第6話「砂浜ゆき」
翌朝、ヤマトはゆきについてハナビに聞くことにした。
「なあハナビ、『砂浜ゆき』って知ってるか?」
「そりゃ知ってるさ。ガキの頃からの付き合いだし」
「え!?マジで!?」
予想外の答えにヤマトは少し声が上ずった。
「ああ、なんつーか、昔っから全部見透かされている気がするんだよな…」
ハナビはゆきについて少し苦い顔で答える。
「てゆうかお前、ゆきとなんかあったのか?」
ヤマトの口からゆきの名前が出るとは思わなかったハナビが、思わずそう聞き返す。
「いや、あの人が俺に『ハナビは何かを隠してる』って言ってきたからさ」
「…」
ヤマトの言葉に少し表情が曇るハナビ。
「なんでゆきはお前にそのことを伝えたんだ?」
「んなもん俺が知る分けねぇだろ…」
ハナビは少し焦っているようだ。
「ただ… あいつが『君はハナビ以上に特別だ』って」
「特別…」
「よくわかんねぇけど…!俺別に自分が特別だとかそうゆうのは全然思ってないし!」
ヤマトが自分の発言に少し恥ずかしくなって否定する。
「そうだな。弱ぇし」
ハナビが冗談交じりにそう言った。
「は?弱くねぇーし!今度また稽古つけてよ!俺の腕が上がったとこ見せてやるよ!」
ヤマトがムキになる
「おう!いつでもこい!」
ハナビもそれを快く受け入れる。
しかし、言葉とは裏腹に、ハナビが何かを思い出すように心の中でこう呟いた。
(いや、お前は特別だよ。ヤマト… 恐ろしいくらいにな…)
ヤマトはハナビにゆきとの関係を聞いた後、なぜ彼女が自分の夢のことを知っているのか、彼女に直接会って話を聞きくことにする
「なあ、ちょっといいか?」
「仕事で忙しいから簡潔に伝えてちょうだい」
(あ、あれ… 前はもっと明るかったよな…?)
以前とは明らかにキャラが違うことに動揺しながらも、ヤマトはなるべく簡潔に質問を伝える。
「なんで俺が特別だって知ってるんだ?」
「…」
少しの沈黙の後、ゆきが淡白にこう答える。
「『勘』よ」
「勘!?そんなでたらめ信じねぇぞ!」
あまりにも適当な答えに少しイラついたヤマトが声を荒げる。
「大声出さないでよ 作業に集中できないじゃない」
そんなヤマトに一切動じないゆき
「ごめん」
そして素直に謝るヤマト
「でもねヤマト君、『勘』って言っても、心理カウンセラーの『勘』よ。天気予報なんかよりよっぽど当たるわよ」
ゆきは少し自慢げにそう言った。
「心理カウンセラー?」
ヤマトが意外な言葉に驚く
「そうよ。知らなかったの?」
「ああ」
「それでハナビが隠してる秘密にも気づいたのか!」
ヤマトは謎が晴れてスッキリしたようだ。
「ええ、でも前にも言ったけど、あくまで『何かを隠している』ってことしかわからないわ。秘密の内容まではさすがにね…」
ゆきはすこし残念そうな顔をした。
「いや、全然凄ぇよ!心理学って凄ぇな!」
「そうね…」
ゆきが微笑みながらそう言った。
7話に続く
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