ETERNAL FLAME

第9話「ラウンド２」

10:20 野戦病院　冷凍ギン視点

「こいよ、ラウンド2だ」そう言い放ったギンに、知性を持った鬼が襲いかかる。

鬼の激しいパンチを避けて、カウンターを放つギンに対して、鬼は苦戦を強いられた。

しばらくすると、鬼はなのはを襲うことに切り替えようとする。

そんな鬼を放って置けるわけもなく…

「待て…！　まだ終わってないぞ…」

ギンが追いかけると鬼が急に反転して強烈なカウンターを喰らうギン

「ガハッ…！！」

（クソ野郎が…！　卑怯だが、頭はキレるようだな…！）

そのままとどめを刺される前になんとか起き上がったギンだったが、頭を強く打ってしまい、意識が朦朧としている。

（マズイ…！　頭を強く打ちすぎた…！　このままだと持たない…！）

防戦一方、長くは戦えない状態で、鬼をどう対処するのか必死で考えているギンだが、鬼の攻撃の手は止まない。そしてギンは、最後の手段に出る。

（すまないヤマト… だが、これで俺たちの勝ちだ！）

「じゃあなクソ野郎… 『地獄』で逢おう…！」

「は ？」

そう言って鬼に抱きつき、鬼の背中で手榴弾を爆発させるギン。

野戦病院に、轟音がなり響く。

同時刻　野戦病院　藤原ヤマト視点

喋る奇妙な鬼の指示で、一斉にヤマトに襲いかかった鬼達と戦っているヤマトは、戦闘中もなのはのことが気になって仕方がなかった。

（クソッ…！　時間ねぇってのに次から次へと…！　救える命かもしれないんだぞ…！）

「死ねッ！ゴミ供が！！」感情に身を任せて流れるように鬼を殺していくヤマトだったが、最後の鬼を狩り終えた直後、轟音が聞こえて辺りを見渡す。

（なんだ今の音…！　まさか、増援か！？）

「ギン！そっちはどう… だ？」

そして、土煙の中に、血まみれで横たわるギンと、死亡して消滅したと思われる鬼の残骸が残っていた。

10:25 野戦病院　藤原ヤマト視点

「おいしっかりしろ！死ぬな…！俺が他の衛生兵を探してくるから…！　死なないでくれ…」

嘆くヤマトに、ギンは冷静に声をかける。

「俺はもう無理だ… 自分でわかるんだ… だから、なのはのところに行ってやってくれ…」

「でも… お前このままじゃ…」

「いいさ… 鬼を全滅させれたんだ… 多少想定外のことはあったが、上出来じゃないか…」

「上出来なわけねぇだろ…！　お前が死ぬかもしれないんだぞ…！」

「お前は本当にいい奴だな… お前は誰かのために泣ける優しさと、誰かのために戦える強さを兼ね備えている最高の兵士だ…」

「…」

「だからもうこれ以上悲しそうに泣かないでくれ…」

「…」

「俺が死んだら、ミキオとなのはに今までありがとうって伝えといてくれ」

「後、こんな時に言うのもなんだが… いや、こんな時だからこそ言えることだが… 車の運転は止めておけ… あいつらは平気だって言ってたが、正直なことを言うとお前の運転は絶望的だ… ちゃんとブレーキを… 使… え…」

そう言ってギンは息を引き取った。

ヤマトは泣きながら、なのはの方へ駆け寄った。

せめてなのはだけでもと思ったが、現実はあまりにも残酷だった。

「はは… なんだよ　──死んでんじゃん」

首を絞められた形跡があったため、おそらく最初から死んでいたのだろう。鬼のブラフにまんまと引っかかっていたことを知ったヤマトは、その場で崩れ落ちる。

続く