かぎゅう。

目を開けると2人の美女。1人は黒髪ぱっつんロングのムチムチお姉さん、もう1人は金髪巻き髪ロングのムチムチお姉さん。あぁ、ここが天国か。もう僕はこの2人さえいれば何もいらない。そう思ったとき、黒髪さんが口を開いた

「これなぁに?キャシー」

「よく分からないけど…多分大丈夫なやつだよ、ななりん。」

どうやら黒髪さんがななりん、金髪さんがキャシーと呼ばれているらしい。本名はなんだろう、ななこかな。キャサリンかな。思考を巡らせていると、今度はキャシーさんから口を開いた

「まぁ、見たところ人間っぽいし顔面もうちらのタイプっぽいし、いただいちゃってもいいんじゃね?」

いただくとはどういう事なのだろうか。まさか官能的な意味か?勘弁してくれ、僕は何があっても”食べたい”派だ。しかしこんな所でお姉さんたちのタイプが知れるとはまさに僥倖。今すぐにでも2人まとめていただきたいが身体が動かせない。しまった、どうして僕はこのことを確認しなかったんだ。僕がうごうごしている間にななりんさんが言葉を紡いだ

「それもそうだよね。じゃあ味付けどうする?焼く?」

おっと?

「いや、焼くのもうめぇけどここはあえて蒸して…」

おっとおっと?

「それ美味しそう!キャシーナイス提案!」

僕は思わず口を開いた

「やめろおおおおぉぉ!!」

がばっと、僕はベッドから飛び起きる。汗ばんだ身体に自分の部屋。どうやら今までのことは夢だったらしい。僕は安心して息をつくと同時に、さっきのお姉さん達のことを想像して抜いた。全く、罪な女性達だ。そういえば、今は何時だ?9時か…今日の夜からタカとの飲みが入っているとはいえ、暇を持て余してしまう。とりあえず朝ごはんはアイスでいいか。やはりバニラアイスは良い、たとえテレビを見ていようがムチムチお姉さんがダンスを踊っていようが思考がこれにしか向かなくなる。いや、お姉さんのダンスは普通に見たいな。とにかく、バニラアイスは美味しいんだ。僕がこいつにどれだけ助けられてきたか。彼女がいない寂しい夜でもこいつは僕を癒してくれた。そうして僕の冷凍庫にはギチギチ詰まったバニラアイスがある。というかいる。アイスを2つほどゆっくり食べ終わった頃、時計がいい時間を指していたので僕はカタツムリの…ヴィン君、ヴィン君と外へ出た。決してキャシーから連想して名を決めたのでは無い、ただ適当に決めただけだ。ドアを開けると新鮮な緑の葉が舞い込んできた。可哀想に、お前は短い命をここで終えたんだな。踏みつぶそうかと思ったが流石に下衆なのでそのような行動はやめておいた。10分ほど歩いて公園に着くと見た事のある女性達がいた。キャシーさんとななりんさんだ。2人はベンチに座りながらにこにこと互いの弁当を食べながら笑っている。OLか何かなんだろうか。微笑ましい光景なのだがあの二人で抜いた罪悪感と悪夢にうなされた恐怖が僕を襲う。どうしようか、あの二人の後ろに木々があるのだが通るのはとても度胸がいる、求められるレベルは度胸5だ。考えた末、僕が至った結論は息を殺しながら枯葉を拾うことだった。拾っている間、かなり目線を感じたが心を無にすることにした。帰りに腹が減ったので近くのファストフード店でビッグダブルチーズバーガーを2個頼んだが、物足りなかったので更に5個頼んだ。午後はどうしようか、そう悩みながら時間を潰している時、タカから電話が鳴った。

「しーもー?今日くるみちゃん連れてっていいか?お前に紹介したい子が居るらしくてさ」

「☆-&@→♡#…別に構わないが」

「お前前半なんて言った?」

「何も。決して僕は突然来た恋愛フラグなどに動揺してなんか無い。」

「そーかよ。あざまるサンガツ」

「その知ってるネット用語をとりあえずごちゃ混ぜにしたような挨拶はやめろ。」

「ごめちょ〜」

そう言ってタカは電話を切った。あいつは本当に嵐のようなやつだな。さて、僕もイケてるメンズになるように支度するか。

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