01 全ての始まり

——私はユティ。『創造神』なんだ〜…ねえ、君の名前、教えてよ?


……



俺は少し離れた場所にある丘から元々住んでいた施設を眺める。俺と同じ人間が無慈悲に炎に包まれて、叫び…焼けて……死んでいく姿を目に焼き付けていた。


(……当然か。)


ここの管理担当だった『転移神』マキが死んだ以上、残った奴らは処分される。人間…奴隷は幾らでも替えがきくからだ。


「……ねえ、ラスト…ラスットってば!!」


「…分かっている。というか、何だその呼び名は。」


俺の隣で元気にはしゃいでいるオレンジ色の髪で20代程の見た目をした女性…女神の方をちらりと見る。


「あれがラスットの故郷なんでしょ?どーするの?帰る場所…無くなっちゃったよ!?」


——死にかけていた俺を、何故か同族を殺して助けた女神。何を考えているのかやたらと話しかけたり、俺の後ろをついて回ったりとよく分からない行動を取るのがネックだが…使い道ならいくらでもある。この奇跡…全力で利用してやるぞ。


「…俺はこれから、『神都クロネス』へ向かう。良ければ…」


「神都?いいね、いこっ♪私が案内してあげるよ!!」


正直不気味だ。上手くいき過ぎている…罠かもしれないと勘繰ってしまうが、たとえ罠だったとしてもこれは好機だ。俺は神都クロネスの位置を知らない。探す手間が省けたと考えるべきだろう。


恐らく、神都クロネスから多少の距離があるだろうから、道中でうるさい女神を口八丁で籠絡しながら神都で考えるのも悪くな…


気づけば俺は頭に何かを被り、変な服装に変わっていて…謎の物体の中にいた。


「……!?」


「私が創った箱庭の世界で確か『ジェット機』って言うらしいんだ〜ラスット急いでそうだったから、これなら早く神都に着くよ?」


ジェット機…?何だそ…


前に乗っている女神が楽しそうに笑った。


「あはは!!よーし、操作方法分かんないけど、いっくよーー!!!」


「まっ、ユティ…少し待て…」


「なんとでもなるなる♪ゴーゴーゴー!!!」


次の瞬間、凄い衝撃が俺の体にかかり、俺の意識は強制的にブツリと途切れた。






























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