第21話「半端者」

意識がもうろうとする中、ヤマトはまた不思議な夢を見た。

満天の星空が広がる塔の最上階で、2人の男女が話している。

会話の内容は聞こえないが、なぜか胸が締め付けられた。幽霊のように俯瞰していたヤマトだったが、次第に景色が移り変わっていった。

今度は荘厳な教会のような場所で男が2人、それぞれ椅子に座りながら何かを話していた。

そこでもヤマトは、罪悪感や迷いを感じて、胸が締め付けられた。しばらくすると、視界が縮小し目が覚める。

傍にはジャンヌがいて、ヤマトはベッドで横たわっていた。

「ここは…?」

まだ夢から覚めたばかりのヤマトは、ジャンヌに質問する。

「病院だよ… 守り人の人から話は聞いた… 大変だったね…」

ヤマトの心境を察して、ねぎらいの言葉をかけるジャンヌ。

完全に目が覚めたヤマトは、さっきの出来事を思い出して、ずっと思っていた本音を涙ながらに語る。

「あいつは、俺を… まるで化け物退治をするかのように襲いかかってきたんだ…」

「俺自身… 守護警察にいたころ、似たようなことをしていたからあいつを責めることも… 被害者ぶることもできねぇ… だけど…! 本当に…! 凄く、怖いんだ…!」

「夜が訪れる度に自分が何者かわからなくなっていってる気がして… もう、戻れないところまで来てしまったんじゃないか、って…」

そんな自分の居場所を見失っているヤマトに、ジャンヌが優しく声をかける。

「自分が何者かなんて、あなたが勝手に決めればいいのよ、ヤマト。大切なのは、何を信じて、何を守るか。私はずっとヤマトの味方でいるから」

ジャンヌの言葉が、ひびだらけの心に染み渡る。

「ありがとう…」


翌日、ヤマトはジャンヌ以外の知り合いを増やすために、町で職を手に入れようとする。

生活自体はジャンヌのおかげで何不自由なく生活できていたが、今のヤマトに必要なのは、快適な暮らしではなく、自分を認めてくれる存在だった。そのために、自分の能力を生かした仕事を探すことに。

(やっぱり、俺に合った仕事って言ったら守り人か…? どんな感じかしらねーけど、やってることは守護警察とあんま変わんねーよな?)

そう思ったヤマトは、守り人のいる町の外れにある駐屯地へ。


続く

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