第22話「守り人」
町の外れにある守り人の駐屯地に赴いたヤマトは、見張りをしていた隊員に話しかけられる。
「止まれ!こんなところに一人で何の用だ?」
ヤマトは正直に答える。
「俺を守り人へ入れてくれ!隊長と話がしたい!」
「だめだ!得体のしれない者を隊長と合わせるわけにはいかん!」
ヤマトの見た目は鬼と見分けがつかないものの、まだ町に来て日が浅いヤマトを信用する者はいなかった。
「頼む!怪しいものじゃない!俺は仕事が欲しいだけなんだ!」
「守り人はお前のような軟弱者に務まるような仕事ではない!わかったらとっとと町へ帰れ!次はないぞ!」
高圧的な態度の見張りにたじろぐヤマトだったが、ヤマトは諦めなかった。
「クソッ…!ちょっとでいいんだ!」
しかし、無慈悲にも見張りはヤマトに攻撃する。
「警告はしたぞ!」
そう言ってヤマトに槍を突く見張りだったが、ヤマトがひらりと身をかわす。
「危ねッ…!!」
「貴様…!何者だ!?」
その様子を見て見張りはさらに警戒する。
「俺はただの放浪者だ!頼む!隊長に合わせてくれ!」
その時、ドアが勢いよく開く。
「何事だ!」
騒ぎを聞きつけた隊長と、数人の隊員が現れ一気に緊張が走る。
「隊長…!こいつが、隊長に合わせてくれと…!しかし気を付けてください!こいつ、ただものじゃありません!」
見張りが一目散に報告する。
「違う…!俺はただ守り人になりたいだけだ!俺は強い!あんたらにとってもおいしい話のはずだ!」
しかし、ヤマトは必死に弁護する。その様子を見た隊長は、ヤマトにある提案をする。
「ほう… ならばお前の剣の腕を見せてみろ。私に一発でも入れられたら守り人にしてやろう…」
「サクラ、木刀を持って来い…」
「し… しかし…」
それでも渋る見張りのサクラだったが、隊長が急かす。
「2度は言わんぞ」
「…はい」
そういってヤマトと隊長の木刀による試合が始まった。
「貴様、名は何という」
始まって早々、隊長がヤマトに質問する。
「──ヤマトだ…」
ヤマトは、その質問に答えるべきか葛藤したが、答えることにした。
新しい名を名乗り、新しい人生を歩むべきか否かで葛藤したのだ。
しかし、あえて人間の名前を使ったのは、自分が人間だったということを忘れないためか、それとも…
「あんたは何て言うんだよ?隊長さん」
ヤマトが隊長に質問を返す。
「私に勝ったら教えてやろう」
「ヘッ…!そりゃどうも!!」
予想外の答えに少しイラついたヤマトが勢いよく隊長に切りかかる。しかし、ヤマトの斬撃をひらりとかわして反撃する隊長。
ヤマトは苦戦を強いられたが、何とか一撃を入れることに成功する。
「ほお… 少しはできるようだな…」
「ハァ… ハァ… てことは…」
「ああ、合格だ」
そうしてヤマトは、無事守り人に入団することに成功する。
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