美女と美少女にどっちが先かで争われるのっていいよね


 コッシーに案内されて辿り着いた第三闘技場は想像以上に広く大きかった。

 形は古代ローマにあるコロッセオのようであり、大きさはサッカー場が4つは入りそうな程巨大であった。


「凄いだろ泰斗、因みにだがこの闘技場は産物先生っている建築神の契約者である最上位Ⅴの先生が作っていくれててな。

 何ならこの第三闘技場以外のこの学園のほぼ全ての産物先生の建造物なんだぜ」


 最上位の超能力者は神の力と=である神覚者を除けば全ての超能力者の頂点に立つ文字通り最上位の存在であり、その力は他の超能力者とは一線を画している。

 上位Ⅰと最上位Ⅴではたった一段階の壁に見えて、絶対に覆すことの出来ない高く深い壁があり、その力の高さゆえに、どんな場所でも超が5つついても足らない程の好待遇が確約されている存在。

 そんな最上位Ⅴの契約者が言ってしまえばたかだが国が作った学園程度の為に尽力している。

 例えるならば誰もが知ってるレベルの大企業を一代で作り上げた超絶優秀な社長が大学の教授をやっているものである。


「何それ、産物先生めちゃくちゃ凄いじゃん。というか、本当によくこの学園の建築してくれるね?」


「ああ、それな。実は俺も気になって聞いたことがあるんだが、どうやら超能力者協会創設者である天神会長に妻と娘を救ってくれた恩があるらしくて、その恩返しの為にここで働いてくれているらしい。

 後は、産物先生の娘さんも契約者になっててこの学園に通っていてな、娘の成長も見れて今の仕事はかなり気に入ってるって言ってたわ」


「なるほど。納得した。というかナチュラルに気になってで聞くってコッシー行動力のお化けかよ」


「ハハハ、そうかもな。でも知識は力だぞ。色々と調べて損はないってもんだ。実際今こうして泰斗に説明出来てるしな」


「確かにそうだな。ありがとうコッシー」


「良いってことよ。とはいえ、楽しいお喋りも一旦終わりだ。この授業を担当する武美先生が来ちまった」

 コッシーが指さした先にいたのは、身長はおそらく2メートルを超える褐色巨乳美女だった。

 何というか色々と凄くデカい上に服も動きやすさ重視のスポーツウェアのようなもので、かなり体の線がはっきり見える。

 一言で表すならエロい。年齢は多分20代後半くらいかな?

 これが大人の色気というものなのか・・・。


「お!お前が転校生か。名前はえっと、なんだっけ。おい、何て名前だ」

 俺の方にズンズンという音がしっくりくるような感じで近づいてきて、肩を叩く。

 身長的に目線が丁度胸の辺りにきてしまう。胸がデカいのも相まって顔が見えない。

 というか近い。汗が混じってるけれど割と良い匂いがする。


「上野泰斗と言います。闇魔法神と契約をしている中位Ⅰの契約者です」


「ほう。お前が中位Ⅰね。ガハハハッ、冗談は止せ止せ、その極限まで鍛え上げられた肉体と歴戦の戦士のオーラは最低でも上位Ⅲの力はあるだろ」

 絶妙にバレてそうでバレてないラインの指摘が来た。

 だけどこれは想定済みだ。自分で言うのもあれが俺は素手での肉弾戦においても相当強い、具体的には上位Ⅰ程度の力はある。

 剣を一本を持たせて貰えればその瞬間に最上位Ⅳくらいにはなれるし、二本持てば最上位Ⅱに並ぶ。


 ようは、俺は魔法を一切使わなくてもこの肉体と技術だけどそれなりに強いってことだ。

 もちろん言い訳はしっかりと考えてあるから問題なしだ。


「実は小さい頃からルグルス師匠の元で稽古をつけて貰ってまして、大変革が起きた後も度々鍛えて貰ってたんです。その影響かは分からないんですが、身体能力強化もかなり伸びて、肉弾戦においてはかなりの自信があります」

 前半は嘘だが、後半は本当だ。

 ちょくちょくルグルス大佐とは模擬戦闘という名の殺し合いをして互いの技術を磨き合っている。


「ルグルスさんといえば、あの戦鬼ルグルスのことか。ガハハハッ、そうか、それならば納得だ。

 あの男は肉弾戦においては最上位の超能力者すら組み伏せてしまう程の豪傑だからな。

 かくいう私も超能力者世界戦争の時には惨敗したよ。あの時は本当に興奮したな。懐かしい」

 なんか、勝手に懐かしまれてるけど、しれっと興奮したとかいう爆弾発言が・・・。この先生もしかして自分よりも強い人に惹かれるタイプの戦闘狂かな?


「よし。決めたぞ。泰斗だったけな?今から私と戦え。これも授業の一環だ」

 

「ちょっと、待ってください。泰斗君は私と戦う約束をしてるんです。武美先生横取りはよくないですよ」

 千聖ちゃんが割って入ってくる。

 確かに約束はしてたな。


「そうなのか。でも知らん。私はいますぐこの男とやりたいんだ。小娘は黙っとれ」

 先生、それでいいのか。先生。

 

「あ~~~、はいはい、職権乱用ですね。良くないですよ。そういうの。だいたい転校生の相手は基本的に同レベルの生徒って相場が決まってるでしょ。最上位Ⅳの武美先生は大人しくしていてください」

 しれっと言ってるけど、武美先生最上位Ⅳなんだ。普通に化け物強いやん。

 というか何だこの美女と美少女にどちらが先にやるかで取り合いにされている状況は・・・。初めての経験だけど意外と悪くない。

 まあ、やるかが文字通り殺るかなのを除けばな。


「あのう。どちらにしろ、お二人と模擬戦闘をするつもりではあるんで、どちらと先に勝負をするかはじゃんけんでもして決めたらどうですか?」

 埒が明かなそうなんで案を出す。

 互いに顔を見合って、不服そうに睨みつけながら「「分かった」(わ)」と納得してはくれる。


「「最初はグー、じゃんけん、ぽい」」


 かくして俺にとってはどうせ両方と模擬戦闘?するから、割とどうでもいいじゃんけんが始まった。

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