第3話 炎上


 正之は、とあるSNSの話題を見てしまった。

「ええ…〇〇〇ハウス…ライバーの住所…漏洩」

 それは自分が推している佑月ユイの事務所と繋がりがある大手Vの事務所の事件だった。


 正之は、次々とあがるSNSの炎上に頭が混乱してしまう。

「これ、ユイちゃんは…大丈夫なんだろうか?」


 正之は、必死にネットやSNSを検索していくと、元記事であるネットのホームページにぶつかる。

 そこには、佑月ユイではないが…大手Vの住所、主に関東圏の区内まで…


 燃えていくSNS


 暴露したのは、誰だ? 犯人捜し、不安や怒りのポストを動画

 瞬く間に炎上は全てを包み込んでいく。


 正之はスマホから推しの佑月ユイのアーカイブへ入り、最近の動画を見ると…

 間近だったライブ動画のアーカイブには悪意のコメントが書かれていた。


 お前が暴露したんだろう!

 

 売名!

 

 俺の推しが泣いている!


 謂れのない誤解と誹謗中傷が佑月ユイのライブアーカイブのコメント欄に書かれていた。

 それに反論している人もいた。

 でも、まるで…さらし上げのように…こう書かれる。


 うるせぇ! 信者が! お前等が否定している事が正解なんだよ!


 正之は…その無慈悲で残酷なコメントに心が切り刻まれる。

 そして、パソコンから佑月ユイのSNSのアカウントへ行き、新しいポストには


 皆さん、今、騒がせている事についてですが。

 わたくしは関係ありません。どうか…落ち着いて行動してください。


 その定番のようなポストに、正之が返信する。

 

 大丈夫でしょうか?

 その一言を打つだけでも地獄のように辛かった。


 正之はバイトへ行くと、バイトの時間の合間にあった推しの動画配信には…何時もの推し、佑月ユイがいた。

 心配する声のコメント蘭、それに正之もいた。


 推しの佑月ユイは

「みんなに心配をかけてごめんね。本当に私は関係ないし、驚いています。どうか…落ち着いてください。だから、今日の配信を楽しみましょう」


 何時も通りに配信になるようにコメント欄の人達も平静にコメントするが、正之だけは…不安に押し潰されそうだった。


 それから数時間後、SNSを見ると…誤情報による炎上詐欺、というSNSが拡散していた。

 今回、元となった情報は炎上を使って注目を集めようとした迷惑系だ!とSNSに広がっていく。

 誤情報の元と似たページが幾つも発掘されて、その画像が拡散される。


 あっという間にSNSのランキングに、炎上元であるサイトの情報は、詐欺である!とSNSに広がる。

 最近、Vを使ってインプレッション、注目度を稼いでお金にするインプレゾンビなる者達が現れ始めている。

 これもインプレゾンビの企み…として。


 二つが拮抗するが、直ぐに炎上を広げようとする側が小さくなる。

 なぜなら、インプレゾンビによってSNSが使いづらくなる現象が発生していて、それに対する怒りや憎しみが勝っていた。


 インプレゾンビによる炎上商法という…文言が駆け巡り、気付けば…問題のVの炎上は何処かへ消えてしまった。

 SNSは何時もゴールポスト、物事の中心がぶれてズレる。

 一番、怒りが共鳴する話題に移る。

 事件の発端も…何もかも忘れ去れてて…気付けば、今日も炎上するのは別の話題。


 

 ◇◇◇◇◇


 正之は、不安の矢が心に刺さったままで、学校へ行き。

 クラスメイトからも

「大丈夫か?」

と心配の声があった。


 正之は、一応…「うん。何とか…」と答えた。


 クラスメイトの中でも、今回の事は話題になっていた。

 それを聞く度に、心が…痛い。


 正之が自宅に帰ると、インターフォンが鳴った。

 インターフォンの画面を見ると、オジさんだった。

 正之が家にオジさんを入れる。


「おう、元気か? これ…持って来たぞ」

と、オジさんの孝一が右手に手に持つの果物を持っていた。


 正之が受け取り

「ありがとう、オジさん」


 孝一が

「どうしたんが? 何か…声が…」


 正之が不安な声で

「オジさん、Vの炎上、知っている?」


 孝一が頷き

「話を聞かせてくれ」


 正之は、孝一と一緒にリビングで思いを語る。

 孝一は、黙って正之の語りかける全てに頷き聞く。

 正之はオジさんの孝一に全てを語り終えて

「ぼく…どうすれば…いいんだろう」


 孝一は

「その推しの人は、何て言っていた?」


 正之が

「何時ものように配信を楽しんでくれって」


 孝一は

「それで良いんじゃないかなぁ…と思うよ」


 正之はオジさんの孝一に話をする事で気が紛れ感じがした。


 その夜、正之は…推しのライブを見ていた。

 今日も楽しく配信する推しの佑月ユイ。

 正之は…スパチャと推しのグッズ購入、そのだけにするお金の配分を…

 メンバーシップは入らないという約束を…

 正之は、一番安い月額500円のメンバーシップに入った。

 それが…新たな地獄への入口だったと… 

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