Chapter4 コテコテの委員長キャラだってたまには弾けたい

Chapter 4-1

 翌日、コタローはいつも通りに登校した。教室に入ると、友達と喋るアズサの姿が確認できた。彼女はコタローが登校してきたことに気付くと、こちらに向けて手を振ってくる。これにコタローは軽く手を挙げて応えた。


 あれから。アズサが一緒にダンジョンに行くと言い出してから、それをなだめるのに30分くらいかかった。というか、もちろんなだめきれなかった。みっちょんもアズサと一緒に行くとか言い出したし、マリーはそれを面白そうに見ていただけだったからだ。


 結局ダンジョンには一緒に行ってみることになった。マリー曰く、一度どんなものか見てみるのも悪くないんじゃないか、と。そんな簡単に言わないでほしい。

 だが一方で、それも悪くないかもと思っている自分がいるのも確かだった。何があっても二人ぐらいなら守り切る自信はあるし、それにあわよくばスキルが覚醒する可能性もある。


 というわけで、コタローはあくまで渋々、二人の同行を認めて今日に至る。放課後、二人と一緒にここから一番近いダンジョンに行ってみるつもりだ。


「影ノ内くん」


 席に付いたコタローに、話しかけてくる人物がいた。

 委員長の円城寺美羽だ。なんか、すごい圧を感じる。


「ど、どうしたの。委員長さん」


 もちろん、陰キャぼっちはキョドった。


「少し、時間をいただいてもいいですか?」


 頷くしかない。それじゃあ付いてきてくださいとミウに促され、教室を出る彼女に付いていく。付いていった先は屋上だった。


 屋上に付くと、彼女は振り返りなだらかな胸を張る。


「き、昨日も柏崎さんとは一緒だったんですね」

「え? う、うん」


 いきなりなぜそんな話になるのかわからなかったが、事実なので頷く。みっちょんもいたけどね。


「へ、へぇ。最近は、彼女と仲がいいみたいですね」

「う、うん。よくしてもらってるよ」


 自分にはもったいないくらいだ。こんな陰キャぼっちのオタクと仲良くしてくれるギャルとは、なかなかの天然記念物である。まあ、彼女自身も(隠れ)オタクだが。


「そ、そうなんですね。それで、その……」


 張っていた背中が丸まっていく。もごもごとする彼女の言葉を、どうしたのかと戸惑いながらも待つ。

 するとやがて、意を決したようにミウは顔を上げる。


「柏崎さんとは、つ、つ、付き合ってるんですか!?」


 バサバサと、フェンスに泊まっていた鳥が飛んでいった。

 ツキアッテルンデスカーツキアッテルんですかー付き合ってるんですか。


 何度か脳裏でエコーして、ようやく言葉の意味が理解できた。


「つ、付き合ってません!」

「付き合ってないし!」


 コタローと誰かの声が重なる。


 振り返ると、そこには屋上のドアから顔を出したアズサの姿があった。

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