第4話 無理、無理!?

 部屋の中を見て二人が休憩をしながら、中の様子を観察する。敵は部屋の外には出てこないみたいで、二人が部屋の前に来た時より敵が増えている。



 部屋の中を例えるなら、………良くて満員電車のギュウギュウ詰め?かな………。でも部屋の高さが結構有るのに敵が上にもいるって………、うん……、考えるの止めよう……。

 それより、コレをどうやって倒すかだよね?やっぱり………。倒しても倒しても増え続けそうだけど……。


 部屋の中を見ていた二人の顔が、とてもイヤそうな苦い物と辛い物をいっぺんに食べた様な顔をしている。


「レンはさ………魔法とか出来ない?」


 梓の問いかけにレンは、首を横に振ることで答える。


「え〜、じゃあ外から地道に倒してく?」

「そうだな……。ただ、外から敵を倒せれば、な?

 」

「それじゃあ……、試しにやってみて、ダメだったらまた考えようか?」

「ああ、ではそれで」


 梓とレンは頷き合い、それぞれ槍を構え敵を貫いてみる。一応外からでも敵は倒せた。


 部屋の中でギュウギュウ詰めの敵を倒したからか、一体だけじゃなく何体か一緒に倒せたようだ。

 取り敢えず二人は、敵を外から倒していくが………全然減らない、まっーーーたく減らなかった……。




 減らない………全然減った気がしない、それに考えたくないけど……部屋の中の敵、もしかしてだけど、増え続けてる……のかな?

 まさか、まさか……だよねー?今の私は、スキルも魔法も使えないのに!!


 ここどうなってるの本当!造ったのはアノダ女神……だよね?多分……。


 ダ女神が問題を起こしたのは確か……、魔力が多過ぎて世界のバランスが崩れて、魔力を消費仕様と魔物を大量に発生しちゃって、崩壊しそうだからって他の世界に魔力を送っちゃえ~って事をやったから。

 そのせいで、前世の私が生きていた地球と平行世界の地球が何個か、それと他の異世界が何十個も被害にあって、消滅しちゃったんだっけ?

 後、レンが言ってたけど……ちょっと抜けてるんだっけ?神様のちょっとは規模が違うと思ってるけど……。今のこれもそのうっかり?


 ああーー、どうしようー!まだ他の子達を呼べればましなのにー!!魔法もスキルも使えない!地道にコツコツ槍で倒しても……。



 レンと槍で敵を倒してた梓が疲れてきて、何かいい方法は無いかレンと話そうと思い、話しかけようとしたら……。



 レンの顔が、とてもキレイなお顔が……その…とても恐ろしいお、お顔になっていらしゃるーーー!?レンが元邪神とか祟り神って言われても、納得出来ちゃうレベルの怖さダヨーー!?

 今のレンには、話しかける?……無理、無理、いや絶対に無・理!?

 恐いーー!久しぶりキレかかってるレンをこんな早く見たく無かったぁーーーよーー!



「………………っち………」


 ビッックー


 小さかったが、それしたレンの雰囲気が一気に冷たく怖いモノになり、蓮華は思わず肩がはねる。


「ーーー梓、私が減らないだろうが……槍で敵を倒しておく。ーーだから、その腕輪を調べて、ナニか使えそうなのが無いか探せ」


 鋭い視線を梓に向けながら、先程より機嫌が悪いレンがそう言った。


 そんなレンに言われたら、梓の答えは決まっている。


「はい!!喜んで!!」


 それ以外言えなかった………。




 ◇◇◇◇◇


 え〜〜、とても機嫌が悪い…レンをこれ以上!!機嫌を悪くさせない為にも!!

 速攻で腕輪を調べて、アノ敵の山を何とかしないと………。

 取り敢えず、………叩いてみよ。


 あ?空中にナニか出た!?

 えっと?ステータス?って、今じゃない!?

 コレじゃなくって………、う?コッチ?あっ!?コレコレ!?コレだよ!?

 スキルあったーーー!?よがったーーーっ!?コレで、レンの機嫌が直る……はず……。


 取り敢えず、スキルを………使用可能に……。あっ……れ……?個数制限が………ある様な……?

 今使用可能にしないスキルは、異世界に行って条件を達成しないと使えない……と?

