイが
「じゃあ、これで今夜は、おしまい。みんな、愚痴を聞いてくれてありがとうね」
と、メンバーシップ配信が終わった。
正之は、佑月ユイの新たな一面を知られてよかった。
メンバーシップ配信では、メンバーシップ配信内で語られた事は、非公開であり、広めてはいけない。
もし、広めてしまったら…広めた人物に特定秘密の漏洩という罪状がついて、懲役10年になる。他にも漏洩や違反となって重い罰則がある。
正之は、ネットにも誰にも言わないとして固く誓った。
だが…翌日…SNSで機密情報の漏洩が起こった。
昨今のVTuberの住所が漏洩した事件の影響で、引っ越しを予定しているVTuberの一覧という情報がSNSで暴露された。
その中に推しの佑月ユイがいた。
急いで、佑月ユイの所属会社や、他のVTuberの会社も機密情報を漏洩した犯人を追跡し始めた。
正之がショックだった。
佑月ユイのメンバーシップの誰かに…情報を漏洩させた犯人がいる。
昨日、見たメンバーシップ配信の仲間達に疑惑が…
「ボクが、彼女を守らないと…」
佑月ユイを失ってしまう恐怖が…。
◇◇◇◇◇
孝一は、VTuberの情報漏洩の痕跡を追跡していた。
そして、判明した事は…
「おいおい、運営さんよ…しっかりしてくれ…」
何と、VTuberが所属する事務所や会社のメールに書類データに偽装したハッキング・アプリケーションが仕組まれていて、それは…猛威を振るう事はしないが。
事務所や、会社のシステムにゆっくりと浸透して、所属するVTuberのメンバーシップ配信を管理しているアカウントを乗っ取り、VTuberの秘匿配信を盗み取っていた。
「厄介だね…」
ウィルスのようにパソコンを使えなくする訳でもない。
データを改ざんする訳でもない。
システムを止める訳でもない。
VTuberの個人情報が満載のメンバーシップ配信をハッキングして、ただで見て、その情報を売る
そうして、買われた情報を暴露したサイトは…海外で…しかも日本や様々な国の司法が及ばない場所からの発信。
暴露したサイトを止めようとしても、幾らでもサイトを作れる。
孝一は、この事実をVTuberの事務所や会社に秘匿で伝える。
そうなれば、乗っ取られたメンバーシップの引き落としを止めて、アカウントを使えないようにして、新たなアカウントで再登録して…使う。
当分の間、この処置をする為にメンバーシップ配信は止まるだろうが、犯人を特定するより一番に早い。
孝一が
「嫌な時代だぜ。国家や会社、組織の情報なんかより…VTuberの情報の方が高値になるなんて…」
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