Chapter 1-18
まあ、そもそも人間として苦手な部類に入るから、警戒心バリバリでこんな事考えちゃうんだと思うんだけどね。未来を知ってる分、不確定要素がちょっと怖いというか。でも、そんな事言ったらお兄様の存在だってそういう部類に入るよね。
……まあ、単純に苦手なだけかな。よし、この意識は取り払っていかないと、私の望んでいる普通の人生は難しいよね。なんで引きこもっちゃったのかは未だに思い出せてないけど、人間関係が苦手だったからなら、克服していかないと。今の私は超ハイスペックお嬢様、
と、改めて自分を鼓舞している中、ロングホームルームの時間がやって来た。
教卓に立った担任の先生(女性)から、改めて所属する委員会を決める旨を説明され、
「では、まずは学級委員から。男女一名ずつお願いします」
と、挙手を促される。
この学校の学級委員は、クラスのリーダー的役割だけでなく生徒会と各学級との橋渡し役でもある。従って、生徒会の役員になる生徒には、学級委員を経験した人が多い。逆に言えば、生徒会の役員になろうと考えている人は、ここで学級委員になれば大きなアドバンテージを得られる事になる。
案の定、学級委員になりたい人、と問われて手を挙げる人はいなかった。
……ただ一人を除いて。
「はい」
と、真っ直ぐに挙手をしたのは、
「それでは、男子の学級委員は
「はい、よろしくお願いします」
そういう役職に相応しい雰囲気を持っているんだろう。自然と拍手が生まれ、拓篤君がこのクラスの学級委員として迎え入れられた事を示していた。
拓篤君の名前が黒板に刻まれる。学級委員の文字の下には、もう一つ空きがある。
ここで拓篤君が教卓に立ち、担任の先生と入れ替わる形でホームルームの進行を受け持つ事になった。
「それでは、女子で学級委員をやりたい人、挙手を」
一瞬の沈黙。手を挙げる人はいなさそうな空気だ。チャンスである。
私はその一瞬の間に意を決して、手を挙げた。
「「はい」」
けど、その声は私の他にもう一人上げた人がいたのだった。
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