第3話 スタート

 二人は扉を開き先に進んで行く、通路は明るく見透視が良い。



 これなら、暗い所から行き成り敵が出てくる心配をしなくて良いから。後は、通路を曲がる時や十字架とかを気を付ければ、少しは安全に行けるかな?


 に、しても、扉を抜けて通路に出たら、腕にコレが行き成り現れるなんて……。何でこのタイミング?さっきの部屋なら、色々試せたけど…………。

 今は敵がいる通路だし、こんな所で止まって呑気に色々いじれないよ。

 

まぁ、部屋で見た地図では直ぐ敵に遭遇はしないと思うけど…………多分。



「レン!やっぱりコレ気になるよーー!!触っちゃダメ!?」

「梓……。気持ちは分かるが、今は我慢してくれ」

「でもさ、でもさ!!もし行き成り爆発したり、隷属の何かが発動したら困るよ?」

「イヤ、ソレはとても困るが……。う、っあ?困る何てもんじゃないのだか!?そもそも何でそんな考えになった!?」


 梓の言葉に一度返事をして、言われた言葉をもう一度思い返したら、何故!?と驚きレンが慌てて梓に聞く。


 聞かれた梓がキョトンとした顔で、


「……?っえ?何でって…………。アノダ女神が送った場所で突然現れたから?…………」


 レンに何言ってるんだという顔をされたが、梓も反省してるけどアノダ女神がした事だよ?何言ってるの、と不思議そうな顔をレンに向ける。

 その顔を見たら、否定の言葉が出てこないレンだった。


「…………っ、否定出来ないな……。だが、一応コレについては、そんな事には、ならないから安心してくれ。此処に来る前、日本の神達に聞いているから、転生特典のステータスやら色々機能が有る腕輪らしい」

「…………コレ特典なの?それなら何で今!?レンと会った時でも良いじゃん!?本当に何でさ!?」


 もっともなその言葉に、返せる言葉が無いので顔を逸らし、梓の眼を見ないようにしてレンは話す。


「まあ、そうだな。特典のコレについて詳しくは知らないが、有ることとちゃんと貰えることしか聞いてないからな…………。多分コレが特典でいいはずだ…………」


 レンの言葉を聞き梓は思わず、えーーーと言った後腕輪をマジマジと見てしまった。



 まぁ、レンが言うならコレは転生の特典なんだろうけど…………。神様達さぁ~、もう少し説明してもイイんじゃない?

 だってレンの顔、すっっごーーく困った顔してるし、コレが特典か自信無くなってきてるよ。

 この腕輪が気になって、周りの警戒が疎かになり始めるそう。どうしよう?このままの状態で敵に会いたくないけど、


 梓がこの腕輪が気になるけど、此処だと敵に会うかもと悩み始めオロオロしている姿を見ていたレンは、自分の言葉で気になっていたのがモノが、転生の特典かもと言われれば、混乱して当たり前かと思った。


「取り敢えず敵を倒して、強さの確認をしようでなくては、どう行動できるか判断出来ない」

「うん、そうだね。慎重にでも、早く終わらそう!!」


 梓の言葉を聞いて、レンが呆れた眼を梓に向ける。

 そんな眼を向けられた梓は、気にしてないのかワクワクしながら進んで行く。



 早く終わらそう。それでもって、この腕輪を色々試してみないと。……あぁ、後転生特典ってのもレンに聞かないと……。でも、あの感じだと、あんまり詳しくは知らないんだろうな〜。


