餅田丸夫が体験した恐怖の8月31日(1)
※「じょわじょわ」「リフレイン」「代行」の三題噺。
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◆ 不可思議調査団(FTD:Fukasigi Tyousa Dan) メンバー
・長谷川博一(六年生)…団長。独特の雰囲気があり、そして寝ぐせが目立つ。
・狭間芳樹(六年生)…副団長。何かと顔が広い。校内新聞(非公式)を作っている。
・春乃上真帆(六年生)…団員。上級生の中でまとも(?)で頼りになる。長谷川のことが好き。
・佐藤太郎(五年生)…団員。至って平凡な人間だが、よく不運に見舞われる。高峰が好き。
・高峰瑞穂(五年生)…団員。佐藤と幼なじみ。容姿端麗でモテるが平凡な佐藤のことが好き。
・餅田丸夫(五年生)…団員。今作の主人公。口に含める全ての食べ物と飲み物が好き。
◆ 餅田丸夫の友達
・小野少年(五年生)…よく厄介ごとを引き起こすトラブルメーカー。でも憎めない。 ※別作品の「セキダ博士のちょっぴり変わった日常」に登場。
・花村翔太(五年生)…何を考えているのだか分からない不思議くん。
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僕の朝はきゅるきゅると悲鳴をあげるお腹の違和感から始まった。
部屋はクーラーによって冷えきっていた。布団はベッドの下に落ちている。そして本来パジャマで覆われているはずのお腹が冷気にさらされている。
きゅ~きゅるきゅるきゅる~~~~
お腹を絞られたような感覚とお尻から洪水の予感がする。
「やばいよこれはやばいよ!」
自分のお腹に対してやばさを訴えるけどお腹の不調は待ってくれない。
僕は重たい身体を持ち上げてすぐさまトイレに駆け込む。
しかしトイレのドアノブは下がらない。
「お~。はいってま~す」
トイレからお父さんの怠そうな声が聞こえてくる。お父さんはいつもトイレで新聞を読む癖があってこれがまた長いのだ。
「お父さん!!緊急事態だよこれは! 僕のお腹がピーピーでお尻からビュルビュルで!」
「それよりもマルオ。お前、夏休みの宿題はもう終わったのか? 今日で夏休みも終わりだぞ」
「お、終わったから!!」
「あ、今吃ったな。終わってないんだろう」
「ちゃんと終わらせるから!!」
力の限りトイレのドアを叩き続ける。「もう仕方ないな~」とのんびりした様子でお父さんがトイレから出てきた。
僕は一目散に駆け込んでズボンをずらして便座に座ると、お尻から汚らしい音とともに大量のうんちが排出された。水っぽいうんちがトイレの水の中でいっぱいになった。
「ふぅ~」
あったかいお風呂に入ったときのような心地良い気分で満たされる。
でもお尻からうんちを出し切ったはずなのに、まだお腹には違和感があった。
十数分粘ってみたけど違和感は消えなかったから仕方なくトイレから離れた。
かなりの量を出したから体重も軽くなっている気がした。僕は洗面台にある体重計にのってみることにした。
体重計に表示される数値は…50.7kgだった。昨日測ったときより500gは減っている。
「ということはポテチが180gだから…3袋は食べてもチャラになるってことか!」
僕はルンルン気分で冷蔵庫からコーラを出して朝の一杯を楽しむ。そしてお母さんが作ってくれたホットケーキ五枚をペロリとたいらげた。
「マルオ。あんた宿題は終わったのよね?」
お父さんのやり取りを聞いていたらしいお母さんは問いかけてくる。
「…一応今日で終わる予定だよ」
「それなら良いけど。去年の夏休みは宿題終わってなくて先生にこっぴどく叱られたんだからしっかりしなさいよ」
「も~わかってるってば~」
そう言いながら、僕はまだ一つも終わっていない宿題をリュックに入れて家を出た。
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