第4話 はじまりの物語2 〜揺れる心〜
「ゆうとくん、おはよー」
「おはよう、さーちゃん」
連絡先交換してから、私たちは毎日話すようになり、いつの間にかお互いの名前で呼ぶようになった。
仕事が終われば、お酒を飲みながら通話しておしゃべりしたり。時には、ランチやディナーなども一緒に食べることもある。
ふたりはあっという間に仲良くなった。
でも、優翔と仲良くなればなるほどに私の気持ちは灰色に染まっていった。
どうしても蓮を思い出してしまう。
蓮との記憶と約束。言葉にはされていないけど、なんとなく伝わってくる優翔からの愛…。もう、気持ちがぐちゃぐちゃだ。
そんな気持ちを整理しようと思い、私は蓮のお墓に行ってみることにした。
蓮のお墓は、海が見える丘の大きな木の下。彼は海が大好きで、いつもここで海を眺めていた。だから私もこの丘が大好きだ。
空は晴れ渡り、海はきらきらと輝いている。
「ほんと、ここにくるとホッとする。」
「風が気持ちいい」
ふと、空を見上げるとなんとなく彼の声が聞こえた。だから、君に話しかけてみた。
「私、あれから言ってた会社に転職したよ。すっごく楽しいの。」
「私と仲良くしてくれる人もできたよ。だから、心配しないでね?」
もちろん、返事なんて返ってこない。それでも伝えたいことがあった。
「私、蓮くんとの約束、いつか必ず守るからねー!!」
空に向かって叫ぶと、なんとなく今までの心の霧が晴れて、君が微笑んだような気がした。
過去は過去、後ろを向かない。
切り替えよう。
新たな一歩を歩んで行こう。
そう心に決めた。
気の済んだ私はあったかな夕日に包まれながら、ゆっくりと帰路を辿った。
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