 他の皆を召喚出来るかもしれないし、前世のスキルは使える様になるのかな?まあ、そういう事を考えるのも後で、落ち着いてからか〜。ハァ〜〜残念。

 あ〜、出来る敵弱いといいんだけど。



 二人が進んで行くと、漸くして敵が現れたから。

 敵?は、浮いていて大体160センチは有る、透明で少し緑色の水晶みたいなモノだった。動きはゆっくりで、移動範囲が決まっているのか行ったり来たりを繰り返している。

 見えていないのか感知もしてないのか、二人に反応をしなかった。


 敵が反応をしないので、思いっ切り槍でレンが貫いてみた。

 すると、そこそこ太さが有ったのに薄い氷を棒で刺したみたいな感じで簡単に壊れた。


 シーーン


 ソレを見た二人は、お互いに顔を見て驚き暫し無言で見つめ合った。


「う〜ん?コレは、私達が警戒して慎重になってたのが、無駄だった?」

「まぁ、私達は例外だからな。梓と同じ学校の者達が此処に来て、行き成りコレを体験するなら。……まぁ、簡単に倒せる様になっていて当然……か?」


 此処に来て、二人にとってダンジョンを探索するっという事は慣れている事でも。

 梓が今世生まれて生きていた日本は、ファンタジーなスキルとか魔法が突然実装される前の世界と同じだったと思い出す。


 二人はこれからどう探索をするかを話し合い、此処は簡単でも、これから行く異世界のダンジョンや魔物が強い可能性もあるから、練習も兼ねてこのまま慎重に探索する事になった。


 そして、話し合いをしている時に、レンが倒した敵がリポップし、今度は梓が危なげ無く簡単に倒した。


「「………ハァーーー」」


 深い溜息を吐いた二人は、気持ちを切り替えて歩き出す。



 ◇◇◇◇◇




 最初の敵を倒してから少し経ち、地図に有った最初の広い部屋に付いて中を見たら、中には最初に倒した敵と同じモノが軽く数十体は居た。


「ーーーレン、敵の数多くない?」

「ーーそうだな。此処に来るまでにも、敵を数十体は倒してるが………。最初の部屋でコレか………」


 一体一体の強さと固さは問題無い、というか敵からの攻撃が無いので強さは分からないし、固さは最初の敵と同じだった。

 しかし、問題は敵の数が多すぎる事とリポップまでの時間の短さ。


 二人が疲れを滲ませて、ハァーーと息をつき、スタート地点から此処までの短い距離で、倒して来た敵の数を思い出しゲンナリとした。



 あ 〜、疲れた………。何あの敵の数……ッハァーー。倒すのは簡単でも、敵の数とリポップの早さはキツイって。

 こんな説明したの、……あのダ女神?……………ダ女神だったら………ど・う・し・よ・うかな!フフフ。あの子が居たら、アレを思いっ切り作って貰ったのに……。ハァーー、残念、本当に残念だなー。


 にしても、最初の部屋にやっと着いて、部屋の中があの敵の数?………巫山戯てるのかな?

 この部屋が最初何だよ?終わりじゃないの、な・の・に、この敵の数?本当に巫山戯るなよ!?


 もう、全部回るの………止めようかな……。地図を見た時は行けると思ったけど………。ハァーーー。



「ーーーそれで、梓?ーーー落ち着いて、無いな………。此処までの短い距離で、あの数はキツかったが。しかし、会った敵を全部倒していたからな………?程々にすべきだったか?」

「………だ、大丈夫……。ハァ、ハァ……、それは、……まぁ、その一回しか行けなくて…最後の時にポイントが足りなかったら……嫌だったし、勿体ないじゃん!!

 そ、それにしても、今回もファンタジーな事になるなら、トレーニングとかで体力付けておくんだった………」

「まぁな。………あぁ、生まれ変わってまで、同じ様な事になるとは思わんだろ?……………私達にとっては、……良かったが……」

「?レン?あぁ、皆に会えるから………うん。良かったね、コレに巻き込まれて!」


 改めてレンや皆に会えるなら、こんな事になって良かったと思ったら、嬉しくなって笑顔になった梓とそんな梓を見たレンも笑顔になった。


「取り敢えず、少し休んでから中に入ろう。あの数は二人でもキツイだろ?」

「うん。絶っ対に!!キツイよ!!これでリポップまでしたら……ぅっわー考えたくない………」


 梓は自分で言って、もしもを想像しガクッと力無く俯いて座る。そんな梓の頭をレンが軽く叩いて励ます。

 レンはチラリと部屋の中を見て、梓が言っていた事が本当にならない事を願った。

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