第20話「再会」

鬼の世界でジャンヌと一緒に過ごすことを決めたヤマトは、今度は一人で鬼の町に行ってみることにする。

(もっと鬼のことが知りたい… 俺はまだ何も知らない… この世界も… 鬼のことも…)

ヤマトは放浪者という嘘をつき、様々な鬼に聞き込みをした。

そこでヤマトは、意外で残酷な真実を目の当たりにした。

異常気象のせいで生活が困窮していること。もう何人も大切な人がいなくなったこと。

この小さな花舞う街に男が少ないのは、異常気象で住めなくなりつつあるこの世界の代わりの居住地を開拓するために、「儀式」を経て戦地へと旅立っていったということ。

(…!こいつらも生きるために戦ってたのかよ…! お前らにも帰る場所があって…!帰りを待つ人がいたってのかよ…!)

「あんちゃん… 大丈夫かい…?」

真実を知って歯ぎしりをするヤマトに、老いた鬼が声をかける。

「わ、わりぃ… 大丈夫だよ…」

そういってヤマトはその場を去る。

路地裏にしゃがみこんだヤマトは、やるせない気持ちを抱えながら涙を流す。

「ああ、なんかもう全部がどうでもよくなってきたわ… なんだよそれ… 人間も鬼も、大して変わんねーじゃねーかよ… 俺はこれから… どうすればいいんだよ… この世界であいつらと戦わないといけないのか…? いやだ…!もう誰も傷つけたくないし、傷つきたくない…! いっそこのまま逃げ出すか…?ジャンヌなら俺についてきてくれるはずだ… あいつと一緒なら、どんな世界でも大丈夫なんだ…! 俺は、もう誰とも関わりたくない…」


完全に意気消沈したヤマトは、帰宅することにする。

その瞬間、事件は起きた。町で悲鳴が聞こえてきたのだ。急いで振り返ってみると、血まみれの武装した男が街を襲撃していた。もしやと思い、目を凝らしてみてみると、死んだと思っていたホムラの姿がそこにはあった。

声をかけようと近づくが、ホムラがヤマトの方に襲い掛かる。

(あれって… いや、あいつは死んだんじゃ… でも…!)

「死ねぇぇぇ!!!鬼ィィィ!!」

ホムラのヌンチャクが、ヤマトを襲う。

動揺していたヤマトは反応が少し遅れ、脇腹に一撃を喰らってしまう。

恐怖と混乱の中、死を覚悟したヤマトを守り人が間一髪のところで助けに入る。

「クソッ…!まだ生き残りが居やがったのか…!」

「大丈夫か!?」

「あ… あ…」

(駄目だ… 待ってくれ…)

ケガをしていてうまく喋れないヤマトに、守り人が優しく声をかける。

「もう大丈夫だからあまり喋るな…!傷口が開く」

そういって守り人が、ホムラを容赦なく殺害する。

「畜生…! 鬼共が…!」

その瞬間、体中の力が抜ける。あっという間に胸が苦しくなり、吐き気がやってきた。視界がにじみ、手が震える。

しばらくすると、ヤマトは気を失った。


続く

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