第5話 僕のはじまりの物語 〜春の香り〜
はじめて佐倉紗璦という女性と出会った時、なんて綺麗でかっこいい人なんだろう。と、思わず彼女に見惚れてしまった。
打ち合わせの時もテキパキと話を進めるだけでなく、わからないことや意見にもわかりやすく丁寧に対応してくれた。それに彼女が時々見せる笑顔が可愛かった。なにより、話していてとても楽しい。
打ち合わせの後、
「有田さん、よければこの後のご予定がなければ、このまま息抜きに、お茶して話しませんか?」
びっくりしたけど、彼女が誘ってくれたことがとても嬉しかった。
そのまま、僕たちは何気ない話をしてたくさん笑って楽しい時間を過ごした。その話の中で、動物好きで特に猫が好きという、共通点も知ることができた。彼女と同じ猫好きだったのがちょっと嬉しい。
佐倉さんとの打ち合わせ兼お茶会はあっという間に終わってしまった。
「有田さん、今日はありがとうございました。また、打ち合わせの時に。」
「いえ、こちらこそありがとうございました。引き続きよろしくお願いします。」
たった一度会っただけなのに、心のどこかでまだ話したかったと、寂しいと思ってしまった。
僕は、この感情の名前を知っている。
『恋』だ。
そう、僕。有田優翔は、佐倉紗璦という女性に恋をしている。──
ああ、次の打ち合わせはいつだろう。もっと彼女とはなしてみたいなぁ。
こんな僕にも少しだけ春の香りがした。
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