第4話 「秋」
〇シーン1
・概要:教室内で夏休み明けのテストの成績をみんなで見ている。
主人公(リスナー)は大幅に成績がアップしている。
そこにヒロインがやってくる。
※効果音:教室のザワザワとした音(賑やか・楽し気なもの)
柏木 涼香「お疲れ様です。なんだか、楽しそうな顔をしていますね、副委員長さん。そんなに夏休み明けのテストの結果が良かったのですか?」
※効果音:テスト用紙を渡す音
柏木 涼香「ふむ……あはっ♪ 凄いですね。全教科で80点以上、しっかり獲れているじゃないですか。夏休みのあいだに、よほどしっかりと勉強したんですね。ご苦労様です」
柏木 涼香「では……」
※演出指示:次のセリフは耳打ちするように
柏木 涼香「放課後、待っとるけんね。この成績の、お礼してもらうから」
※効果音:ヒロインが立ち去っていく音
※効果音:教室のザワザワ音がフェードアウト
〇シーン2
・概要:いつもの部屋で、ヒロインが主人公(リスナー)を迎える。
※効果音:ドアを開ける音、ドアを閉める音、鍵をかける音
柏木 涼香「お疲れ。さっき来たところやけ、別に待っとらんよ」
柏木 涼香「でも……う~ん、肩がこったなぁ。なんせ夏休みのあいだ、ずっと自分の勉強を頑張りながら、もう一人、飼い犬の勉強もみたけん、休んだ気があんませんのちゃね~。誰か肩でも揉んでくれんやろうか?」
※演出指示:主人公が肩を揉み始めた体で
柏木 涼香「ふふっ♪ いい心がけやねぇ。そうそう、その辺が特にこって……んっ、んんっ、ふぅ……もっと強くしてもいいかも。あっ……そう、それくらいで、ふぅ……」
柏木 涼香「ふふっ……ま、実際のところ、あんたはよう頑張ったと思うよ。この夏休みは、あんたも、あたしも、勉強漬けやったけど、それなりに楽しかった。あんたがしっかり勉強して、覚えて、成績が上がるのをみるのは、自分のことみたいで嬉しかったし。あたし、実は教師とか、向いとるんかもしれんなぁ……んっ、あっ、そこは気持ちいいかも。もっとグリグリやっていいよ」
柏木 涼香「でも……これで安心やね。今のまんま成績を落とさんで、しっかり勉強を続けたら、あんたは間違いなく第一志望のところ、前期で受かると思うよ。あとは、一人でちゃんと頑張るように。サボって夏休みの努力をフイにしたら、許さんけね、犬くん」
柏木 涼香「一人で……か」
柏木 涼香「なぁ、犬くん。ひざ枕してやるから、ここに寝て」
※効果音:主人公(リスナー)とヒロインが体勢を入れ替える音
柏木 涼香「んっ……落ち着く。あんたの頭を撫でてると、やっぱ落ち着くわぁ」
柏木 涼香「……でさ、あのなぁ、あたし考えたんよね。あんたは犬でも何でもない、あたしの言った通り犬を演じてるだけの変態やん? なのに、なんでこんなに可愛く見えるんやろう? って。それで……認めんといかんなぁと思った。あたしも、あんたと同じで、変態なんやろうなぁって。あんたを犬扱いしてると楽しい。こんなん変態やろうけど、楽しくて仕方ないんよね。あたしの言うことを聞いてくれる犬がおることが、あたしの思い通りになる犬がおることが、幸せでしょうがない……ほら、犬くん。そこに寝て、腹を見せて」
※効果音:主人公(リスナー)が服従のポーズをとる
※効果音:ヒロインが上履きと靴下を脱ぐ音
柏木 涼香「そら、あたしの足、舐めて綺麗にして。夏休み中、ようやっとたみたいに」
※効果音:主人公がヒロインの足を舐める音
柏木 涼香「んっ……こうやった足舐めさせるのも、大好きっ。こんなんしてくれるの……ううん、させられるの、あんただけや」
柏木 涼香「あんたは、あたしの人生で初めてできた、あたしの言うことを聞いてくれる人や。あたしの言う通りにして、あたしの命令なら何でも聞く人や。そして、あたしがおらんと、生きていけん存在や。あたしは、そんなあんたが……」
柏木 涼香「あんたが……」
柏木 涼香「でも、ここまでにせんといけん。これ以上、こうやって続けてたら……あたしなぁ、戻れんくなるような気がするんちゃ。あんたとおるの、楽し過ぎるもん。あんたを甘やかすの、犬みたいに可愛がるの、楽しくて、他のことを忘れそうになるもん」
柏木 涼香「親は嫌い。大学も、本当は別のところに行きたい。将来なりたい職業だって、別にある。でも、お金を出してもらって、勉強させてもらえて、進学させてもらえて、そんな親に……迷惑はかけられん。今の時代に、恵まれすぎとるって、それは……親の言う通りやと思うし」
柏木 涼香「最近なぁ、両親が何となく気づいとるんちゃ。あたしが放課後に学校に残って、勉強以外の、なんかをしよるって。早く学校から帰って、もっと勉強しろって話も、されちょる。やけん、やけんねっ」
※効果音:主人公がヒロインの足を舐める音を停止。
※演出指示:ヒロインが主人公の口から足を遠ざけた体で
柏木 涼香「もう、犬くんと飼い主ごっこは終わりちゃ。お互い、受験に集中して、普通の、高校三年生をやるんちゃ。それが、きっとあたしらどっちにとっても、一番いい」
柏木 涼香「そんな目しても、もう決めたんちゃ。今は悲しくても、あとで振り返ったら、きっといいタイミングやったなって思うはずやけん」
柏木 涼香「今日まで……ありがとうね。いい息抜きになったわ」
※効果音:ヒロインが帰り支度をする音
柏木 涼香「ははっ、そんな寂しそうな顔せんでいいやん。別に死に別れるわけやないんやし。言うて、明日からも普通に同級生やしさ。それに、あたしとあんた、学級委員と副委員長やんか。普通の高校生やればいいだけよ」
柏木 涼香「それに……あんま見られると、決心が鈍るやんか」
柏木 涼香「じゃ、あたし、もう帰るわ。これまでありがとう、犬くん。それで……これから卒業まで、お互い、頑張ろうね」
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