 成る程、成る程………。チートは無し……と。

 チートに見えても、ナニか制限されて使えない……と?………それ、罠じゃん!?


 あぁ、今はそんな事いいか!?

 今は自分のスキル構成を………。えっ?無理!?直ぐに決めらんないよ!?此処を乗り切るだけなら………まぁ、何とか。でも、異世界に直ぐ行くかもって、なったら……。

 うん。ダメだ。即決出来ない。



「………………レン!?機嫌が悪いトコもーーしわけ、無いんだけどーー!?スキル構成直ぐに決めらんない!!から……、ちょっと代わってーー!?」


 梓が考えた末に、レンと代わることを選んだ。


「ーーーナニを言って………、ああ、成る程。」

「ね?」


 何故かドヤ顔で梓が、直ぐにスキル構成を決めるの無理でしょ!?と、顔と雰囲気で言ってくる。


 そんな梓に、先程までの怒りやイラつき等が少し、本当に少し納まり、力が抜けて呆れてしまった。


「ーーーイヤ。これは、もう少し二人とも敵を倒し続けた方がいい………イラつくが……」


 梓がえ?と驚くと、レンが無言でここっと指を差す。


「?ーーえ〜!?どうしてーーさ!?これ面倒臭いーー!?」


 梓がレンに言われて見たのは、


『 ※注意

  ・転生特典の使用は敵(魔物等)を一万体以上倒す事。       

  ・ポイントを一万払う事         』


 等と書いてあった。


 梓は期待をしていたので、がっかりして槍を支えにぐだーっともたれ掛かる。



 ………え〜、直ぐに使えないの!?転生特典……残念だな〜。

 って事は?まだ一万いってないのか……、ハァーー。あーー、力抜けてく……ヤル気削がれたな。でも、ヤんなきゃだし……地道にちゃんとヤるか……な。面倒臭いなー。



 それにしてもと、ちらっとレンを見る。

 モクモクと敵を倒しているレンが居た、その目はやっぱり鋭く冷たいが少し死んでいるみたいだった。


 そんなレンを見た梓も諦めて、敵を倒すことに集中する事にした。



 ◇◇◇◇◇


 敵を倒し続けてやーーと、転生特典が使えるまで倒し終えた二人は床に座り込んでぐったりしていた。


「や、やっと終わったね?」

「ああ、だが…………やはり……減らなかったか……。いや、それより……」

「レン?!それ以上はダメだよ?!言っちゃ?!……私はこんなの認めたくないよ?!絶対にーーー!!!」


 二人がそう言うのも無理はない。

 敵が部屋から出て来そうな程というか、光の膜みたいなモノが壁の様になっているのか外にはみ出したいるのに、出てこないその光景が目の前に広がっていたからだ。



 何アレーー?!うっそでしょー?!はみ出てるというより、出てるでしょアレ!だって、アレ例えるなら風船が膨らんでるみたいなんだけど?!えっ?もしかして、割れるのこの光の膜みたいの?!もしそうなら……、取り敢えず急がないと……。



「梓……、取り敢えず急ぐぞ……」

「……うん。スキル構成を急いで終わらそう……、魔力と魔法系でしょ?後それから、ええっと……槍スキル、あっ楯も?!」

「回復、付与入れたいが……ポイント足りない……か……」

「特典だからね……、これ一回だったら……、追加出来ないと……アレを何とか出来なく……」


 二人が話しながら、今にも部屋から溢れ出そうな敵を見て嫌な想像をした。


「レン……、私取り敢えず……水魔法・土魔法・回復魔法と魔力操作取って、後残りのポイントで魔力を増やすね?」

「ああ。でも、生活魔法も取っといてくれ。私も生活魔法……水魔法・光魔法・回復魔法と魔力操作それから……槍と楯スキルを取る」

「え?それだと……ポイント足りないよね?……ま、まさか…?!」

「……足りない分は……、今から……、稼ぐ?!」


 レンの目が座っていて、ギンギンに輝き殺気が凄くこもっている。そして、また敵を倒し始めた。


 そんなレンを前に梓は引いたが、あ!成程!それもそうか~っと、また槍を構えて梓も敵を倒し始める。


 そのまま、二人は黙々と無言で敵を倒し続ける時間が……始まった。

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