国立超能力学園


 国立超能力学園・・・日本政府と世界超能力組合が協力して作った6~22歳までの主に未成年の超能力者(総称として、契約者や覚醒者とよぶのではなく、総じて人智を超えた力を持った者の意味として超能力者と呼ぶ)を対象として学び育てる教育機関である。

 設立から現在2年しか立っていないが、小学校・中学校・高校・大学の4つに分類されている上に日本各地から数々の超能力者が入学する都合上、実に8000人を超える超能力者が通っている超マンモス校である。


 そんな国立超能力学校に一人の生徒が入学した。


 彼の名前は上野泰斗

 年齢は17歳、学年は高校2年生。

 1週間前に闇魔法神と契約を行い、中位Ⅰの契約者となった闇魔法使いである。

 しかし、実際は違う。

 本当は神覚者の疑いのある少女の護衛の為に世界平和独立軍から派遣された上位Ⅲの力を持つ死霊神の契約者である。





―――――――――――――


「よう、お前ら、おはよう。今日は3週間ぶりに一人の転校生が来たぞ。つい1週間前に闇魔法神と契約をして中位Ⅰの認定を受けた契約者だ。

 お前らちゃんと仲良くしてあげろよ。じゃあ、上野教室に入って来い」


 ガラガラ

 

 ドアを開けて教室に入り、教壇に立つ。

 パッと生徒を見渡すが皆かなり容姿が整っており、カラフルな色の髪型が多く見られた。

 超能力者は総じて自分の能力に合わせて肉体が変化する。その過程で容姿が整い、肉体美に磨きがかかり、髪の色や質、場合によっては肌の色や目の色に体の形まで変化する。

 なるほど。全員が超能力者の学校か。確かにその通りだな。


「えっと、ご紹介に預かりました。闇魔法神と契約をした中位Ⅰの契約者、上野泰斗です。

 趣味は読書、アニメ鑑賞です。まだ闇魔法神様から授かった闇魔法の力の全てを引き出せてはいなですが、元々小さい頃から武術を習っていたので武術方面ではそれなりに自信があります。

 どうぞよろしくお願いします」

 因みにこれはルグルスさんから貰った偽造身分証を元に考えた設定だ。


 パチパチパチパチパチパチ


 俺の挨拶に応える様に拍手をしてくれる。

 何人か拍手してない天邪鬼かよってツッコミたくなる人がいるけど、まあ気にしないでおこう。


「はい。では新しい転校生の上野泰斗君でした。

 席は一番後ろの窓側の空いている席だからそこに座っといて。

 後のことは前の席に座っている転校生係りの越田から色々と聞いとくれ」


 先生が退出する。


 取り敢えず言われた通り一番後ろの窓側の席に座る。


「よお、よろしくな転校生。俺の名前は越田翔、中位Ⅱの覚醒者で能力は風操作と風生成だ。

 転校生係りっていう、新しく入ってきた転校生にこの学園での注意点や敷地内の説明やら授業の場所の案内等々、色々な説明をしてあげる係りの一人だ。

 分からないことがあれば何でも聞いてくれよな」


 容姿はある程度整っており、紙は薄緑色、身長はおそらく170前半、何となく遊んでそうというイメージが先行してしまいそうな雰囲気を纏っている残念イケメンという言葉がしっくりくるような男であった。


「ああ。よろしく頼む」


「おう。よろしく。俺は皆からコッシーで呼ばれてるからな。良かったら気軽にコッシーって呼んでくれ」


「じゃあ、俺も気軽に上野とでも泰斗とでも自由に呼んでくれ、コッシー」


「オッケー。よろしくな泰斗。さて、じゃあ転校生係りなんで仕事をするとしますか。

 泰斗はこの学園について何処まで知っているか?」


「何となくでパンフレットを読んだ程度かな」


「じゃあ、ほとんど知らないってことか。

 この学園は国立超能力学園、お国様と超能力者協会が作った子供の超能力者達を保護という名目で一か所に管理する為の学園だ。

 下は6歳から上は22歳まで幅広い年齢が揃っていて、生徒数もこの学園の都合上、子供で覚醒したらここに転校するんで現時点ですら8000人を超えている超マンモス校だ。人数の割合で言えば16~22歳のある程度大きくなった人が一番多い。

 因みに俺は第1世代なんでこの学園が出来た時からいる大ベテランだぜ。

 今も校内が拡張され続けて、正直油断したらすぐに迷子になるから気を付けろよ。まあ、始め1週間くらいは俺が案内してやるから安心しろ」

 

「ありがとうコッシー」


「良いってことよ。さて、じゃあ今から第三闘技場で模擬戦闘の授業だからな、一緒に行くか」


「え?模擬戦闘の授業?そんなのあるん?」


「ああ。そうえいば初めてここに来たもんな。ここ高等部Aクラスは超能力者の中でも戦闘系統の超能力者が集うクラスでな、自分の力を学び制御して育てる為に模擬戦闘含む、戦闘を行う授業があるんだ」


「なるほど。納得した。ありがとうコッシー」


「良いってことよ。とはいえ、泰斗今日は多分大変だぞ。恒例行事で転校生は希望したクラスメイトと模擬戦闘をしなければならないからな」


「そんな恒例行事あるん?まあ、これでも戦闘にはそれなりに自信があるから大丈夫だとは思う」


「そうか、そういえば中位Ⅰの契約者だったな。確かにそれ相応の力はあるか。ただ、泰斗は闇魔法神と契約をしてるだろう?

 それなら、あの聖女様である仙郷・千聖チサト様が絶対に絡んでくるな。

 今から同情するぜ泰斗」


 肩をポンポンと叩いて本当に俺を同情しているそぶりを見せる。

 仙郷・千聖か・・・。本当の名前は千王・千聖、この学校では千王グループとの繋がりを隠す為に仙郷っていう親戚の名字を利用しているんだっけな。

 彼女が俺の護衛対象か。

 

「越田君、どうしたのかしら?もしかして私の悪口を言っているのかな?」

 コッシーの肩を一人の少女が掴んでいた。

 身長は170センチ前半、髪は長髪で金色、胸はおそらくD、神が創造したという言葉がしっくりと来るような均一の取れた肉体。

 それこそ美少女アニメの世界から引っ張って来たような美少女がそこにはいた。


「さて、初めましてね。私の名前は仙郷・千聖、早速だけど私の聖なる力と貴方の闇の力どちらが強いか勝負しなさい」

 

「え?」


 何というか、アレだ。命令口調だし、気が強そうというか多分気が強いんだろうな。

 これが護衛対象か。

 う~~~ん。前途多難だな。

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